定例研究会レポート

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妊娠・出産・育児のサポートを考える
--産前産後のこころとからだ
2009年1月31日

妊娠・出産・育児のサポートを考える

1月31日(土)ワコール本社ビル2階会議室にて、52名の方にご参加いただき開催いたしました。    

■問題提起
妊産婦に寄り添うということ
オーガナイザー:寺元千佳 運営委員/独立行政法人国立病院機構 
大阪医療センター 看護部 助産師

■クリフムにおける最先端胎児診断と周産期コーディネート
―正確な胎児病診断が両親の涙を笑顔に満ちた決意に変える瞬間―
夫 律子
クリフム夫律子マタニティクリニック 臨床胎児医学研究所 院長
米国コーネル大学産婦人科 客員教授

■寄り添うということ~知識の提供だけではない支援~ 
写真で綴る看護職による妊産期支援
谷口知子 
看護師・(有)キュアリンクケア 代表


■定例研究会レポート
(独)国立病院機構 大阪医療センター 助産師
乳房文化研究会 運営委員
オルガナイザー 寺元 千佳 

 

医師不足による総合病院での産科閉鎖や救急対応ができないとたらいまわしにされる妊産婦のニュースはセンセーションに取り上げられ、問題は全てそこにあるように指摘されることが多いのですが、本当にそうなのでしょうか?
私自身は現在助産師として総合病院の産科外来に勤務しています。助産師相談窓口で保健指導を担当し、妊産褥婦さんたちの悩みや不安の相談にのっています。そういった相談業務の中でひしひしと感じられるのが、悩める妊産褥婦と彼女たちの孤立した状況ということです。出産の高齢化や核家族化は進み、さらにパソコンや携帯電話の普及によってインターネットを介して氾濫する情報。そういった社会の中で、一生のうちに何度かしかない経験となる妊娠や出産という体験は不安がいっぱいです。情報はたくさん入ってくるけれど自分の場合は一体どうなのか、自分に起こっている現象それが正常なのか異常なのかが分からない。だけど誰に相談したら良いのかも分からない。一人で悶々と悩みさらに不安が高まっていくといった状況を体験している人があまりにも多いことに驚かされます。妊娠・出産・育児期においては、ちょっと聞いてみたいこと、相談してみたいことがたくさん出てきます。そんな時に気軽に相談できる場所があれば嬉しい。そんな妊婦さんたちの声をよく耳にします。
そこで今回は、そんな妊産婦さんや育児期のママの不安というものに焦点をあて、そういった心のサポートを大切にしている医療者たちを講師に迎えました。
 日本初の胎児診療を専門に行っている産科医である夫 律子先生は、最新最先端の画像診断を用いた胎児ドックを行ない、ご夫婦やご家族が納得ができるまで、じっくりと時間をかけて丁寧な説明を行っています。国内に留まらず世界を飛び回ってご活躍の先生ですので、先生のスケジュールをおさえることはなかなか困難です。それでも今回は乳房文化研究会のために時間を作って下さいました。講演の中ではちょっぴりヘビーな画像も出てビックリする一面もありましたが、先生独特の楽しいおしゃべりの中、とても専門的なお話を分かりやすくお聴きすることができました。もう一人の講師、谷口知子さんは看護師さんです。「今、妊産婦さんには笑顔が少ない。妊産婦さんの笑顔が増えるよう妊娠中から看護職が『見守り続けるケア』を提供したい」と、病院を飛び出し有限会社を立ち上げたパワフルな女性です。話し始めるとついつい熱くなってしまう彼女は、今回は抑えに抑えたと言っていましたが、彼女の熱さはしっかりと皆さんに伝わっていたようです。

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