魅惑のランジェリーエッセイ 上流下着のつどい Upper Inner Salon|ワコール

26 Jun, 2013

夢を売るワコールディア

海賊の鎖が引き上げる宝箱のように。

 WACOAL DIA銀座店で2013秋冬展示会が開かれました。ブランド誕生10周年ということで、わくわくしながら店内に足を踏み入れると、そこはアクアリウムのような涼しげな空間でした。海の底を蛇行する鎖のインスタレーションに目を奪われますが、これは「海底に眠る宝箱を引き上げる海賊の鎖」。なんてロマンチックなストーリーでしょう。今回のコレクションがすべて、海底で発見された古今東西の宝物に見えてきました。
 ざくざくと見つかったお宝の中でも圧倒的な存在感を放っていたのが、鎖そのものをデザイン化したシリーズです。鎖といってもマリンスポーツ的なチェーンやイカリのモチーフではなく、海賊の黒い鎖ですからとても硬質で男性的。かといって身体を拘束するボンテージではなく、この上なくエレガントなドレスやトップス、ペチコートに仕立てられており、さすがとしか言いようがありません。プレステージブランドの遊び心を見せつけられました。

 ヨーロッパの歴史や文化からインスパイアされたデザインは、WACOAL DIAトータルクリエイター神尾敦子さんの得意とするところ。今回は、スカンジナビアを中心にヨーロッパ各地で活躍した北欧の海賊、ヴァイキングからの発想なのですね。航海術に長け、鉄を鍛える技術を持った職人でもあり、鎖を初めて船の係留用に使ったといわれているヴァイキング。WACOAL DIAらしい神秘に満ちた物語の源泉だと思います。
 以前、神尾さんにインタビューした時、人間が生み出した偉大な歴史的遺産への尽きない興味と、その夢やロマンを想い、謎と向き合う興奮について熱く語ってくださったことを思い出しました。核となるポリシーはぶれぬまま、いつも新しい作品を見せてくれるクリエイターの存在自体が、神秘に包まれた宝箱のようです。神尾さんにとって、鎖は係留のためのものではなく、世界中の夢を引き寄せるツールなのでしょう。

知られざる日本の一面を世界に発信。

 鎖のコレクションの中では、通称「未来派ブラ」もおすすめです。ワイヤーレスで留め具がなく、下から着脱することでフォルムを美しくキープできる逸品。このブラはぜひ、最先端のモードとしてジャケットのインにつけてみたいですね。そして、船旅にぴったりなのがターコイズブルーのナイトドレス。シャンティレースとシルクサテンを合わせた海の色のシンプルなドレスは、視界に入るだけで夢見心地の感触が伝わってくるようです。
 糸のように細い葉が特徴の「糸すすき」を生け花として表現したコレクションは、水色のベースに映え、水に浮かんでいるかのよう。WACOAL DIAはロンドンのハロッズでも人気の高いブランドですが、有名な日本の秋の花ではなく、ヨーロッパではマイナーな糸すすきを選ぶセンスが注目を集めているのです。細い糸を使い、細かい目でゆっくりと縫うことで強度を保っているこのブランドの魅力を、糸すすきが一層引き立てているように見えました。

 WACOAL DIAはブランド誕生当初から、クロスカルチャーというコンセプトを掲げています。さまざまなクロスカルチャーにより、ステレオタイプでない日本の新たな一面を表現することには、限りない夢と可能性を感じます。鎖の原点を追求する男性目線と、糸すすきをアレンジする繊細な視線の両立が、新しい時代を切り開くことでしょう。日本には、まだまだ世界にアピールすべき宝物がたくさんあるのですね。
 プロダクツ(製品)ではなくアート(作品)、マスプロダクション(大量生産)ではなくオートクチュール(手づくり)。それがお宝の正体かもしれません。数値という目標だけでは、必ず壁にぶつかるはず。10年間、景気や周囲のムードに流されずに独自のクリエーションをおこなってきたブランドには、強い信念があります。「私たちは、ものをつくるより夢をつくっていきたい」 神尾さんがしばしば口にする言葉です。

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