魅惑のランジェリーエッセイ 上流下着のつどい Upper Inner Salon|ワコール

27 Apr, 2016

甘口と辛口を日替わりで

上着が不自由なら、下着を自由に。

トレフル 2016春夏コレクションより シフォンのディテールが甘く揺れるキャミソール(5月発売)
トレフル 2016春夏コレクションより シフォンのディテールが甘く揺れるキャミソール(5月発売)

 おしゃれを楽しむのに良い季節になりました。それなのに、今日も同じ格好をしてしまう。そんな経験はありませんか。その理由は、服が足りないからではなく、気合いが足りないから。私たちを縛っているのは、この場所にはこういう服で行くべき、自分にはこういう服しか似合わない、という思い込み。気分を変えようと思い切って買ったアイテムも、活かされる機会がないまま旬を逃し、安心できる同じものを繰り返し着るしかない日々。
 確かに、世の中にはドレスコードがあります。会社にも、パーティにも、気の置けない女子会にだって何となくある。合コンにはモテ服、デートでは彼氏の好みに合わせなければならない上、「やせるまでは着られない」と自らに課している服があったりもして。私たちはいつ、本当に着たいものを着られるのでしょう? 楽しいはずの服選びが、他人の目、世間の目にとらわれることで、次第に義務としての苦痛な作業になっていくのだとしたら。

 衣服にマナーを意識しなければならない面があるのは仕方ないけれど、少なくとも下着は治外法権。世間は下着をチェックしません。洗って干した下着を家族や同居人にチェックされるケースはあるかもしれませんが......。せっかくなら、幅広い選択肢の中から自由に冒険してみてもいいのではないかと思う次第です。洋服の世界では、甘辛ミックスという調整案がはやっていますが、下着なら潔く「両極端」を楽しむこともできるはず。
 「洋服では実現できない人生を、下着で手に入れてみせる」というくらいの気迫もほしいところです。かちっとしたモノトーンの服しか着ないクールモダンな女性には、薄手のシフォンテープが軽やかに揺れる、トレフルのロマンチックな新作はいかがでしょうか。ドールっぽい3/4カップブラと、スカートのついたTバックショーツは、悶絶するほどキュートなレトロスタイル。薄いグレーと水色とワインカラー、全色そろえたくなりますね。

トレフル 2016春夏コレクションより ロマンチックな3/4カップブラとスカートつきのTバックショーツ(5月発売)

私らしさを守る、聖域としての下着。

スタディオファイブ 2016春夏コレクションより バックスタイルもかっこいい黒のテディ

  パステルカラーとフリルを愛する乙女なあなたには、ドレープの美しいスタディオファイブの黒のテディを。テディとは、ショーツ一体型のランジェリーのこと。機能的なボディスーツに比べ、装飾性を重視したもので、このテディなら1枚でドレスアップが完成します。スポーツカーが似合いそうなランジェリーに初めて出会ったような気がしました。同じシリーズのブラとショーツも、装飾的でありながらミニマリズムの極みです。
  もちろん女優のように、甘口と辛口のギャップに日替わりで挑戦するのが最終目標。ひとつの道しか選んではいけない理由などありません。エイプリルフールに公開された映画『あやしい彼女』では、73才の女性が20才の外見に戻り、恋に落ちる。夢も実現しかけるけれど、結局は恋も夢も諦め、73才の姿に戻る選択をします。その結果、今の人生を楽しめるようになり、別の恋を手に入れる。ギャップを往き来することで、彼女は生まれ変わるのです。

スタディオファイブ 2016春夏コレクションより ストラップが取り外せるブラとミニマムなTバックショーツ

  見た目を変える冒険は、人を活性化させます。変身の本質は、外見が変わることではなく、外見の変化により内面の意識が変わることなのでしょう。下着という自由かつ神聖な領域で、そんな冒険を楽しんでみたいもの。20才になってもいいし、73才になってもいい。天使になっても悪魔になってもOK。『あやしい彼女』のように、現実逃避的に小さな夢を叶えることで、現実そのものが大きな夢に化ける可能性もあるのです。
  下着が自由かつ神聖である理由は、プレッシャーや危険にさらされていないから。過酷な環境にさらされたアウターは、他人の評価や化学物質に汚れやすく、油断すれば食べ物や泥のしみもすぐにできますが、アウターに守られた下着はどうでしょう。焼肉を食べに行った日でさえ、服を脱げば、真っ白なランジェリーに、朝つけた香りのラストノートがほのかに残っていたりするではないですか。この素晴らしい聖域を、どうかあなたらしく大切に!

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