魅惑のランジェリーエッセイ 上流下着のつどい Upper Inner Salon|ワコール

24 May, 2017

旅をする服、くつろぎの服

私の時間にとけこむ、ラウンジウェア。

左)グアムのビーチでは軽快なカプリパンツを<br> 右)トレンドカラーが映えるオアフ島の滝公園
左)グアムのビーチでは軽快なカプリパンツを
右)トレンドカラーが映えるオアフ島の滝公園

 洋服のセンスがいい人って、どういう人でしょう。私がときどき見かける素敵な人は、いつも気持ちよさそうに服を着ているなと感じます。どんなアイテムも肌になじみ、生き生きとして見える。服が彼女のよさを引き出すと同時に、彼女も服のよさを引き出しているんですね。つまり服と彼女の気持ちがとても近くて、人間とペットのように通じ合っている感じ。服に着られるのではなく、着こなすって、そういうことかもしれません。
 服と近づき、服を好きになる。そのいちばんの方法は、服と一緒に気持ちのいい場所へ出かけることではないでしょうか。センスを磨くのは、お気に入りの服とのリラックスしたプライベートな旅。4月下旬、伊勢丹新宿店に期間限定で登場したハンロのポップアップショップ「TIME to JOURNEY」 It's "me time"を見て、そう確信しました。旅先での快適なオフタイムをテーマにしたラウンジウェアのコーディネイトを、ここで改めてお伝えしたいと思います。

左)リゾートホテルの夕食にはジャケット風カーディガン
右)クロアチアの市場にてワントーンコーデの朝食タイム

 素材のよさ、シルエットの美しさ、そして細部のデザインや縫製のこだわり。ハンロのラウンジウェアは、まさに旅先でのリラックスタイムにふさわしい、ファッション性と快適さを兼ね備えたアイテムばかりです。ショップのスタイリングを手がけたのは、「Numéro TOKYO」の編集長でファッションディレクターの田中杏子さん。ホテル、ビーチ、マルシェ、公園など、海外のリゾートシーンでの魅力的な過ごし方のイメージを提案してくれました。
 旅につれていくなら、軽さや持ち運びやすさ、着ごこちのよさ、コーディネイトのしやすさは必須。着るほどになじむ上質感、大人のセクシーさなども求めたいところですが、その点もハンロならばっちり。シンプルな組み合わせにトレンドカラーを入れつつ、靴や小物で変化をつけるセンスは、ぜひ見習いたいポイントです。こんな装いで、土地の空気にとけこみ、開放的な気分に浸ることができたら、その旅は最高の思い出になることでしょう。

ドレープの美しさや細部のデザインが上質感の決め手

美術館のファッション展が、すごい。

左)昭憲皇太后着用大礼服(マントー・ド・クール) 1910年頃(明治40年代) 共立女子大学博物館蔵
明治天皇肖像、昭憲皇太后肖像 グイード・モリナーリ(イタリア) 1887年(明治30年)東京都庭園美術館蔵
右)昭憲皇太后着用大礼服(正面から)
●明治天皇の皇后が新年式で着た大礼服

 いま旅に出るならニューヨーク。9月4日まで、メトロポリタン美術館(通称メット)で「川久保玲/コム デ ギャルソン:間の技」が開催されているからです。1981年から最新コレクションまで140点が展示され、KCI(京都服飾文化研究財団)も貸し出しに協力。そもそもKCI設立の契機は、メットのファッション展だったそう。公開中の映画「メットガラ ドレスをまとった美術館」を見ると、美術館でファッションを扱うことの困難と興奮が伝わってきます。
 映画の公開と同時に、横浜美術館では「ファッションとアート 麗しき東西交流」展が始まりました。ドレスや服飾品、工芸品、絵画、写真など200点余りを展示。KCI所蔵のドレスは48点で、うち17点は日本初公開です。KCI名誉キュレーターの深井晃子さんは「こういう服もあるんだと覚醒していただきたい」と記者会見で語っていましたが、1点1点大切に縫われた繊細なドレスが、100年以上も美しさを保ち、生き続けていることに改めて驚きました。

左)ドゥーセ(フランス)デイ・ドレス 1897年頃 KCI蔵
●日本のきもの柄を思わせる左右非対称の柄
右)ドゥーセ(フランス)デイ・ドレス 1893年頃(左)/1890年頃(右) KCI蔵
●日本製の絹織物や楊柳がフランス製ドレスに

 この展覧会は、19世紀後半から20世紀前半のファッションと美術に焦点を当て、東西の文化交流を解き明かすというのがテーマ。1859年に開港し、東西交流のひとつの拠点となった横浜ならではの企画展といえるでしょう。当時、西洋のファッションやライフスタイルが急速に国内に浸透する一方、西洋へは日本のきものやテキスタイル、美術・工芸品などが輸出され、ジャポニスムのブームが起きたことがよくわかる展示内容でした。
 圧巻は、明治天皇の皇后が新年式で着用した大礼服で、菊の花が刺繍されたベルベットのトレーンは3m30cm。和装と洋装が見事に融合しています。日本製の布地で仕立てられたフランス製のデイ・ドレスなど、日本のモチーフが西洋に影響を与えたことを示す展示品も多数。コルセットをつけていた西洋の女性たちが、家の中ではKIMONOと呼ばれる室内着でくつろいでいたと知り、なんだかとてもシンパシーを感じました。一見の価値ありですので、ぜひ!

左)マリアノ・フォルチュニイ(イタリア)室内着1910年代(左)/輸出用室内着(日本製)1906年頃(右) KCI蔵
●コルセットをゆるめて着る日本風の装い
右)チャールズ・ウェブスター・ホーソーン(アメリカ)キモノを着て座る女性1923年頃 クライスラー美術館蔵(Gift of Gene Hirshhorn LePere)
●きもの風室内着や日本趣味の調度品はアメリカでも流行

■ファッションとアート 麗しき東西交流展
会期:2017年4月15日(土)- 6月25日(日)
会場:横浜美術館
https://yokohama.art.museum/

■■KCI(京都服飾文化研究財団)
https://www.kci.or.jp/

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