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#医療従事者インタビュー

乳がんの権威「福田先生」に聞いてきました。
~マンモグラフィ編~

2017.03.30

後編 マンモグラフィについて

聖マリアンナ医科大学附属研究所ブレスト&イメージング先端医療センター附属クリニックで、院長をなさっている福田 護(ふくだ・まもる)先生にお話を伺ってきました。後編の今回は、乳がん検診に欠かせない「マンモグラフィ」をご紹介します。前編「乳がんの権威「福田先生」に聞いてきました。~乳がんの基礎知識編~はこちら→

\インタビューの前に乳がんについて語り合いました!/

そこで出てきた質問をもとに先生に
乳がんのことを教えていただきました。

座談会の様子はこちら→

マンモグラフィに関する疑問

40代ちーちゃん

マンモグラフィはなぜあそこまで胸をぺたんこにするのですか?

福田先生

マンモグラフィの問題点は被ばくをする点です。良い写真を撮るだけではなく、被ばく量を少なくするためにぺちゃんこにするんですね。実は、乳がんのマンモグラフィよりも、CTの方が被ばくが多いんです。

30代ナリちゃん

1回のマンモグラフィで、「NY~東京に飛行機で移動するのと同じ被ばく量だ」と聞きました。

福田先生

マンモグラフィ1枚で、東京とニューヨーク1往復の被ばく量です。
通常、右房を2枚、左房を2枚とりますので、1回の検査で左右それぞれ2往復の被ばく量です。
技術が発達して、飛行機もより高度が高い場所を飛べるようになりました。
その分だけ客室乗務員さんたちの被ばく量が多くなっていますので、簡単には言えませんが、たくさん飛行機に乗っている人はがんになる確率が高くなるかもしれませんね。

30代ナリちゃん

乳がんの検査をしていても、悪化してしまったケースを聞いたことがありますが、未然に防ぐことはできないのですか?

福田先生

検査で本当は乳がんだったのに、発見できず陰性と判断されたことを「偽陰性」というのですが、これには理由があります。
・乳がんが小さかった
・場所が悪い
・デンスブレスト(dense breast)=乳腺が多い
このような理由でわからないこともあります。
この内「場所が悪い」というのは、技師の腕でほぼカバーすることができます。

40代ちーちゃん

技師さんの腕というのは私たちがわかるものですか?

福田先生

「認定技師」という制度があります。
認定 NPO法人乳房健康研究会の HPでは、撮影技師・施設画像・医師の3つの条件がそろった施設を掲載して紹介しています。

検査設備の整った施設リスト

また、「偽陰性」は、「デンスブレスト」つまり、「高濃度乳房」の方に多く起こりえます。
乳腺が高濃度だと、画像が真っ白く映ってしまうためがんを発見しづらいのです。
マンモグラフィで見つかるはずがない乳がんだったのに、その情報をもらえなくて「異常なし」とされて発見が遅れたケースがあります。
「その人の乳腺の濃度を伝えるべき」と、アメリカの半分の州は法律で決めましたが、日本ではまだ議論中です。
例えば川崎市では、昨年からお伝えすることになりました。

30代ナリちゃん

どんな伝え方をするんですか?患者さんにその場で写真を見たりするんでしょうか?

福田先生

検診後、結果の通知で伝えます。
「マンモグラフィではわかりにくい」からとエコーを申し込んでも、乳がん検診を行う施設はどこも手いっぱいで受け入れが難しいこともあります。
また、乳腺が高濃度であることは体質なので保険適用外であり、それに対する対応の仕方がまだ決まっていません。
全国一律でお伝えするのは難しいと今はされています。


けれども、自分の体のことは自分で知りたいですよね。
聞いたからといってパニックを起こすことはないだろうし、受け入れることができるだろうと。
これからの乳がん検診のため、40代女性がエコーとマンモグラフィをセットで受けたときの利益や不利益の研究が、日本で続けられています。
この研究成果を、世界が注視しています。

デンスブレストの比率

40代ちーちゃん

どのくらいの人がデンスブレストなんですか?

福田先生

若い人ほど多いです。
40代は70%がデンスブレストといわれていて、20代・30代は70%よりももっと高いんです。

つまり、若い人ほどマンモグラフィをしても分かりにくいことが多いのです。
また、欧米の人より日本人の方が、どの年齢でもデンスブレストの方が多いことが知られています。
乳房が小さく、乳房の中の脂肪の割合が低いためです。

30代ナリちゃん

企業検診などの場合、デンスブレストか教えてくれるんですか?

福田先生

読影の際には、4段階に分けるので、読影者は情報を持っているけれども一般の方には情報を返していないですね。
乳がんのしこりを見つけるのが不可能なデンスブレストでも、単に「乳がんではない」という判定になってしまいます。
つまり、デンスブレストのため、「乳がんを見つけにくい」という情報が届いていません。

30代ナリちゃん

「デンスブレストの傾向があるかどうか教えてください」と自分からいう必要があるのですね。
別のインタビュー特集で「増田美加」さんも、デンスブレストの問題をおっしゃっていましたね。

福田先生

そうですね。

福田先生からのメッセージ

40代ちーちゃん

最後に、乳がんに対して不安な私たちに、アドバイスを頂けますか?

福田先生

自分に合った検診をして欲しいですね。

第一次予防というのは、「乳がんにならない」ことで、
・お酒を飲まない
・タバコを吸わない
・適切な運動をする

第二次予防というのは、「乳がんで死なない」ことで、これは早期発見をして亡くなる人を減らすことができます。


ピンクリボン運動では、「ひとりでも乳がんで亡くなる人を少なくしよう」ということを目指しています。
そのため20代・30代・40代、リスクを考えて自分に合った検診を受けましょう。
そして、乳がん報道に惑わされず、落ち着いて検診を考え、乳がんになった人の生き方を学んでいただきたいと思います。

30代ナリちゃん

わからなかったら、先生に聞きに行くのも大切ですね?

福田先生

そうですね。
ピンクリボンアドバイザーになるのも良いですし、自分の身を守るためにも我流ではなくきちんとした知識を持ったネットワークで学ぶことが大切だと思います。

ピンクリボンアドバイサーとは

――丁寧にそしてわかりやすく「乳がんの疑問」に答えてくださった福田先生。女性にとって気になる、「妊娠・出産と乳がん」についてもお話を聞かせてくださいました。
興味をお持ちの方は是非、次回の記事もチェックしてみてくださいね。

福田 護 先生
昭和44年3月金沢大学医学部卒業、平成21年3月より、聖マリアンナ医科大学附属研究所ブレスト&イメージング先端医療センター附属クリニック院長を務める。日本における乳がんの権威として知られており、ピンクリボン活動の草分け的存在。

前編はこちら

監修:認定NPO法人乳房健康研究会