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#体験レポート

乳がんを経験しても温泉に入りたい!
「ピンクリボンのお宿」能登・和倉温泉加賀屋さんに行って来ました!

2017.09.28

温泉旅行に行ってきました

「ピンクリボンのお宿ネットワーク」は、乳がんを患い、手術を受けて回復の道を歩みながらも、術後の傷あとを気にして旅をあきらめてしまう女性の皆様に楽しんで頂きたいとの思いを込めて2012年に設立。現在所属しているお宿は、北海道から沖縄まで全国に200軒以上あります。乳がん治療中の人に対する「治療後にしたいこと」のアンケートでは「乳房再建」に続く2位に「温泉旅行に行きたい」があがっています。

ピンクリボンのお宿は、乳がん経験者に対してさりげないおもてなしの心にあふれています。
乳がんを経験したふたりがピンクリボンのお宿の加盟宿のひとつ、能登の「加賀屋」さんに出かけ、その取り組みを取材しました。
取材・文/増田美加(女性医療ジャーナリスト)

自ら乳がんを経験し、その後、
乳がんにかかった多くの女性たちの相談に乗っている私たち。
乳がん経験者の目線で加賀屋さんの
ピンクリボンの宿としての
心配りを体験します!

  • 真水美佳さん

    NPO 法人E-BeC 理事長

    真水ますい 美佳みかさん

    2008年に両側乳がんの宣告を受け、左温存、右全摘と同時に自家組織による乳房再建手術を受ける。2010年、写真集『いのちの乳房−乳がんによる「乳房再建手術」にのぞんだ19人』(撮影:荒木経惟、赤々舎)を企画・制作、自らもモデルを務める。2013年、NPO法人エンパワリング ブレストキャンサーを設立。
    現在は「乳房再建Hand Book」の発行、「乳房再建全国キャラバン」などを行っている。CNJ 認定乳がん体験者コーディネーター。

  • 増田美加さん

    女性医療ジャーナリスト

    増田ますだ 美加みか

    女性の健康と医療の執筆、講演を行う。2006年乳がんがわかり乳房温存手術を行う。2010年よりNPO法人女性医療ネットワーク理事。「マンマチアー委員会」を主宰。NPO法人乳がん画像診断ネットワーク副理事長。NPO法人みんなの漢方理事長。CNJ認定乳がん体験者コーディネーター。著書に『患者力』(講談社)、『乳がんの早期発見と治療』(小学館)ほか多数。

到着後、まずは加賀屋さんで
どのような取り組みを
されているのかを伺いました!

指江香里さん
加賀屋の「ピンクリボンお宿」の担当をしていらっしゃる管理課の指江さしえ香里さん。
「社内にも乳がん経験者がおりますし、私も乳がん検診を受ける年齢になった頃から自分の事として捉えるようになりました」

ホスピタリティに溢れた宿として有名な加賀屋さん。
乳がん経験者を迎えてくださるに当たり、どのような心配りをされているのですか?

「インターネットで"ピンクリボンのお宿プラン※"をご用意しています。お客様はみな同じ。乳がん経験者の方だけでなく、全てのお客様に楽しんで満足して帰っていただきたいのです。そのためには、従業員が乳がんに対する正しい知識をもつことが大切だと思っています。お客様の心にできるだけ寄り添ったおもてなしができるように"ピンクリボンのお宿ネットワーク"主催の勉強会にも参加しています」と指江さしえさん。

  • 温泉
  • お部屋
  • お食事

お風呂には脱衣所、洗い場、小物と
さりげない配慮がありました

脱衣所には備え付けのバスタオル、フェイスタオルが常にたくさん常備されています。
ちょうど温泉(浴場)への出入り口近くに配置されているので、乳房の傷が気になる人はタオルをサッと肩にかけることもできます。

  • 脱衣所にたくさんのタオル

    誰でも自由に使える大判サイズの入浴ショールが脱衣所にそっと置かれていました。露天風呂に入るときに、肩周りが冷える人も重宝します。「乳がん患者さん専用とされると、かえって使いにくいですが、こんなふうにさりげなく置かれていると、使いやすいです。肩からかけられるサイズで乳房が自然に隠れるからいいですね」(真水さん)

  • 間仕切りがある浴場

    間仕切りがある浴場「能登客殿 1階 花神の湯」。
    「仕切りがあるタイプの洗い場はありがたいです。周りの人を気にせずゆっくり洗えますね」(増田)

    1階 花神の湯 能登客殿

  • 色鮮やかなイタリア製タイル

    色とりどりのイタリア製のタイルが艶やかな「能登客殿 1階 花神の湯」。
    まるで竜宮城のような美しさ。1階なので、海との距離がとても近く、雄大な景色が堪能できました!

    1階 花神の湯 能登客殿

  • 周囲から見えない空中露天風呂

    2階「辨天の湯」にある海に面した空中露天風呂。周囲から見えないように、すだれで覆われていて小さめサイズの湯船なので、少人数で入ってゆっくりできます。海風を感じながら、七尾湾の眺めを楽しめます。

    2階 辨天の湯 雪月花

  • ロッカーが間仕切りになる

    「"辨天の湯"の脱衣所はロッカーが間仕切りの代わりをしてくれるから着替えやすいですね」(増田)。

    2階 辨天の湯 雪月花

雄大な七尾湾を望むロケーションを楽しみつつ露天風呂に入れる2階「辨天の湯」。
夕焼けの海を眺めながら入る温泉も格別です。
「広々とした海を見ながらゆっくり手足を広げて温泉に入れば、治療の疲れを癒せますね」(真水さん)。
「入院治療中は、家族や気のおけない友人と一緒に露天風呂に入る日を楽しみにしていました」(増田)。

乳がん患者さん用に入浴着が用意されています。「ピンクリボンのお宿プラン」で申し込むと客室係の方が入浴着をお部屋に持ってきてくださいます。両胸用と片胸用があり、入浴着を着たまま温泉に入れます。

「ピンクリボンのお宿プラン」では乳がん経験者だけでなく、女性全員に「シャワーキャップ」をプレゼント!
「乳がんの抗がん剤治療などで脱毛している間でも、ウイッグをはずして気兼ねなく大浴場に入れていいですね。
脱毛中の自分だけがシャワーキャップをかぶるのではなく、家族や友人もかぶっていれば、がん患者であることがわからない...。素晴らしい配慮だと思います」(真水さん)。
ポリエステル生地で汚れが付きにくく、裏地が防水素材。好きな柄が選べます。

露天風呂付の客室は心おきなく
部屋でもお風呂に入れます

禁煙タイプのお部屋(通常の和室)も指定できます。
露天風呂付のお部屋にはバルコニータイプの広縁がついていて、七尾湾の新鮮な空気を胸いっぱい吸い込めます。

  • お抹茶とお菓子でまったり

    到着すると、お部屋でお抹茶とお菓子でくつろぎます。調度品はどれも素晴らしい美術品のようで素敵です!

  • 海が見える部屋付き露天風呂

    バルコニーの海側に位置する部屋付露天風呂。源泉かけ流しでひと晩中いつでも入れます。

増田 : ゆっくり温泉に入れる日が来てよかったね
真水さん : 本当に! 乳房再建をする女性に聞くと、再建する理由は家族と温泉旅行に行きたい!がダントツなんです

夕食はゆっくりできるお部屋、
または個室宴会場で

「カンパーイ!」
ワイングラスで愉しむお茶「ロイヤルブルーティー」をいただきます。(プラン特典として夕食時1人1杯大人のみに)

夕食は、ゆっくりできるようにお部屋、または個室宴会場でいただけます。
また、食事はリクエストするとできる限りの希望を聞いてくれます。
たとえば、薬物療法中で口内炎ができて痛い、特定の臭いがどうしても気になるなど、味付けや食材で配慮・工夫が必要なことや、アレルギーなどは予約時に連絡すると対応してくれるところも治療中の時期には、嬉しい心配りです。
指先にしびれや関節痛があるときのために、希望すればお箸以外のカトラリー(スプーンなど)も用意してくれます。

加賀屋さんのおもてなしの心を伺いました

増田 : 「ピンクリボンのお宿」としての加賀屋さんの心配りを拝見すると、乳がん経験者を特別視せず、ほかのお客様と同様に、自然にさりげなく、おもてなしをしていただいていることをまず感じました。

指江さしえさん : ありがとうございます。お客様のお気持ちを先に察知して、できるだけご指示いただく前に準備したいと思っております。
それはどのお客様にも同様ですが、乳がんの治療中や克服された方やご家族の心に寄り添い何かお手伝いできることがあれば、というのが私どもの思いです。

真水さん : それは、とても感じました。施設のハード面はもちろんですが、客室係の方や受付の方の対応も優しい心配りに満ちていて、ソフト面でも、乳がん経験者や乳がんに対する知識を深めていらっしゃることがよくわかりました。

増田 : 乳がん経験者への配慮は個々人の好みとして、乳がんを個性として、捉えてくださっていることがよくわかりました。
入浴ショールやシャワーキャップが乳がん経験者専用でないところが、私たちの心をわかってくださっている気がして...とてもいいですね。

指江さしえさん : 笑顔で気働き、半歩先をゆくおもてなしが加賀屋のモットーです。そのためには正しい知識を持つことが大事。
知識を深めれば知恵にかえる力になると思っております。
知恵となれば臨機応変な対応ができるわけです。

真水さん : 加賀屋さんで働いている方、みなさんに、乳がんへの理解が広がることだけでも大きな社会貢献で、素晴らしいピンクリボン活動だと思います。
受付の男性の方も笑顔で、「ピンクリボンのお宿」冊子を説明しながら手渡してくださったのはとても印象的でした。
私たちは常々、男性の方にも乳がんを理解して欲しいと思って活動していますので。

翌朝、指江さしえさんはお部屋係の方と揃って私たち取材陣を見送ってくださいました。
本当にありがとうございました。

なんと客室係のおふたりは、和倉温泉駅のホームまでお見送りに来てくださいました。

今回の取材を終えて...

真水さん : 乳がんだから...ではなく、全てのお客様と同じように、自然にもてなしてもらえる雰囲気がとても心地よくて、リラックスできました。温泉は日本人にとって大切なコミュニケーションツール。
私が手術後に最初にやりたいと思ったのは、いろいろ心配してくれた家族と一緒に温泉に行くことでした。乳がんにかかる人は年々増えていて、その多くの女性が温泉に入って癒されたい、という気持ちを持っています。
「ピンクリボンのお宿ネットワーク」をいい見本に、さらに社会全体として乳がんへの理解が進むことを期待しています。

増田 : 術後のQOL(クオリティーオブライフ)の向上が乳がん治療の中でも重要性を増している中、加賀屋さんのような「ピンクリボンのお宿ネットワーク」に加入する宿が益々増えることを期待したいです。
私たち日本女性は温泉が大好き。「温泉に行きたい! だからつらい治療も頑張る!」という女性はたくさんいます。
乳がんの傷で心も傷ついているときは、なかなか外に出てお風呂に入る気持ちになりにくい時期もあるのですが、一旦踏み出せば、豊かで楽しい人生が待っていることを思い出すきっかけにもなると思います。
温泉旅行には、その力がありますね。

今回お伺いしたのはこちらのお宿です

和倉温泉 加賀屋(石川県)

「ピンクリボンのお宿ネットワーク」に加盟し、乳がんを患い治療中・克服された人に「もう1度旅行を楽しんでいただきたい」という思いから、加賀屋さんの女性スタッフが考えた「ピンクリボンのお宿」プラン。乳がん患者さんを含む個人のお客様、ピンクリボンのお宿ネットワークの活動に賛同されている方を対象にした宿泊プランです。

【お部屋タイプ】
■雪月花特選階(禁煙タイプ)
■能登渚亭 露天風呂付き客室(禁煙希望の場合は消臭対応となります)
■通常のお部屋タイプは禁煙希望の場合消臭対応となります。

<プラン特典>
・ご夕食時にロイヤルブルーティー1人1杯付(大人のみ)
・女性には選べるシャワーキャップをプレゼント(大人のみ)
・「ピンクリボンのお宿」冊子(1予約1冊)
詳しくはこちらから
加賀屋公式ホームページ
https://www.kagaya.co.jp/
ピンクリボンのお宿ネットワーク
http://www.ribbon-yadonet.jp/

ピンクリボンのお宿