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  • ものづくりの現場から〜パジャマができるまで〜 vol.2 紡績工場(後編)

    ●編集部セレクト

    ものづくりの現場から〜パジャマができるまで〜 vol.2 紡績工場(後編)

丁寧に作り上げられる1本の糸

糸ができるまでの様子を、前編では、圧縮して輸送されてきた綿を解きほぐし、ゴミを除去して混ぜる工程から、綿の束(スライバー)にするまでの工程をお伝えしました。後編では、その続きの、糸にするまでの工程をお届けします。

繊維をまっすぐに揃え、太さを均一にする練条工程

練条工程では、綿繊維を束にしたスライバーを集めて伸ばす作業をします。

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(写真:練条機)

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(写真:8本のスライバーを集めて1本にする練条機)

まず、カード機またはコーマ機で繊維の流れを整えたスライバーを8本集めて太い束にし、引き伸ばして1本のスライバーにします。

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(写真:8本を1本にまとめたスライバー)

その状態のものをまた8本集めて引き伸ばします。合計64本のスライバーを集めて伸ばすことで、繊維をまっすぐにし、色ムラを安定させたり、太さのムラをなくします。繊維方向と太さなどのムラを整えたスライバーを練条スライバーと呼びます。

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(写真:練条からのスライバーを粗紡機(粗糸を作る機械)の裏に収めて、粗紡機に供給する様子)

練条スライバーを、粗い糸の状態にする粗紡工程

練条スライバーを、いきなり糸にするには太すぎるため、まずは粗糸と呼ばれる粗い糸の状態にしていきます。

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(写真:粗紡機)

粗紡機には4つのローラーがついていて、一番奥のローラー(スライバーに近いローラー)の回転数は遅く、手前のローラーは速く回転します。ローラーの回転速度の差によって、 スライバーの繊維を引き抜いていき、繊維を引き延ばします。引き抜いていくとともに、ここで初めて繊維に撚りをかけて(ねじって)いきます。kouhen_06(pw).jpg

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(写真:粗糸

太さ、撚りを、所定の仕様にととのえる精紡工程

軽く撚られた粗糸を、所定の太さになるように引き伸ばし、所定の撚りをかけていくのが精紡工程です。

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(写真:精紡機)

太さと撚りの強弱で、糸の強弱や質感が変わります。ここでは用途の仕様に合わせて糸を紡ぎ、紡がれた糸をボビンに巻き取ります。

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(写真:繊維ほこりを吹き飛ばし、吹き飛ばしたほこりを床に近い下の口から吸い込む)

緑色のレーザーで、糸切れをチェックしています。糸が切れている部分はレーザー光線が当たらないので、緑色の間隔が広くなり、目視で容易にわかります。1時間に5〜10本程度の糸切れが発生しますが、発生した場合は切れた部分の光が消えます。切れた糸をローラーの手前の部分に戻すと、再び糸を紡ぎ始めます。この機械では480個のボビンに糸を精紡することができますが、1時間に10本分以上の糸切れが起こらないように、撚りの強さや紡出量(糸を紡ぐスピード)を調整しています。

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(写真:精紡している様子)

精紡工程でようやく綿繊維が、糸になります。

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(写真:ボビンに巻かれた糸)

検品しながら、出荷用パッケージに巻きなおす巻糸工程

巻糸工程では、精紡工程でボビンに巻かれた糸を何本かあわせて大きなパッケージに巻いていきます。

準備作業として、ボビンから糸の端を引っ張り出しやすいようにしていきます。

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(写真:ボビンから糸の端を引っ張り出す様子)

出荷用パッケージには、円錐形のコーンと円筒状のチーズがありますが、ここではコーンが使用されています。コーンは主に編物(ニット)用、チーズは主に織物用として使用されています。ここではボビンの糸をコーンに巻き返しながら、糸の欠点であるネップ(繊維が絡み合ってできた節)や混入した小さなゴミ、糸ムラなどをチェックし、除去していきます。

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(写真:巻糸機)

ネップや糸ムラを見つけたときは、機械が自動的に糸を切ります。 糸を切った場合や、1本のボビンが終わり次のボビンに切り替わるとき、糸をつなぐ作業も機械が自動的におこないます。切れた糸の先を、圧縮空気の力で撚りをほどき、ほどいた2本の先を合わせて撚り直します。これにより、どこにも結び目のない1本の糸で、出荷用製品ができあがります。

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(写真:自動糸切りと自動糸つなぎの機能を完備)

製品を最終チェックする検品工程

各工程でも検品作業はおこなわれていますが、出荷前の最後の検品をおこないます。

ブラックライトを当てて、異原糸(異なる糸)が混じっていないかをチェックします。

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(写真:ブラックライトで検品)

撚りの強い製品は、スナール(糸の撚りが縮んでできたループ状の縮れ)がでやすいため、55度で10分間熱処理をしてスナールを抑制します。コーン表面だけでなく、コーン中心部分にも熱が伝わるように真空状態でおこないます。ニットに使う糸は、出荷先の編み機の効率を上げるために熱処理をしますが、織糸はピンっと張って使うため、熱処理はしません。

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(写真:スナールを軽減させる熱処理機)

荷詰めの際、人の目でも検品をしてようやく糸は世の中にでていきます。

糸の品質や番手(太さ)や撚り数により、布のなめらかさや肌ざわりが変わっていくので、最初の糸選びはとても大切です。

パジャマの肌ざわりの原点が、紡績工場で丹念に作られた糸にあることが、今回の取材でよくわかりました。

次回は、糸が織られて、布になるまでの工程をお届けします。

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(写真:ケースに梱包される前の糸)

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