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    ■編集部セレクト 

    ものづくりの現場から〜パジャマができるまで〜vol.4 製織工場(後編)

緻密なデータと経験により生まれる精度の高い織物

前編では、生地を織り上げるために必要な、経糸(たていと)を整える工程をお伝えしました。後編では、整えた経糸に緯糸(よこいと)を織り込んでいく製織工程をお届けします。ここからは、ワコールの「睡眠科学」ブランドのパジャマが作られていく様子を、実際に追跡取材しています。

製織機の各部品に、経糸を1本ずつ通していく経通へとおし工程

織物を織るためには、製織機の各部品に、経糸を1本ずつ通していく必要があります。この作業を、経通しといいます。 織物の種類など、定められた規格に合わせて経糸を通し、通し方も織物により異なります。 手仕事で通す場合と、機械で通す場合があり、手仕事でも1日約4,000本の糸を通しますが、機械だと1日約2万本通せるものもあります。通し方を1本でも間違えると筋が入ってしまうので、非常に気を遣う作業になります。

スムーズに織るための緯糸準備

緯糸は、円筒形のチーズや円錐形のコーンなどさまざまな形の紙管に約1kg〜2kgずつ巻かれた状態で紡績工場から納品されてきます。製織機にセットする緯糸は、分速約1,000mの非常に早いスピードで送り出すため、円筒形のチーズに巻かれているとスムーズに糸を送り出すことができません。また、円錐形のコーンに巻かれていても、1巻当たりの糸の長さが短いと、頻繁にコーンを取り替えないといけません。そのため、3〜4個のチーズまたはコーンをまとめて、再利用できるプラスチックコーンに巻き直していきます。糸を巻きつけることをワインドということから、この工程をワインダー工程と呼んでいます。

今回のパジャマには、円筒形のチーズが使用されていました。

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(写真:紡績工場から届いた緯糸が入ったダンボール)

機械で生地を織る製織工程

製織工場に入ると、綿糸などを切れにくくするために、湿度70%以上、室温27〜30度ぐらいに保たれていました。

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(写真:工場内の様子)

まず、製織機に前編でお伝えした経糸のシート(織幅分の経糸を、まっすぐに並べて糊付けしたシート状のもの)をセットします。経糸の経通しができあがり、緯糸のセットが完了するといよいよ製織が始まります。

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(写真:経糸のシート)

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(写真:製織機の正面)

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(写真:経糸シートがセットされている製織機の背面)

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(写真:製織機にセットされた2本の緯糸チーズ)

一定の速さで送り出された経糸は、1本ずつ分かれてドロッパという部品を通ります。ドロッパは経糸が1本でも切れると製織機が止まるように見張るセンサーの役割を果たします。 次にヘルドという部品に通し、糸の通った複数本のヘルドを1つの枠にセットしたヘルド枠を、織物の規格に合わせて数種類作ります。そして、セットした、各ヘルド枠が規則的に上下に動いて経糸を開く「開口」と呼ばれる動きをして、緯糸の通り道を作ります。

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(写真:赤枠内の部分は製織機のドロッパ)

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(写真:赤枠内の部分は製織機のヘルド)

その上下2層に開いた経糸の間に、緯糸を圧縮空気で噴射して飛ばす、「緯糸入れ」をおこないます。 緯糸が布の端まで到達しない場合や、行き過ぎてしまい手前側に糸が残らない場合には、自動的に織機が止まるように機械の右側にセンサーが2つ装着されています。

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(写真:矢印方向に緯糸を圧縮空気で飛ばしている様子①)

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(写真:製織機の筬と緯糸の動きを察知するセンサー)

緯糸が1本挿入されると、上下2層に分かれたヘルド枠の一部または全部が入れ替わります。その境目にリードと呼ばれる筬(おさ)を打ち込む「緯糸打ち込み」をして、織りの密度を整えます。 機械には2つの緯糸がセットされています。天然繊維である綿の糸は、糸ムラが出やすく、1つのチーズ(円錐形に糸を巻いたもの)だけで織ると、糸ムラがそのまま織物に反映されてしまいます。同じ糸ですが、2つの緯糸を交互に飛ばすことで、品質のムラをなくし、より均整のとれた生地にしています。

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(写真:矢印方向に緯糸を圧縮空気で飛ばしている様子②)

「睡眠科学」に使われる糸は、ポリウレタンの芯に綿を巻きつけて1本の糸にしているため、緯糸を飛ばすときに、飛ばす速度が早すぎると周りの綿が飛んでいき、芯のポリウレタンだけが残ってしまうことがあります。そのため1分間に1,000回転(1,000本の緯糸を挿入)する機能を持った機械を、あえて455回転に回転数を落として丁寧に織っています。ちなみに「睡眠科学」のパジャマの生地に使われる経糸の数は7,072本。173cmの通し幅(出来あがり幅+織り縮み分)で織っており、インチ間密度(1インチ当たりの経糸、緯糸の合計本数)は、経糸112本、緯糸が72本です。

製織の難しさ

織物には、用途に応じて織り組織や密度の違い、素材の違い、異素材をミックスするなど、さまざまな種類があります。そのため規格に応じて、微細に製織機の設定を変えなければいけません。緯糸を飛ばす圧縮空気の速度や、タイミング、経糸を引っ張る力加減や開口するときの張力の調整といった基本的なことのほかにも、さまざまな調整や部品の選定が求められます。

昔の織機に比べて機械の自動化が進み、均一な織物を織りやすくなったとはいえ、より品質の高い織物を作るには、長年蓄積された実績データと経験が必要です。規定の番手(糸の太さ)、織り組織、経糸の総本数、インチ間密度などの条件でどのくらい織り縮みが出るか、どんなトラブルがあったかなど細かくデータを蓄積することにより、どんな注文に対しても、精度の高い織物を作り出しています。 このように、随所で経験と実績によるデータの蓄積から生まれた創意工夫が施されています。

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(写真:出来上がった生地が巻かれている製織機の正面)

織り上がった生地を点検する検反けんたん工程

織り上がった生地は、検反工程へ送られます。 ここでは、生地を透過板の上に置き、裏から蛍光灯で透過させながら、織物に不備がないかをチェックしていきます。例えば、切れた糸の残りがはみ出ていないかなどを点検しながら除去していきます。

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(写真:検品作業の機械)

織物に横ゆるみなどの欠点が発生していた場合、即座に生産現場に伝え、機械を修理します。検反作業は、織物の品質状態をチェックするだけではなく、機械の不良も見つけ、管理する重要な役割を果たしています。また、必要に応じて、ブラックライトでの検品や、サンプルを取り、簡易的に染めて、異原糸(異なる糸)の混入などの事故防止をする場合もあります。 最後に、検反した織物をロール状に巻いていきます。たたむと、たたみジワができてしまう場合があるので、次の加工でシワが残らないように約100mごとにロール巻きで梱包して、次の加工場へ出荷します。

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(写真:検品の様子)

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