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    ■編集部セレクト 

    ものづくりの現場から〜パジャマができるまで〜vol.7 染色工場(スクリーン捺染:前編)

徹底した品質管理とシステム化による量産体制の構築

今回はvol.4〜vol.6にかけてお届けしたワコール「睡眠科学」のパジャマの追跡取材から離れ、前回ご紹介したローラー捺染以外の捺染方法の一つであるスクリーン捺染についてご紹介します。スクリーン捺染とはフラットスクリーンまたはオートスクリーンなどとも呼ばれています。すべての工程で、コンピュータや特殊な機械、それに人の手や目も加えた品質管理システムが構築されています。

縫合から不純物の除去、漂白へと続く生地の準備工程

ローラー捺染同様、スクリーン捺染においても実際の染色作業に入るまでに、さまざまな準備工程が存在しています。ニットや織物、綿布など荷受けした生地は、まず搬入時に折りたたまれて運ばれてきた生地を伸ばします。その後、加工する量に応じて生地を縫い合わせる結反と呼ばれる工程へと向かいます。

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(写真:荷受した生地)

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(写真:生地を伸ばしている様子)

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(写真:生地を縫い合わせて結反し終わった後の様子)

ちなみに今回の生地では結反のみでしたが、丸編みと呼ばれる筒状に丸く織り込まれたニット生地の場合は、半分に断裁して生地をフラットな布の状態にする開反と呼ばれる作業も行われます。

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(写真:丸編みのニット生地を開反している様子)

結反が終わると生地から不純物を取り除く精錬工程へと進みます。綿織物には油や、糸を生地にする際に使う糊、ほこりなどが生地表面に付着しているため、不純物を落としていきます。精錬工程はおもに3工程に分かれていますが、1台の機械でそのすべてをまかないます。

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(写真:精錬機)

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(写真:精錬機に生地が投入される様子)

生地が投入されるとまず毛羽を炎で焼き、生地の風合いや光沢を改善するとともに後工程での染料、精錬剤の浸透を高める毛焼きを行います。続いて糊抜きの工程では3台の水洗槽で糊を洗い流します。最後に生地に適したさまざまな種類の精錬剤を塗布したうえで巨大な釜に入れ、そこでさらに86度のお湯に30分から40分ほど浸すことでようやく不純物を完全に取り除くことができます。

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(写真:毛羽を焼いている様子)

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(写真:不純物が取り除かれた生地)

精錬工程が終わった生地は、自動的にそのまま精錬機からつながるダクトを伝って90度回転し、通路を挟んだ反対側にある漂白機へと移動し、漂白工程へと移っていきます。漂白もすべて機械によって自動で行われ、基本的な構造は精錬工程と同じように塩素系の薬品プールで漬け込んだあと、生地と一緒に炊き込み、色素を抜いていきます。漂白された生地は、さらにダクトでつながっている別の棟の機械に自動でそのまま運ばれ、漂白剤を洗い流す工程へと移動します。大量の水で漂白剤が洗い流された生地は、脱水装置のついたサッチャーと呼ばれる機械でこれも自動で脱水しながら広げられ、ねじれなどをほぐしていきます。これでようやく、染色のために必要な生地の前準備がすべて整ったことになります。

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(写真:漂白剤を洗い流している様子)

色の基準値を定める調色室での調色伝票作り

生地の準備が整った後は、色づくりの前準備に進みます。色を決めるにあたっては、図案をもとに調色伝票を作成します。外部の専門の会社に発注して型を作り、まずはいったん紙に刷っていきます。この紙に刷ったものは絵刷りと呼ばれ、実際に生地に刷る前にこの絵刷りで型の出来具合を確認します。発注通りの図案であるか、間違いがあったり不要な図柄が入っていたりしないか、欠点はないかなどを細かくチェックします。もし修正があった場合は外部の専門の会社に差し戻し、型からもう一度作り直します。こうして色や型などに問題がなければ、実際に捺染するための染料作りに入っていきます。

1台で200色を作ることができる自動調色機

調色室で定められた色の調色伝票に応じた割合で、染料と糊を調合し、色糊を作ります。色糊を作る装置は染料の調合もすべて自動で行われ、自動調色機と呼ばれています。染料はパイプからポンプで直接タンクへと送り込まれます。タンク1本につき色は1色ずつ。シアン(=赤紫)、マゼンタ(=青緑)、イエロー(=黄色)という、色の3原色に基づく3色配合で生み出され、その注入量や組み合わせ方、配合バランスなどによって、調色伝票で指定されたさまざまな色を忠実に再現できます。また、このような統合比率は調色伝票通りにメーターで管理されたうえ、すべて自動で行われており、エラー率が2%と設定されているため、調合比率のエラー率が2%を超えると自動で機械がストップする仕組みになっています。この自動調色機は2台あり、1日に1台で200色、2台で合計400色を作り出すことができます。

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(写真:染料を送り込むパイプ)

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(写真:タンクから送り込まれた染料が注入されている様子)

攪拌器(かくはんき)と粘度計を使った精密な染料作り

こうしてフルオートで調合された色糊は、攪拌器で混ぜ合わせます。最初から高速回転でかき混ぜると、染料と糊とが混ざっていないので飛び散ってしまうため、最初は低速回転でしっかりとかき混ぜ、次第に高速回転で攪拌していきます。染料が生地にしっかりと定着するかどうかは、この調合の工程が重要となります。とくに糊が適正な粘度になっているかの見極めにはかなりの神経を使われています。ここでは糊の糊度の測定には粘度計と呼ばれる専用の計測器が使われます。粘度計を使った方が温度や湿度などの環境要因を調べて数値を出すよりも、糊の変化が分かり、環境によってベストな数値を出せるため効率的だからです。最新技術によって合理化されたスクリーン捺染の現場では、すみずみまで徹底した品質管理が行われています。

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(写真:攪拌している様子)

サンプル作成と色彩評価を経て、いよいよ本刷りへ

生地と染料がすべて揃ったら、いよいよ試し刷り用のサンプルを作ります。型は本刷りで使う型をそのまま使用し、一枚一枚型合わせをするなど、ほとんど本番さながらの精密さです。

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(写真:サンプル用の自動調色機)

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(写真:サンプル用に調合された色糊)

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(写真:試し刷りの様子)

出来上がったサンプルは検査工程に運ばれ、ここで色や染料の乗り具合、型ずれがないかなどをチェックします。この工程で使われている蛍光灯は演色性(自然光で見たときに実際の色に近いかどうか)が良いとされる特殊な蛍光灯で色評価用といわれるものです。染色工場をはじめ、色をチェックする際に多く使われているものです。 チェックした結果に不良が見つかった場合は、サンプルの状態と不良要因となる項目がすべて書かれた一覧表とを見比べながら、不良が起きている工程や原因を突き止めたうえで再度修正を行い、ようやく本刷り工程へと進んで行きます。

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