池田理代子氏スペシャルインタビュー

池田理代子

池田理代子 (劇画家・声楽家)

プロフィール詳細を見る

今回のSaluteと『ベルサイユのばら』のコラボレーションに関して、イラストや写真ビジュアル、商品をご覧になっての率直なご感想をお聞かせください。

(以下敬称略)

池田

どれも、とっても可愛らしいです。商品の中で特に気に入ったのは、73グループの IVカラーですね。白地に黒い縁取りという組み合わせはコントラストが効いていて、私の好みです。

73グループ IVカラーは、オスカルの白軍服をイメージしてデザインしました。ゴールドカラーの刺繍アップリケは階級章をモチーフにしています。グリーンと赤のバラは、フランス国旗のトリコロールカラーからイメージを広げました。

池田

なるほど、トリコロールカラーがヒントなんですね。青は、真っ青というよりは深みのあるピーコックグリーンになっていて、大人っぽい印象になっているのも素敵です。大きなバラのアップリケがよく映えていますね。

73グループ RPカラーとPIカラーは、マリー・アントワネットからインスピレーションを得ました。RPカラーは王妃になった大人のマリーを、PIカラーは幼少期のピュアなマリーをイメージしたカラーです。

池田

ピンクは私の好きな色のひとつです。特に、PIカラーのような濃すぎない、淡いトーンのピンクは大好きな色合いなんですよ。

それから、モデルさんを使った写真の74グループのビジュアルもとっても気に入っています。髪を巻いたヘアスタイルも、バラの花をたくさん使って髪を飾っているところも素敵で、見た瞬間に「わあ、マリー・アントワネットだわ!」と思いました。

74グループは、マリー・アントワネットに加え、アンドレ、フェルゼン伯爵、ロザリーといった登場人物をイメージしたカラーバリエーションです。カラーのイメージソースは、原作で描かれてきた登場人物たちの衣装や髪の色です。

池田

そうなんですね。それぞれのイメージにぴったりの色に仕上がっていると思います。よく見ると、レース使いやラメ糸を散りばめた刺繍の繊細さにも目が行きますね。

ありがとうございます。レースや刺繍は、『ベルサイユのばら』に登場するラグジュアリーな宮殿の装飾などからインスピレーションを得ています。例えば73グループ IVカラーの黒い縁取りなどは、作品に出てくる宮殿の階段の手すりのデコラティブな装飾をモチーフにさせていただきました。

池田

いろんなところに要素が散りばめられていますね。『ベルサイユのばら』で描いたのは、中世から近世へと移り変わる過渡期の時代。フランスの中で美意識をはじめ、いろんな価値観が大きく変化していたときです。作品の中でも、そうした激しい変化を生き抜くしなやかさや自由さを強く意識していました。衣装や建物を描いているときも、そういった意識が出ていたのではないかと思います。

Saluteの下着には、大きなバラのアップリケがあしらわれているのも特徴です。池田先生の作品名にも登場する、バラの花には特別な思いがおありでしょうか?

池田

そうですね、私自身は野原にさりげなく咲いているような小さな花が好きなんですけれど、やはりバラには「花の女王」というような、堂々とした華やかなイメージを持っています。

今回コラボレーションしたSaluteのいろんな下着を見て、こんなランジェリーを身につけられたら素敵だなあって想像して楽しんでいます。私に合うサイズがあるか、ぜひ教えてくださいね(笑)。

池田先生ご自身は、下着をどのようにとらえて楽しんでいらっしゃいますか。

池田

女性は男性に比べて、下着を楽しむという機会が多くあるように思います。下着そのものを選ぶことを楽しんだり、身につけることを楽しんだり。例えば洋服がシンプルな黒いワンピースだったとしても、その中にSaluteの下着を身につけていたら、とても気持ちが華やぐんじゃないかなと思いますね。

私も若い頃は、華やかな下着とシンプルな洋服の組み合わせを楽しんでいました。下着が素敵だと、気持ちが深まるというか。

今は、ふだん身につける下着にあまりこだわりはないのですが、Saluteのように素敵な下着だったら、誰に見せるわけでなくても、気持ちが晴れやかになりますよね。

2022 Autumn‐2023 SpringのSaluteのシーズンテーマは「Love Fantasy」です。身につける方にファンタジーを届けたいという思いをこめています。『ベルサイユのばら』は、連載をスタートした当時の50年前の少女たちにとってはまさにファンタジーを運んできた存在だったのではないでしょうか。

池田

ええ、当時の少女たちはおそらくこんなドレスや建物はほとんど目にしたことがなかったと思います。「こんな世界があったんだ」とびっくりしたことでしょう。そのくらい、そういうものを知らない時代でした。
『ベルサイユのばら』の後、ミュージカルや演劇でも、オスカルのような軍服を着る作品や、宮廷ものの作品が見られるようにもなりました。

さまざまなジャンルに影響を及ぼした『ベルサイユのばら』は、今年連載開始から50周年を迎えます。それを記念して、「誕生50周年記念 ベルサイユのばら展 -ベルばらは永遠に-」が開催されますが、今、改めて作品に対して思うことはおありでしょうか。

池田

今回の展覧会に向けていろんな方と対談したり、インタビューを受けたりする機会があったのですが、その中のお一人が「『ベルばら』は、少女たちにとってはルネサンスだったよね」っておっしゃったんです。本当にそうだなあと、とても嬉しく思いました。当時の少女たちが、まったく新しい、見たことのないものに触れた機会だったんだなと。そう思っていただけて嬉しかったです。

ルネサンスだったと思えるほど、新しい価値観をもたらした存在だったのですね。そんな池田先生にお聞きしたいのですが、先生ご自身は「セクシー」というイメージをどのようにとらえていらっしゃいますか。
というのも、Saluteはブランドコンセプトに「劇的セクシー」を掲げており、圧倒的な美しさや細部にこだわる姿勢こそが、セクシーという価値を生むと考えています。池田先生が考える「セクシー」とはどのようなものか、ぜひお聞かせください。

池田

人によってとらえ方はさまざまでしょう。胸の大きな人がセクシーだと感じる方もいるし、オスカルのようなスレンダーで凜とした佇まいがセクシーだと感じる方もいらっしゃると思います。
私としては、結局その人自身の中身こそが、セクシーにつながるんじゃないかなと考えています。
顔の表情や姿勢、立ち居振る舞いから、もっと広い意味での生き方も含めて、自分の信念をしっかり持っている人がとてもセクシーだと思いますね。

最後に、『ベルサイユのばら』の登場人物たちのように、自分を貫いて自分らしく生きたいと願う現代の女性たちに向けて、メッセージをお願いします。

池田

50年前から変わらず思い続けているのですけれど、自分の信念というものを持って、それを貫くこと。そういう生き方こそ、結局は後悔のない生き方であると思います。

現代は、女性にとって決して楽な時代ではありません。

私自身、『ベルサイユのばら』がヒットするまではつつましく一人暮らしをしていましたし、いろんなアルバイトをして苦労も経験しました。

けれど、その中でも自分を曲げずに生きてきたことが、今、誇りになっているんです。

人間は必ず年をとるし、いずれは死が訪れます。そのときに人生を振り返ってどう思うか、が大切な気がします。

まわりの人に振り回されたり、今だけを見たりするのではなくて、年をとってから「ああ、いい生き方をしたなあ」って思えるように、自分らしく生きてください。