■からだのなかの放射能
安斎 育郎 先生
安斎科学・平和事務所 所長/立命館大学 国際平和ミュージアム 名誉館長
■いのちのバトン
鎌田 實 先生
諏訪中央病院名誉院長/日本チェルノブイリ連帯基金(JCF)理事長
・コーディネーター : 北山晴一 (乳房文化研究会 常任運営委員)
安斎育郎先生のご講演を聴いて
東日本大震災から、間もなく1年となるが、ニュースで福島原発事故が取り上げられない日はない。乳児栄養を専門にしている私には、被災地の赤ちゃんの健康状態が一番の気がかりだ。
原発事故後、授乳中の多くのお母さんから、「母乳を続けても大丈夫でしょうか?」と質問を受けた。乳児にとって、母乳が最良の栄養源であることは議論の余地はない。しかし、放射能汚染と母乳栄養についての研究は見当たらず、また放射能に関する知識のない私は、「放射能汚染を受けない方が良いけれど、国の定めた基準値よりずっと低い値だから...。」と言葉を濁し気味に返答し、お母さん方の不安に応えられないでいた。今回の特別研究会の安斎育郎先生のご講演「からだのなかの放射能」は、今一番訊きたい話題であった。研究会の出席者も100名を超え、関心の高さが伺えた。
安斎先生は原子力工学をご専門にされ、原発の良い面・悪い面、どこまで明らかなのかを客観的にお話しくださった。先生のご提案は、わからないことも多い原発事故に、これからを見据えた「リスクの最小化」の提案と「理性的に怖がる」姿勢の重要性で、私がお母さん方にしたかった回答であった。
研究会には今回はじめて参加させていただいた。研究会において、専門分野の異なる先生方とお話できることは、私に新たな視点と研究を客観的に見つめ直す機会を与えてくれる、とても楽しみな時間となりそうだ。
廣瀬 潤子(会 員)