定例研究会レポート

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乳房をめぐる犯罪と法律
2008年1月26日

 
■問題提起  今なぜ乳房と法律・犯罪か
  オーガナイザー:田代眞一 会長
/昭和薬科大学病態科学研究室 教授

■モラヴィア4事件に見るアメリカの乳房観
  実川元子 運営委員+フリーランスライター・翻訳家

■乳がん・豊胸手術等に関する医療裁判をめぐって
  水島幸子 水島綜合法律事務所 所長/弁護士

■セクハラ判例に見る乳房
  四宮章夫 弁護士法人淀屋橋・山上合同 弁護士
         /京都産業大学法科大学院 教授  

■乳房をめぐるその他の法律問題
  大島俊之 弁護士法人淀屋橋・山上合同 弁護士/九州国際大学法学部 教授


はじめて取り上げた犯罪と法律
昭和薬科大学病態科学研究室 教授
乳房文化研究会 会長
オーガナイザー 田代 眞一

長年の懸案であった「乳房をめぐる犯罪と法律」を取り上げることができました。直接的には、企画の中心になって下さった大島俊之教授との、2005年の性同一性障害を取り上げた研究会以来の思いです。

先生は、昨年の講演録の中の、本会の15周年を祝って送って下さった、過去に講師をしていただいた先生方からのメッセージの中に、「乳房文化研究会の...歴史の中で講師として招かれた法律家は、私が最初で、かつ唯一...。他にも『乳房と法』に関する問題はあります。」と書いて下さいました。今回の会は、まさに、先生と私の思いで開催した会でした。残念ながら、法律というと難しいとか堅いとかという印象があったのでしょうか、参加者は多くはありませんでしたが、従来にはない新しい世界を拓いたと信じております。
当日は先ず、田代から企画の意図と問題提起を話させていただきました。
次に、運営委員である実川元子先生から、最近先生が翻訳、出版された「巨乳はうらやましいか」の中に登場する、アメリカでの乳房をめぐる事件や法律問題についてお話をいただきました。そして法律家としてのお立場からご講演いただきましたのは、水島幸子、四宮章夫、大島俊之の三先生です。
三先生からは、乳房に関わる医療事故などでの事例と法的な問題、賠償額について、あるいは、乳房にまつわるセクシュアルハラスメントに関する事例や法的な問題について、さらにその他の乳房に関連した多くの事案や法的問題に
ついて、お話いただきました。さらには、話題提起や会場からの質問に細かにお答えいただきました。この中で、法律がこうした問題をどう扱っているのかという初めての話をお聞きするばかりでしたが、事細かな条文があるわけではなく、個々の事例を条文にてらして判断し、そうした判例を積み上げていっているということ、それだけに、時代や地域の状況に応じて変わっていくものであることが理解できたと思います。
 法律や判例は、時代や地域によって、大きく変わっています。私が小さな頃は、乳房をはだけたまま夕涼みをしている女性が少なからずおられたと記憶していますし、人前で授乳をするのもごく自然なことでした。写真などでの乳房や陰毛、性器や性行為の扱いも、時代とともに大きく変わってきています。また、地域や文化、宗教によっても乳房の扱いは言うに及ばず、女性の美意識や社会的な地位にも大きな違いがあります。次には、時代の変遷と法律や、社会の文化と規範についても取り上げてみたいと思っています。

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