定例研究会レポート

女性の「からだ」と「こころ」を科学する 乳房文化研究会 トップへ

乳房―元気について
2012年6月2日 (土)

■生きる力のひきだし方~国際支援の現場から~ 
 木山 啓子 先生
特定非営利活動法人ジェン(JEN) 理事・事務局長
■「食」で「育む」生きる力
 坂本 廣子 先生
食育・料理研究家/農林水産技術会議委員
■心の元気~潜在意識の引き上げ方~
 久瑠 あさ美 先生
ff Mental Room(フォルテッシモメンタルルーム)代表/メンタルトレーナー

・コーディネーター :小森尚子(乳房文化研究会 運営委員)

「乳房文化」と「元気」。一見、あまりつながりがないように見えるふたつの言葉を結びつけようと思ったのには、きっかけがありました。
私事ではありますが、ここ数年間、自分が'気持の元気'を失ってしまうという経験をしてしまいました。その発端は、身内の死や仕事の変化というありふれたものでしたが、今まで過ごしてきた年月が全く無駄になってしまったような感覚に陥り、(おおげさですが『喪失感』)、「何をやっても結局無駄になるんだ」と、すべてに対して後ろ向きな気分になってしまったのです。
そんなときに、あれこれと焦ってやってみるのですが、そのような対処的方法ではラチがあくわけもありません。結局、仲間になんでも話し、少しでも納得ができるように工夫しながら、毎日を粛々と過ごすというプロセスそのものが『一番元気のもと』になりました。 
そんな私は、「いったい気持ちの元気はどこからくるのか?」ということをどうしても知りたくなり、乳房文化研究会で ぜひ「人々の元気をつくりだす活動をしておられる女性」をキーワードに取り組んでみたいと考えました。これが今回の国際自立支援・食育・メンタルトレーニングという分野でご活躍の各先生からお話をうかがうことに結びついたのです。

今回の先生方のおはなしは、そんな私の気持ちに とても浸み込んでくるものでした。

木山先生は、国際自立支援の現場で "みんなが元気を取り戻し、自分達で生活していく力を取り戻すサポート"をされています。少しずつ日々の仲間と仕事していくプロセスを通して、人々が少しずつ気持ちの元気をとり戻していく様子に、「物資の提供では解決できない凄さがここにある」と感動してしまいました。

坂本先生のお話からは、"食べることを通じて 文化的なつながりが広がっていくようす""キッズキッチンで小さなお子さんがお料理をつくることができたという過程"を通して「自分もできるんだ!」という自信を得る過程がつくれることをうかがいました。毎日誰もが関わる「食」を通じて世界が広がっていくことが、とてもすてきだと思います。
また、久瑠先生のお話からは、過去の経験などから自分のイメージを勝手に思いこみで決めてしまうのではなく『未来の自分をイメージすればよいのだ』という気づきをいただきました。
「思い込み」と言えば、私の心のどこかにも「専門的に勉強してこなかったことは、やってはいけない」というような思い込みがありました。新しいことに取り組もうとするたびに「これは無理」「あれはダメ」と自分に縛りをつくっていることに気づいたのです。ところが今回、どの先生も今なさっていることが、学校で専門教育を受けられたわけでもなく、ご自身でいろいろ活動されていく間につかんでこられた、ということも驚きでした。もっと、自分を縛らず伸び伸びやっていけば、新しい世界も開けてきそうです。「わざわざ、自分の可能性を狭めてしまうなんてもったいないことなのだ」と感じました。

ひとりひとりが体調だけでなく日々、心も元気に過ごしていくことで、世の中もずっと明るくなるような気がします。
現実は いろいろ 思いもよらないことも発生しますが、「元気な気持ちで生きているだけで、素晴らしいことなのだ」と思いました。

そんなわけで、いろいろと気づきの大きい一日でした。

㈱ワコール 人間科学研究所 主任研究員

坂 里祭 運営委員

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