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●睡眠の法則
毎日を充実させる睡眠の法則33
仕事がはかどるには眠りから
仕事が流れるように進む条件とは
仕事の生産性を高めるには、
まずはシャキッと目覚めた状態で出勤できるように、
睡眠を整えることが大切です。
私は普段、様々な企業で働き方改革に向けた研修をしていますが、
どのような勤務の方でも、まずは睡眠マネジメントから
取り組んでいただきます。
寝つきの悪さや睡眠不足で、昼間に眠気が強いと仕事にならない、
という経験は誰しもあると思いますが、
眠気と仕事の生産性との関係が、
科学的にも明らかにされてきています。
その1つが、フロー体験です。
フロー体験とは、心理学者のチクセントミハイが提唱した心理状態で、
物事がよどみなく流れるように進むと感じることで、
自分の平均的な力より高い力が発揮でき、
楽しさや充実感を得ることです。
このように定義されると特別な心理状態のようですが、
私たちは日常でこれを体験することがあります。
例えば、友人との会話や車の運転、楽器の演奏、
パソコン作業中などに短時間没頭することは、
マイクロフローと呼ばれていて、私たちはこの状態を体験すると、
「今日は楽しかったな」「悩みが吹き飛んでスッキリした」などと感じます。
フロー体験は、私たちが充実した日々を送るのに重要なのですが、
このフロー体験を妨げる要因の1つが、
眠気だということが明らかになっています。
眠気を防いでフロー体験を
実験では、仮眠したり、強い光を浴びたりした後に、
フロー状態を体験しやすくなり、
逆に眠気を感じているときには、
フロー状態は体験しませんでした。
また、日常的に計画仮眠をしている人は、
そうでない人に比べて、物事がうまくできていると感じる、
自己効力感が高いことも明らかになっています。
昼間に眠気があると、フロー状態を体験しないばかりか、
焦燥感や不安が増えて、不機嫌になることも確かめられています。
フロー体験は、自分の作業に対して、その出来具合がどうだったか、
フィードバックがある環境で生じやすいです。
上司やお客さんから直接フィードバックを受ける仕事の場面は、
プライベートの場面よりも、フロー状態を体験しやすいです。
仕事によって人生を充実させるには、このフロー体験が欠かせず、
そのためには、昼間に不適切な場面で眠くならないように
毎日の睡眠を充実させておくことが大いに役立ちます。
菅原洋平
作業療法士。ユークロニア株式会社代表。アクティブスリープ指導士養成講座主宰。国際医療福祉大学卒。国立病院機構にて脳のリハビリテーションに従事したのち、現在は、ベスリクリニック(東京都千代田区)で薬に頼らない睡眠外来を担当する傍ら、生体リズムや脳の仕組みを活用した企業研修を全国で行う。その活動は、テレビや雑誌などでも注目を集める。主な著書に、13万部を超えるベストセラー『あなたの人生を変える睡眠の法則』、10万部突破の『すぐやる!行動力を高める科学的な方法』など多数。
イラスト/菅原洋平
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