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偶然の発見を増やす「五感調律フィールドワーク」

学び方のレシピ

自分が気になっているフィールド(現場)で音具を鳴らし、「音が消えた瞬間」から一定時間を無言で過ごし、 その間に気づいたことについてメモを残す。

【スタディレシピ #002】偶然の発見を増やす「五感調律フィールドワーク」

レシピ提供者の小松正史さん

難易度

(少しの練習や準備が必要)

こんな方にオススメ

  • 継続的に知識をアップデートできる環境をつくりたい
  • ともに学び続ける仲間がほしい
  • 新しい発想法がほしい

レシピ

  1. スループットする(考えを深める)テーマを決める
  2. 音具を使って音を鳴らす
  3. 「音が消えた」と感じた瞬間から一定時間(15分〜30分)無言ですごす
  4. 時間が来たら、気付いたことを記録する

必要なもの

  • トライアングルや仏壇の「おりん」など減衰音が持続して鳴るような音具

コツ&ヒント

  • 直接は関係なさそうでも、何かひっかかりのある音、場面、モノを探してみよう
  • ひとりではなくグループで、お互いの発見を共有するのもオススメ
小松正史さん (作曲家・ピアニスト・音育家・京都精華大学教授)

1971年、京都府宮津市生まれ。大阪大学大学院(工学研究科・環境工学専攻)修了。音楽だけではない「音」に注目し、それを教育・学問・デザインに活かす。学問の専門分野は、聴覚生態学と音響心理学。BGMや環境音楽を制作し、ピアノ演奏も行う。水や風を連想させる透明な音色と即興演奏が特徴。原風景を感じる普遍的な音楽との定評がある。河瀨直美監督の映画作品をはじめ、多数の映像作品への楽曲提供や音楽監督を行う。また、京都タワーや京都国際マンガミュージアムをはじめとした公共空間の音環境デザインを行う。聴覚や身体感覚を研ぎ澄ませる音育(おといく)ワークショップも実践。
http://www.nekomatsu.net

レシピの使い方

何かの知識を得ようと手始めに書籍を読んだり、セミナーで話を聞いたり。そうするとだんだん、実際の現場(フィールド)に出かけてみたくなるものです。とはいえ、いざ「フィールドワーク!」と意気込んでみても、「どうしたらいいのかわからない」という方も多いのではないでしょうか。

そもそもフィールドワークとは「自分の身体を使って、自分の知らない世界を理解すること」(小松さん)。遠くの世界のことだけではなく身近な世界も含めて、「本当に知っているの?」と当たり前のことを疑うことで、深い気づきが生まれ、その後のスループットやアウトプットの質が高まっていくのです。

そんなフィールドワークの成否を左右するのは、意図していなかったことに気づくことができるかどうか。そして偶然の発見やセレンディピティの確率を高めるために、「まず大切なのは、ひとりではなくみんなで発見を分かち合うこと」だと小松さんは言います。他者の気付きを聞くことで、自分の気付きもさらに洗練されていくからです。

そしてもうひとつ、作曲家の小松さんならではの工夫が「おのおの現場に出る前に、五感を"調律"しておくこと」。レシピにあった「音が消える瞬間」に耳を澄ますことで前意識領域を司る感覚のスイッチが入り、目の前の世界が全く違って映るのです。その中でもし、どうしても引っかかる音があるとしたら、その理由を丁寧に辿ってみましょう。その先にはきっと、思いもよらない深い学びがあるはずです。

「五感調律フィールドワーク」体験ワークショップ⊛での参加者の声

  • 聴覚にフォーカスすることで視覚も敏感になったり、壁が迫ってくるような感覚があったり、五感が研ぎ澄まされていく感じがしました
  • 足音ひとつでも家族連れや仕事帰りなど音が違っていて、ひとの生きるリズムが現れているんだなあと驚きました
  • 「ジェンダー」について勉強しているのですが、男性名詞、女性名詞みたいに、男性的な音、女性的な音、という分類ができるような気がして大きな発見でした
  • 普段は街あるきをしていますが、音という要素を追加することで新しいツアーを企画できそうで楽しみです
  • 空間をつくる仕事をしていますが、普段は視覚ばかり気にしていたので、足音から考える空間づくりに挑戦してみたくなりました

⊛本ワークショップは、2017年4月28日(金)にワコールスタディホール京都で実施

<written by 勉強家 兼松佳宏>



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