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当事者の本音を聞く「小さな集いヒアリング」

学び方のレシピ

困っている当事者の人たちが集まりやすい場を開き、いま考えていることや困っていることなど本当の声を聞き出す。

【スタディレシピ #006】当事者の本音を聞く「小さな集いヒアリング」

レシピ提供者の川口加奈さん

難易度

(動き出したいあなたに)

こんな方にオススメ

  • やりたいことはあるけれど、何から始めたらいいかわからない
  • 「自分がやりたいこと」ではなく「求められていること」を知りたい

レシピ

  1. 「今まで誰にヒアリングしてきたか」を振り返る
  2. 「まだヒアリングしていなくて、したほうがいい人」をリストアップする
  3. その人たちにとって集まりやすく、話しやすい場を想像する
  4. 考えたアイデアを小さく実行する

コツ&ヒント

  • 信頼関係が生まれるまでは、自分のやりたいことを押し付けない
  • 一回きりでは本音は語られない。定期的に繰り返すことが大事
川口加奈さん (NPO法人Homedoor理事長)

14歳でホームレス問題に出会い、ホームレス襲撃事件の根絶をめざし、炊出しや100人ワークショップなどの活動を開始。19歳でHomedoorを設立し、シェアサイクルHUBchari事業等でホームレスの人や生活保護受給者累計160名以上に就労支援を、600名以上に生活支援を提供する。ウーマン・オブ・ザ・イヤー2013若手リーダー部門やGoogleインパクトチャレンジグランプリにも選出される。現在、26歳。大阪市立大学卒業。1991年大阪府高石市生まれ。

レシピ提供者インタビュー

川口
当事者の本当のニーズを知ることができる場を持つことは、活動を続けていく上でとても大切にしていることです。そのことを教わったのは、団体を立ち上げたばかりのときに通っていた「社会起業塾」という塾でした。

ずっと「ホームレスになってもやりなおせる社会をつくりたい!」という熱い思いを持っていたのですが、当時は具体的に何をすればいいのかわからなくて。そんなときにメンターに言われたのが「ニーズの代弁者になりなさい」ということだったんです。
兼松
というと?
川口
それまでは「自分たちがやりたいからやる」という感じだったんですけど、当事者であるホームレスのおっちゃんたちのニーズを代弁する立場で活動しないと意味がない、とバッサリ言っていただきました。

もちろんそれまでもヒアリングシートをつくって、調査のようなことはしていたんです。ただ今になっては恥ずかしいんですが、道端で寝ている方にいきなり「大学生です、調査させてください」って声をかける感じだったんですよね。

そんなふうに"調査対象"として接しているようでは、おっちゃんたちとの関係が深まることもないし、本音を聞くことができていなかった。そのあたりがクリアではなかったから、「何をするべきか」ということに自信が持てなかったんだと思います。
兼松
始めるときは「やりたいこと」がエネルギーになるけれど、どこかのタイミングで「求められていること」と向き合うことが大切なんですね。
川口
そうなんです。そこから「まずはおっちゃんと仲良くなろう」と、釜ヶ崎のカフェをお借りして「モーニング喫茶」を開きました。

ホームレスのおっちゃんたちにとっての朝という時間は、空き缶を集める仕事を終えたばかりで、ほっと一息つきたいタイミングなんです。その仕事は10時間で1000円とかなんですけど、そのあと300円でモーニングを注文できるお店を一年間運営していました。とにかく意識していたのは、おっちゃんたちにとって集まりやすくて、話しやすい場所であることです。
兼松
やってみてどうでしたか?
川口
ホームレス問題ってナイーブなこともあって、「こういうことを支援したい」と伝えても「わしらの気持ち、ほんまにわかってんのか」みたいな反応もやっぱりあるんです。
でも、おっちゃんたちと仲良くなった後で相談してみると、親身になって話を聞いてくれるようになったり、少しずつ本音を伝えてくれるようになったりしました。その中に「自分の特技をいかして、仕事を見つけたい」という声があって。
兼松
それが自転車修理だったんですね。
川口
はい。さらに自転車がいいテーマだなと思ったのは、もともと放置自転車問題が話題となっていて、その対策としてコミュニティサイクルが注目を集めていたからなんです。もしコミュニティサイクルの仕事をおっちゃんたちと一緒にできたら、おっちゃんたちが支援される側ではなく、社会を支援する側に回ることになります。その方が働きがいにつながるのではと思いました。

<written by 勉強家 兼松佳宏>



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