25 Aug, 2019

「着る」が楽しくなる
展覧会!

着ることはルールなのか?自由なのか?

京都国立近代美術館
京都国立近代美術館

 京都国立近代美術館で始まった「ドレス・コード? − 着る人たちのゲーム」に、さっそく行ってきました。タイトルからも想像できるように、これは、着る人(つまりすべての人!)が主体となって答えをさがすファッション展。私たちはなぜ着るのか、何をどう着たいのか。自分のものさしで自由に解釈しながら、ゲームのように進んでいけるのです。展示品は、多彩なジャンルを網羅した300点超。誰もが好みの作品に出会え、リラックスしながら楽しめる展覧会だと思いました。

レセプションパーティで人気を集めたロゴ入りエントランスとマカロン
レセプションパーティで人気を集めた
ロゴ入りエントランスとマカロン

 都築響一、石内都、シンディ・シャーマン、森村泰昌、チェルフィッチュなど、人気アーティストの写真や映像作品も多数。また、京都服飾文化研究財団(KCI)が収蔵する衣装コレクションは、18世紀の宮廷服から現代のモードまで約90点。漫画家や劇作家が、KCIの収蔵品とコラボして制作したオリジナル作品も見逃せません。下着好きとしては、ジーンズ柄をプリントしたディオールのビスチエや、ボディスーツ風のインが可愛いコム デ ギャルソンの水墨画プリントのドレスにも目を奪われました。

左)コムデギャルソン/川久保玲 ドレス 2018年春夏 KCI、右)クリスチャン・ディオール/ジョン・ガリアーノ ビスチエ 2001年 KCI
左)コムデギャルソン/川久保玲 ドレス 2018年春夏 KCI、
右)クリスチャン・ディオール/ジョン・ガリアーノ ビスチエ 2001年 KCI

 会場は13の架空のドレス・コードで構成され、最初の作品は、イタリアのミケランジェロ・ピストレットの『ぼろきれのビーナス』。ここで問いかけられるドレス・コードは「裸で外を歩いてはいけない?」というもの。このビーナスは、ぼろきれの山と出会ったことで、裸であることが恥ずかしくなり、最初に着る服を選ぼうとしているようにも見えます。もちろん最初の服といえば下着。美の女神である彼女は、ぼろきれを美しいランジェリーに変える力を持っているのかもしれません。

ミケランジェロ・ピストレット《ぼろきれのビーナス》1967年 豊田市美術館
ミケランジェロ・ピストレット《ぼろきれのビーナス》
1967年 豊田市美術館

 続くドレス・コードは「組織のルールをまもらなければならない?」です。1900年代から2010年代までのスーツがずらりと並ぶ光景は圧巻でしたが、中にはルールを大幅に逸脱したものも。それは1940年代にアフリカ系やラテン系アメリカ人の若者の間で流行した『ズート・スーツ』。アッパークラスが着る上品なスーツへの反抗として生まれたダボダボなスーツです。ルールはファッションを洗練させますが、やがて、そこから逸脱した自由な表現が生まれるのも、必然の流れなのでしょう。

(中央)ズート・スーツ1940-42年 ロサンゼルス・カウンティ美術館
(中央)ズート・スーツ1940-42年
ロサンゼルス・カウンティ美術館

目立ちたい?目立ちたくない?

ルイ・ヴィトン×シュプリーム/キム・ジョーンズ バッグ 2017年秋冬 KCI
ルイ・ヴィトン×シュプリーム/キム・ジョーンズ バッグ
2017年秋冬 KCI

 ファッションとは目立つこと。そんなドレス・コードがあるなら、最もそのコードに即していたのは、ルイ・ヴィトン×シュプリームの真っ赤な型押しレザーバッグでしょうか。2017年初夏、世紀のビッグコラボといわれ、これらのアイテムが先行販売されたルイ・ヴィトンのメンズ期間限定ショップは、抽選のための長い行列に早朝から並び、当選しなければ入店できませんでした。仕事場の近所だったのに、現物を遠目に眺めることすら叶わなかったわけですが、今回、間近で見ることができて感激しました。

ルイ・ヴィトン/ニコラ・ジェスキエール ジャケット、ブラウス、ショートパンツ、スニーカー 2018年春夏 KCI
ルイ・ヴィトン/ニコラ・ジェスキエール ジャケット、ブラウス、ショートパンツ、スニーカー 2018年春夏 KCI

 一方、ルイ・ヴィトンの2018年春夏ウィメンズコレクションの「貴公子コーディネイト」も、かなりのインパクト。ルーヴル美術館から発想を得たという18世紀のフランス貴族風ジャケットに、カジュアルなランニングパンツとスニーカーを合わせている服です。ラグジュアリー×ストリート感覚という意味では、ルイ・ヴィトン×シュプリームのコラボとも共通していますね。メンズコレクションと見紛うような凛々しさに、思わず吸い寄せられてしまいました。

マームとジプシー《ひびの、A to Z》2019年 (U)ヘルムート・ラング 2003年秋冬 KCI (S)アンダーカバー/高橋盾 2018年春夏
マームとジプシー《ひびの、A to Z》2019年より (U)
ヘルムート・ラング 2003年秋冬 KCI (S)
アンダーカバー/高橋盾 2018年春夏

 これらとは逆に、目立つことを避けるかのように、個室を使ってプライベート感のある展示を行っていたのが、演劇カンパニーのマームとジプシーを主宰する藤田貴大。『ひびの、A to Z』は、26人の1日を表現した作品で、一人ひとりのつぶやきが書かれたメモから、彼女たちの生活や考え方などがわかる仕組み。さりげなく撮影された彼女たちのための服は、実はKCIの収蔵品でした。展示の仕方で、服の意味が大きく変わることを実感。着ることへの個人的な想いが伝わってくる作品ですね。

青山悟(左)《News From Nowhere(Gaga)》2016年 株式会社サステイナブル・インベスター/神楽サロン蔵(右)《News From Nowhere(Björk)》2017年 個人蔵  /協力:ミヅマアートギャラリー
青山悟(左)《News From Nowhere(Gaga)》2016年 株式会社サステイナブル・インベスター/神楽サロン蔵
(右)《News From Nowhere(Björk)》2017年 個人蔵 /協力:ミヅマアートギャラリー

 繊細でロマンチックなのに、よく見ると過激なのが、ミシンを使った青山悟の刺繍作品。19世紀の雑誌に印刷された女性たちに、現代のセレブの服が刺繍されているのです。モノクロの女性にレディーガガのウニのような衣装や、ビヨークのハリネズミのような衣装を着せるって、どういう意味なのか。遠い過去の女性がこれらを「着こなす姿」からは、どんな服であっても自分らしく着ればいい。そんなメッセージが伝わってくるようにも思えるのでした。まだまだご紹介したい作品はたくさんありますが、ぜひ会場に足を運んでみてください。そもそもドレス・コードは時代や状況によって変わるもの。この展覧会も、会期の終わりごろには、まったく違う見え方をしているかもしれません。

レセプションパーティにて(右)青山悟さん
レセプションパーティにて(右)青山悟さん

■ドレス・コード? − 着る人たちのゲーム
京都国立近代美術館2019年10月14日(月・祝)まで
https://www.kci.or.jp/special/exhibitions2019/

「2050年のドレス・コードを考えよう! 」

■ワコールが活動を支援する(公財)京都服飾文化研究財団と、京都国立近代美術館が主催する展覧会『ドレス・コード?― 着る人たちのゲーム』に連動して、未来のドレス・コードを皆さんとともに考えるワークショップを開催します。

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