4 September, 2019
vol.5 電子工作ユニットギャル電さん
電子工作ギャル × 「ドレス・コード?展」
Dress Code:Are You Playing Fashion?
ワコールが活動を支援する京都服飾文化研究財団(KCI)では2019年8月9日から10月14日まで、京都国立近代美術館で「ドレス・コード?ー着る人たちのゲーム」展を開催しています。
それに伴い今回は、展覧会企画者 小形道正さんと電子工作ユニット ギャル電さんの「ドレス・コード?」対談企画です。
--------------------ギャル電のおふたりの出会いは?
まおさん(以下M):私は工業系の大学でロボットとか作ってたんですけど「まじアガんないなー」と思っててw
で、光るモノとか電子工作やって作り方とかブログに上げてたらそれを見た知人が「テクノロジー好きなギャルを探してる人がいる」ってきょうこを紹介されたのがきっかけです。
きょうこさん(以下K):電子工作ができるギャルを探してたんです。
元々クラブ界隈でポールダンスをやっていて、目立つ、光る衣装を一緒に自分たちで作ってくれる人いないかなって探してて。ギャルは器用ってイメージがあったんですよね、デコ爪とか。だから「ギャルで電子工作やってる人」を探してました。
--------------------小形さん、今回の展覧会についておしえてください
小形さん(以下O):ファッションの展覧会って、歴史衣装の展示やデザイナーに焦点をあてた企画が多いんですが、何か“今“を問うような展覧会ができないかと考えました。
SNSで誰もが自由に情報発信できる今、現代社会において改めて着ることとは、ファッションとは何だろうって。
今回、「視る、視られるという他者との関係性の中でファッションが存在している」ということを大きなテーマにしています。展覧会ではより親しみやすいように13のコードにしてますが、コンセプトとしては 3つの柱に分けられます。
ひとつめは「型」
型があるからこそ自由にも不自由にもなる。 典型的には制服やスーツがありますね。
さらに、型(ステレオタイプ)の中で人を判断したり、あえてその型に染 まってみたりする。
ふたつめは「選択」
由来のあるものがファッション・アイテムとなって自由にコーディネートで きるようになる。
それを自分らしいものだと思って、街に出てみると結構誰かと被っている。 ポジティブに捉えると、被ることで街のなかに溶け込めもする。
最後に「新しい世界観」
こうして現代はさまざまなファッションがフラットなものになっていく。
ただそのなかで、何か新しい世界観を持ったファッションが生まれてくる。
おそらくそれもまた、ひとつの型となってしまうかもしれないけれども ...
その循環のなかで、ダサかったものがかっこよくなったり、旧いものが新し くなったりする。
K:循環ってすごくわかります。
ギャルブームって20年くらい続いてたんですけど流行りのサイクルがあって。今、エッジの効いたオシャレな子がGALFY着てるんですよねー。
O:GALFYのパネル展示ありますw
M:今キてます。オシャレです。すごく。ギャルとか、ラッパーとかそういうミームが着てます。
1周回って新しい。だから循環ってすごくわかります。
O:昔はロゴを着るのはダサい!っていう時代があって、
その時はマルジェラとか流行ってましたが今またロゴがキてますしね。
K:そうそう!ラングとか。建築で言うと「配管むき出し!コンクリート打ちっぱなしの部屋!」とかそんな感じ。
O:www
M:インダストリアルでオシャレ、みたいな時期ありましたよね。
でも今また派手な感じにシフトしてきてる。2000年代初期のギャル、みたいな。
O:派手髪も再燃してますよね。
■黒ギャル、コギャル、姫ギャル。
最後のギャルはネオギャル。
O:僕の“ギャル”のステレオタイプはガングロがパラパラを踊ってる感じですけど...
K:ギャルは2016年に一度全滅してるんです。
ギャルブームがリアルに続いていた世代は今はみんなギャルから卒業してて、ギャルじゃないことをやってます。ギャルママとか。
ギャルは敏感に流行に縛られてるから「今のギャルに追いつけない!」って思った瞬間もう無理でギャルでい続けられなくなる。自分を盛ることに全力注げないと保てないし、一回卒業しちゃうともう戻れない。気合いが保てない。
M:ギャルメイクとか、短パンとか結構気合いるんですよねw
今も大学院で「ちゃんまおなんか生足なんだけどー」とか言われてるw
K:クラブでアニソンが流れるようになってきて、コミケが肯定的に受け入れらるようになって行った頃から、ギャルとか不良とか、
アニオタとかのカルチャーのヒエラルキーが入れ替わったような印象があります。
ギャルっぽかったブランドも合コン受けするような服とか清楚系になった。
M:それから今のギャルって「ギャルオタク」になったんです。インスタでもディグらないとギャルの情報ってヒットしない。ルーズソックスも探さないと見つからない。
オタクにならないと情報がキャッチできなくてギャルで居続けられない。
ギャルが完全にオタクになったのが“ネオギャル”です。インターネット上に存在していて、インターネットミームが好きだったり。
90年代のヴェイパーウェイヴとかが最後のネオギャル。わたしもやってました。ピンクとかパステルカラーの髪したりとか。
ーーーーーーー最近ギャル雑誌が復刻してますが全盛期と比べてどうですか?
K:やっぱ「パンチがねぇ!」「それはギャルとしてBESTか?!」って思いますw
当時は例えば雑誌に載るっていったらもう1週間食事抜いてでも“盛る“ことにお金かけてたし。
M:今はギャルだけでなくみんなオシャレにかける気持ちがなくなってるのかって思います。周りに服にお金かける人も少ないし、服も安いですしね。
K:今は流行りとかじゃない時代だからこそ、あえてスタイルを打ち出していくことが面白い。
M:わたしは高校卒業までタイにいたんです。
渋谷のギャルに憧れて めっちゃ ギャルになりたくてやっと渋谷に来てみたらもうギャルは絶滅していてココロ折れましたw
センター街の世界観に憧れててギャルファッションでそこに行きたい!って思ってましたが今はその頃のストリートがインターネットになっちゃって。
やっぱりリアルで行かないとわからない世界観のある場所ってのがあるといいなーと思ってます。その場所に合うオシャレをするっていう。
--------------------ドレス・コードですね!
K:雑誌のストリートスナップに撮ってもらうために原宿ファッションでそこへ行く、みたいな。
O:この展覧会でもファッションにトレンドの概念がなくなってきている今、世界観をつくらないと面白くないよなって思ってました。
編集者の都築響一さんの作品で「ゴムフェス」のパネルも展示していますがこれもそうですよね。
K:ハイ。定期的に開催されるフェティッシュ系のイベントですよね。
そこにはドレスコードがあって。
O:「異色肌」とかもそうですよね。これも今回展示しているのですが、モデルさんかとても良い表情をしていると思います。
K:今はインターネットで仲間を集めることはできるけど、リアルで「この格好で週一で集まろう!」ってどうやったらなるかなって考えてます。
--------------------今回、「#着るゲー」デコプレートを電子工作して頂きました!
M:光り方も秒で変えれるんで写真撮ったらあとでバッキバキに光らせますね!
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ギャル電
現役女子大生ギャルのまおと元ポールダンサーのきょうこによる電子工作ユニット。
「ギャルも電子工作する時代」をスローガンに、ギャルによるギャルのためのテクノロジーを提案し、「デコトラキャップ」「会いたくて震えちゃうデバイス」などギャルとパリピにモテるテクノロジーを生み出し続けている。
夢はドンキでアルドゥイーノが買える未来が来ること。
まおさん:現役女子大生でテクノロジーを勉強してます。趣味はクラブで作った光物を身に着けてイケイケになることです!
きょうこさん:元ポールダンサーで、2016年ヘボコンワールドカップにて「ポールダンスロボ・パーティロックアンセム」で最もヘボいロボ賞受賞。好きな電子工作は光物です。
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小形道正 さん
2015年より京都服飾文化研究財団(KCI)に勤務。アシスタント・キュレーター。
『Fashion Talks...』の編集担当。東京大学大学院博士後期課程単位取得。
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ドレス・コード?[着る人たちのゲーム]展
会期:2019年8月9日(金)~10月14日(月・祝)
会場:京都国立近代美術館
主催:京都国立近代美術館、京都服飾文化研究財団
会期:2019年12月8日(日)~2020年2月23日(日)
会場:熊本市現代美術館
主催:熊本市現代美術館(熊本市、公益財団法人熊本市美術文化振興財団)、京都服飾文化研究財団
特別協力:株式会社ワコール
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