Made in Japanでも
Made in Vietnamでもない
「Made by Wacoal」
ふとワコールの店頭で手に取ったブラジャーは「ベトナム製」でした。
ワコール製品の生産は日本だけでなく中国やASEAN地域の複数の海外生産拠点で行っています。
前回、ワコールマニュファクチャリングジャパン長崎工場には見学にいきましたが、
海外の工場でワコール製品がどんな風につくられているか、
工程は国内と違うのか同じなのか……。Made in JapanでもMade in Chinaでもない、
「Made by Wacoal」"ワコールのものづくり"は国が違ってもどのように実現されているのか。
海外で生産されているワコール製品のこともしっかりお客様に伝えたくて、ベトナムワコールを見学してきました!
ベトナム・ホーチミンから車で約50分、の場所に位置するアマタ工業団地にあるベトナムワコール。世界中にあるワコールの生産拠点のなかで、最大の規模の基幹工場です。従業員数は約2300人。ショーツの製造を専門とした第二工場も近くにあります。
視界の端まで続く広い広いミシンの列!
ベトナム工場では、日本・ベトナム・台湾・韓国・ヨーロッパと、5つの国や地域で販売される製品をつくっています。ブラジャーをはじめ、ショーツ、ランジェリー、スポーツウエアなど毎日数万枚もの製品がここで製造され、世界中のワコールの店頭へと旅立っていきます。
Step1
裁断・縫製がしやすいように、巻かれていた状態の生地をリラックスさせ本来の幅に戻す「延反」「放反」の作業。
このとき、ベトナム工場独自の工程として一部の生地には「目視チェック」が入ります。生地に小さな傷や汚れがないかをチェックするのは、健康診断の視力検査で評価の高かったオペレーターさんたち!
視力の優れた人が多いベトナムだからこそできる作業です。
Step2
広い空間に、多くの自動裁断機が並ぶベトナム工場。
難しいレースの裁断作業を平易化させ、
より効率的にできるようプレスカッターが採用されています。
短時間で多くのレースを切れるこのアイデアに取材班も驚き!
Step3
たくさんのミシンの音が響く縫製の場。
部屋の一角にはストラップそのものをつくる班がいました。
長崎工場ではストラップはすでに完成したものを使用していたのですが、
ベトナムではこの工程も自社でおこなっていました。
Step4
もちろん縫製の班ごとでも縫い上げた製品をすべてチェックしますが、検品の専門の担当者ができあがった製品を
しっかりと細部にわたって検査します。
Step5
検品を通過したブラジャーにはブランドタグや製品ラベルがつけられます。
そして販売国ごと・ブランドごとに分けられて箱詰め。取材した日は、日本と台湾にむけた製品が発送を待っていました。
ワコールの新製品を楽しみに待っている世界中の人にむけて、行ってらっしゃい!
ベトナムワコール見学ミニツアーを
動画でどうぞ!
レースを切り抜くプレスカッターの抜き型はなんと、ベトナムワコールのメカ担当による自作です。糸ノコで木型を切り出し、型のカーブに合わせてカッターの刃を曲げていく作業……。
「木型からつくるんだ!」と驚きでした。
裁断や縫製など工場の作業性をアップさせるために、さまざまな装置を日々開発する「必要なものは自分たちでつくる精神」が息づいています。
ベトナム工場の特徴として、すべてのブラジャーの後ろホック「のみ」を
縫いつける班が存在します。ホック以外の全てが縫われたブラジャーは、
ここに集められ、ホックをつけて仕上げられます。
グループ内最大級の量産現場であるからこそ、新しい技術が生まれ、
高品質を維持しながら生産効率を向上させることができます。
※ホック縫製の機械は半自動なのですが、極秘のため近くでお見せできないのが残念〜!
ベトナムでは日本よりも転職は一般的なことだそうです。工場にも常に新人さんがいました。
ミシンを囲む、私服の女性たちは皆、新入社員。次の世代にワコール独特の縫製技術をしっかりと受け継いでもらうため、先輩たちは丁寧に縫製指導をおこなっています。
たとえば新入社員は、正しい縫い方を身に着けるため、お手本の動画を用いて自分の手元と見比べながら学ぶことができます。
手厚い教育体制を基盤に、ここからキャリアを積んで、縫製のプロへと育っていくのです。
工場内の平均年齢は29歳。
マタニティの従業員も数多く働いています。
育児休暇・給与体制がしっかりしているベトナム工場では多くのお母さんたちが育児と仕事を両立させながら、やり甲斐をもって仕事をされていました。
マタニティの方が制服を着ていないのは、お腹を締めつけず、
リラックスして作業にあたるためだそうです。
ベトナム工場でも長崎工場と同様に「ワコール品質」が徹底されていました。ワコールのものづくりの基礎である「安全・安心で愛される商品」を提供できるよう、何重もの厳しいチェックをおこないます。不良品の発生を防ぐため、ある縫製班で発生した作業ミスの情報は、全体の班長会で共有されます。
その後、班長から各縫製班のオペレーターに大型画面で映像や写真を使ってさらに共有されます。
改善点を皆が把握し、良い製品をつくるために責任をもって各自の作業にあたります。
そして、壁に貼られている「5S」は整理・整頓・清掃・清潔・躾(しつけ)の
頭文字のSをとった職場環境改善活動の合言葉です。
仕事の質を高め、チーム力を高め、いつでも報告や相談ができる環境づくりをしています。
Nguyen Thi Thuy Nga
オペレーター
勤続年数3年目
毎日、充実感のある仕事をしています。
1日の生産目標を達成して数多く製品をつくることができた時はとっても気持ちがいいですね。
Tran Nguyen Thi Tho
スーパーバイザー
勤続年数15年目
各縫製班の業務進捗をチェックしながら、トラブルが発生したら原因がなにかを班のリーダーとともに究明し、不良品を出さないことに日々力を注いでいます。この取材を機に、日本のお客様がベトナム製のワコール商品を見かけたときに、より身近に感じていただければ嬉しいです!
Vo Thai Duyen Anh
オペレーター
勤続年数2年目
口コミによって入社する人が多いベトナム工場。友人からの勧めは転職サイトよりも確実!
私も友人の紹介で入社しました。
Doan Le Nhi Trinh
スーパーバイザー
勤続年数19年目
勤続19年、辞めたいと思ったことは1度もありません。日本のみなさん、私たちがつくったベトナム製のワコール商品をぜひ買ってくださいね!
Mr. Dai
ベトナムワコールの設立の時期に入社し、勤続21年目で、はじめてのベトナム人工場長に就任しました。入社した頃を思い出すと会社規模は大きくなったなと感じます。社員数がどれだけ増えても思う点は同じです。従業員の皆さんには、働くことに達成感や喜びを持ち、ノルマを「自分が成長するための目標」にして、高品質な製品づくりに誇りを持ってほしいと日々考えています。
社長 片山
ベトナム工場で働く人は皆、真剣にものづくりをしてくれています。社員同士、気さくに挨拶を交わす文化も育っている。今後は、「個人の力」だけではなく、みんなが助け合いながらよい製品をつくっていく「チーム力」を工場で育てていくことが目標です。社員からはもちろん、日本の全てのユーザー、そして世界のワコールグル-プから愛される会社にしていきたいですね。
ワコール品質は、国境を越えて、技術を受け継いでいるワコール社員の「いいものをお客様に届けたい」という心でつくられているのだなと改めて実感しました。