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デリケートゾーン

「気になるデリケートゾーンのケア」産婦人科医・高尾美穂先生に聞きました

デリケートゾーンのケアについて、お肌のケアや髪の毛のお手入れのように、友人同士で情報を共有したり、悩みを打ち明けたりとオープンに話をすることはなかなかありません。それだけに、気になることについてひとりで悩んでしまうことはありませんか?
毎日の適切なケアについて、気になるけれど何をしたらいいのかわからないなど知りたいことはたくさんありますよね。そんなデリケートゾーンのケアの考え方について、産婦人科医の高尾美穂先生におうかがいしました。

デリケートゾーンのケアは優しく洗うだけでOK

デリケートゾーンは、直接目で見ることが難しく構造が複雑なこともあり、「よくわからない」「外陰部に触れるのが怖い」と思っているのが多くの女性の本音かもしれませんね。
自分の外陰部を見たことがないという人もいると思いますが、小陰唇(しょういんしん)の外側には恥垢といって白いゴミのようなものがたまることがあります。そのままにしておくとにおいの元になってしまったり、かゆみを引き起こしたりする可能性もあります。そういったことの予防になるのもデリケートゾーンをケアするメリットですね。
デリケートゾーンを洗うときは、専用の石けんやオイルなども人気ですが、過度なケアは必要ありません。
腟内は自浄作用があり、雑菌を寄せつけないようになっているので洗いすぎないようにしましょう。頻繁に洗うと感染症のリスクが高まることもあります。外陰部は刺激に弱く洗いにくい場所です。汚れがたまりやすいですが、指でなでるように優しく洗うだけで大丈夫ですよ。ボディソープだと刺激を感じてしまう人は、デリケートゾーン専用のものを選んでみてください。

VIO脱毛は好みや目的に応じて

かつて、外陰部の毛は重要な役割を果たしていましたが、服を着ることが一般的になった現代では毛がなくても外陰部を保護できるため、医学的にはVIO脱毛に問題はありません。
また、脱毛することにより、ムレやにおいを防ぐ助けにもなります。
デリケートゾーンの脱毛については、(他人に)どう見られるかという点で気になる方が多いと思うので、個人の好みや目的に合わせて決めればいいと思います。

お肌の乾燥が気になりだしたらデリケートゾーンも保湿して

30代後半ぐらいからお肌の乾燥が気になる人も増えてきます。それは、エストロゲンと呼ばれる女性ホルモンが少しずつ減ることと関係しています。思春期から20代にかけてのエストロゲンリッチな年代の皮膚は、女性ホルモンの減少とともにゆるやかに変化していき、弾力性が失われていきます。デリケートゾーンも皮膚の延長上にあるので、お肌が乾燥していると感じたら、デリケートゾーンも同様に乾燥していると考えてよいでしょう。

乾燥は年代によるものだけではなく、空気の乾燥によっても起こることがあります。秋や冬になりお肌が乾燥する時期は、デリケートゾーンも乾燥しやすいとき。そんなときは、保湿をして潤いを与えるのも選択肢のひとつです。

ただ、デリケートゾーンの保湿というと、お風呂上がりやお手洗い後など毛が濡れた状態を思い起こして、あまり心地よくなさそうだと思うかもしれません。ですが、ショーツの中の湿度が上がったモワッとした不快な状態と、外陰部が保湿された状態は違います。デリケートゾーンを保湿することの目的は、皮膚を潤わせて保護することです。

デリケートゾーンは皮膚の中でも繊細な組織だからこそ、ケアするアイテムはきちんと選びたいですね。ケアアイテムは、より安心感や信頼感のあるものを使用することが大切です。保湿をする場合は一度ほかの部位で試してから使うこと、そして腟内には使用しないことも守ってくださいね。

デリケートゾーンのケアは医師によっても意見が分かれます。過剰なケアをするのではなく、からだに対する一般的なケアでいいと思いますよ。

(産婦人科医・高尾美穂先生)


  • 撮影/藤沢大祐
  • プロフィール
    高尾美穂先生(産婦人科専門医・医学博士・婦人科スポーツドクター)
    /女性のための統合ヘルスクリニック イーク表参道 副院長。ワコールフェムケアポータルサイトのアドバイザー。近著に「更年期に効く美女ヂカラ」リベラル社刊がある。

参考:
高尾美穂著『大丈夫だよ 女性ホルモンと人生のお話111』(講談社)
高尾美穂著『オトナ女子をラクにする心とからだの本』(扶桑社BOOKS)