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●睡眠の法則
毎日を充実させる睡眠の法則130
午前休をとると、不調が改善しにくい
朝起きて、
調子が悪いな・・・と思ったら、
皆さんは、どちらの行動をとりますか?
A:午前中は休んで寝て過ごし、
午後から動き出す。
B:ひとまず起きて最低限の行動をし、
それを終えてから休む
実は、
働く人たちの健康を考える産業保健の分野では、
午前中に休む人、
つまり、
Aを選ぶ人ほど、不調が改善しにくい傾向があります。
これには、いくつかの理由が考えられます。
①メラトニンリズムが遅れる
朝起きる時間を遅らせることで、
脳に光が届けられず、起床して約16時間後に訪れるはずの眠気も起こらなくなる。
結果、夜に眠れなくなり、
就寝時間が遅くなるなど、
朝の不調が長引いてしまいます。
②コルチゾール分泌のリズムが乱れる
起床して頭を起こすため、
重力に逆らって脳に血液を届けることを可能にしているのが、
コルチゾールというホルモンです。
コルチゾールは、
普段、頭を起こす時間の3時間前から分泌が高まり、
起床すると分泌が低下します。
ところが、目覚めても頭を起こさずに横になっていると、
コルチゾールが高まる時間が遅れ、
分泌が低下せずに日中にも多く分泌されてしまいます。
コルチゾールが余分に分泌されると、
脳の海馬という記憶を司る部位の神経細胞がダメージを受けてしまいます。
物忘れをしやすくなったり、
イライラしやすくなったりするなど、
不調が続いてしまいます。
③睡眠-覚醒リズムが乱れる
普段、起きているはずの時間に眠り
眠っているはずの時間に起きていると、
睡眠と覚醒の切り替えが曖昧になります。
すると、
起きているのに頭がボーっとし
眠っているのにぐっすり眠れない、ということが起こります。
朝起きたときに不調でも、
一旦起きて、次のような行動をとってみましょう。
目覚めたら、ひとまず頭を起こして窓際に行き、
脳に光を届けてから休む。
二度寝をする場合も、
何時まで眠るのかを決めて、
それ以降は夜の睡眠まで起きているようにする。
こうすることで、
リズムの乱れを防ぐことができ、
不調は改善しやすくなります。
「なんとなく不調」なときの対策は、
朝は起きて、その後休む。
これを標準にしてみましょう。
菅原洋平
作業療法士。ユークロニア株式会社代表。アクティブスリープ指導士養成講座主宰。国際医療福祉大学卒。国立病院機構にて脳のリハビリテーションに従事したのち、現在は、ベスリクリニック(東京都千代田区)で薬に頼らない睡眠外来を担当する傍ら、生体リズムや脳の仕組みを活用した企業研修を全国で行う。その活動は、テレビや雑誌などでも注目を集める。主な著書に、13万部を超えるベストセラー『あなたの人生を変える睡眠の法則』、10万部突破の『すぐやる!行動力を高める科学的な方法』など多数。
著書:あなたの人生を変える睡眠の法則2.0
イラスト/菅原洋平
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