生理前にバストが大きくなるのは、なぜ?

生理周期とバストの変化〜その実態は

“生理の前と後では、バストのサイズが変わる”とか、“生理の時期はブラジャーの着用感が違う”とか。そんなふうに感じたことはありませんか? じつは、生理の周期によって乳房の形や大きさ、張りなどに変化を実感している女性は少なくないのです。

ワコールのアンケート調査によると、生理のときにバストが大きくなると答えた人は55%。その具体的な変化はさまざまで、感じ方にも違いがあることがわかりました。みなさんのホンネをいくつかご紹介しますと…

  • 生理前は胸が張り、熱をもって嫌です。
  • 生理中はバストアップするのでちょっと嬉しいです。自分の谷間を見てウキウキします(笑)
  • 30代後半からバストやウエストのサイズが生理周期で変わるので面倒くさい
  • 体重も増え、からだ全体がむくんだようになります
  • 排卵日頃や生理前に張りますね。みなさんもそうなんでしょうか?

※もっと詳しく知りたい人は https://www.wacoal.jp/brapan/body/q63.htmlをチェック。

生理周期とバストの変化〜そのメカニズムとは

では、どうして生理前に胸が大きくなったように感じるのでしょうか? 解剖学の専門家であり、医師・医学博士でもある東京医科歯科大学の山口久美子先生に伺ってみました。

「それは、女性ホルモンの影響です。排卵後に胸が張って大きくなったように見えるのも、生理が終わると元に戻るのも、女性ホルモンの働きによるもの。乳房には“女性ホルモンに対する感受性”があり、この性質があるのはからだの中で子宮と乳房だけなんです。

成熟した女性の生理周期は平均28日を1周期として、ほぼ規則正しく繰り返されています(図1)。子宮内膜の周期的な変化は、卵巣ホルモンであるエストロゲン(図1グラフの緑の線)とプロゲステロン(図1グラフの青い線)の変動によってもたらされますが、乳房の周期的な変化に最も影響を与えるのがこのプロゲステロン。プロゲステロンは排卵後に分泌される女性ホルモンで、水分をからだの中に溜め込む性質があるため、プロゲステロンが子宮だけでなく乳腺にも働きかけると、乳房も水を溜め込んだような状態に。つまり、乳腺と乳腺の間に水を含んだ浮腫状態が起こるのです。これが、いわゆる生理前の“胸が張ったような感じ”の正体。ややうれしくもある生理前のバストアップは、水分量が増えたことによるムクミだったというわけです。

妊娠していない場合、プロゲステロンの分泌は排卵後7日頃にピークを迎えて徐々に減少していき、子宮内膜と乳腺のムクミはその数日後にピークを迎えます。子宮内膜はやがて浮腫状態を維持できなくなって剥がれ落ち、排卵後14日頃に血液と一緒に体外へ排出されます。これが月経です。乳腺は月経の3〜4日前頃から始まる頃までの間に最も大きくなり、月経が終わる頃にはまた元の大きさに戻ります」

とのこと。なんと、バストのサイズアップや張り感の原因がムクミだったとは。意外な真実に驚かれた方も多いのではないでしょうか? 生理をはじめ、女性のからだに訪れるさまざまな現象や変化。そのメカニズムや対処法を知って、学んで、自分のからだとうまく付き合っていきたいですね。

※この記事のもととなった情報はこちら
▼ワコールボディブック「生理前のバスト増量、その正体とは?」
https://www.bodybook.jp/article/163131.html

山口久美子
東京医科歯科大学 統合教育機構 講師、医師・医学博士。2000年東京医科歯科大学医学部医学科卒業、2004年同大学院 医歯学総合研究科臨床解剖学分野 修了(医学博士)、同分野助教を経て2016年より現職に。

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