毎日を充実させる睡眠の法則131

●睡眠の法則

毎日を充実させる睡眠の法則131

ぼーっとする時間は良質な睡眠に重要！？

最近、何もせずにぼーっとすることは
ありますか？

vol131_ぼーっとする時間は良質な睡眠に重要！？

することが何もなくなると、
時間がもったいないとソワソワしたり、
手にしたスマホを見てしまったりすることもあるかもしれません。

実は、
何もせずボーっとすることには、
就寝前に、ぐるぐる考え事をすることを防ぎ、
睡眠の質を高めるという大事な役割があります。

ぼーっとしているとき、
脳は何もしていない、と感じるかもしれませんが、
そうではありません。

脳は、
常にオンの状態で
脳の中の複数の領域で構成される、
脳内の情報を整理する働きを続けています。

このとき、
私たちの思考は、
ふらふらとさまよっていて、
何を考えるともなしに考えている状態になります。

誰かと会話をしているときに、
相手の顔を見て適当に相槌を打ちながら、
会話の内容とは別のことについて考えていたことはありませんか？

マインドワンダリングとよばれる状態で
私たちの脳は、
何か集中すべきことがあっても、
16分に1回の頻度で、マインドワンダリングが起こっています。
また、
私たちが起きている時間の30～47％は、
マインドワンダリングの状態にある、と考えられています。

このマインドワンダリングの
役割の1つが
記憶の加工です。

私たちの脳は、
何かを体験すると、それを記憶しますが、
その記憶を分解し、
不要なものを消したり、
関連のあるものをつなぎ合わせたりなどして、
使える記憶に加工しています。

これは、例えば食事でいうと
食べたものを使える栄養素に消化しているような作業で、
私たちの日々の生活には欠かせないものです。

先ほど、
会話中にぼんやり思考がさまよう例をお話ししましたが、
これは、相手にばれてしまったら
「話を聞いていないでしょ！」と怒られそうですよね。

マインドワンダリングは、
大切な作業なのですが、
脳が勝手に始めてしまうので、
不適切な場面で出てくることがあります。

運転中や、仕事中、会話中や就寝前です。

特に就寝前にこれが始まると、
ぐるぐる連想してしまい、
悩みがどんどん膨らむ割に、
何も解決しないで時間だけが経過することになります。

脳は、
情報を食べたら消化しなければならない。

この前提に立って考え、
意図的、戦略的にマインドワンダリングを使うと、
不適切な場面に出てきてしまうのを
防ぐことができます。

その方法が、
何もせずに、ぼーっとすることです。

ぼーっとするのは、
意外に難しいかもしれません。

最初は、
旅に出ることや好きな映画や小説、
食べたい物など、
考えることを決めてみると試しやすいです。
考えているうちに自然に頭の中で連想していき、
思考がさまよっていきます。

無駄な時間に思えても、
意外といいひらめきが生まれることもあります。

数分でもいいので、
戦略的にマインドワンダリングをしてみましょう。

菅原洋平

作業療法士。ユークロニア株式会社代表。アクティブスリープ指導士養成講座主宰。国際医療福祉大学卒。国立病院機構にて脳のリハビリテーションに従事したのち、現在は、ベスリクリニック（東京都千代田区）で薬に頼らない睡眠外来を担当する傍ら、生体リズムや脳の仕組みを活用した企業研修を全国で行う。その活動は、テレビや雑誌などでも注目を集める。主な著書に、13万部を超えるベストセラー『あなたの人生を変える睡眠の法則』、10万部突破の『すぐやる！行動力を高める科学的な方法』など多数。