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●睡眠の法則
毎日を充実させる睡眠の法則100
寝不足だと食べ物がご褒美に見える?
寝不足になると、
満腹ホルモンが減り、
食欲刺激ホルモンが増えて何か食べたくなってしまう。
これが夜中に食べてしまう原因のひとつなのですが、
そんなに食欲がわいているわけでもなく、
衝動的に食べたくなる、ということもあると思います。
実は、
睡眠不足になると、
私たちのやる気をつかさどる脳の報酬系という神経回路が働き、
食べ物がご褒美に見えてくる仕組みがあるのです。
この仕組みに関係するのが、
ご褒美をもらえるかを予測する働きをしている扁桃体(へんとうたい)と
内臓の感覚に関わる前部島皮質です。
睡眠不足の方に、食べ物の画像を見せると
扁桃体と前部島皮質の活動が高まり、
その食べ物を無性に食べたくなってしまいます。
一方、
睡眠不足を解消した方に、食べ物の画像を見せると、
活動はおさまり、自覚的な食欲も低下しました。
そして、
一旦慢性的な睡眠不足が解消されると、
その後で一晩徹夜をしても、
食べ物の画像に反応は起こらず、
「食べたい!」という欲求は起こりませんでした。
慢性的な寝不足は、
あまり自覚がありません。
「自分は睡眠不足ではない」と言っている方々を
数日間好きなだけ眠れる設定にした実験では、
10時間以上眠っています。
日を追うごとに、
少しずつ睡眠時間が短くなっていき、
9~20日程度で8時間あたりに
睡眠時間は固定されました。
日々の生活で、
無自覚に睡眠不足状態になっていて、
それを解消するのに2週間前後かかる、と聞くと、
それじゃあ一生寝不足は解消できない!と思う方も
いると思います。
現実的には、
累積睡眠量をコツコツかせいでいきましょう。
寝つきがよいならば、
1日数分でも早寝をしたり、
入浴や夕食を早めて、
早寝ができるスケジュールをつくってみることで、
1カ月の総睡眠時間を増やすことはできます。
ちょっとだけ早寝をコツコツ続ければ、
食べずに済み、食べてしまった罪悪感も避けられそうです。
菅原洋平
作業療法士。ユークロニア株式会社代表。アクティブスリープ指導士養成講座主宰。国際医療福祉大学卒。国立病院機構にて脳のリハビリテーションに従事したのち、現在は、ベスリクリニック(東京都千代田区)で薬に頼らない睡眠外来を担当する傍ら、生体リズムや脳の仕組みを活用した企業研修を全国で行う。その活動は、テレビや雑誌などでも注目を集める。主な著書に、13万部を超えるベストセラー『あなたの人生を変える睡眠の法則』、10万部突破の『すぐやる!行動力を高める科学的な方法』など多数。
イラスト/菅原洋平
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