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睡眠の法則

  • 毎日を充実させる睡眠の法則99

    ●睡眠の法則

    毎日を充実させる睡眠の法則99

興奮して眠れない・・・その理由は


夜になっても全然眠くならない。
ベッドに入っても目がらんらんとしてしまう。

vol99_興奮して眠れない・・・その理由は
これは、
自律神経の交感神経活動が過剰な状態です。

一般的には、
交感神経活動は昼に活発になり、
夜になると副交感神経活動が活発になってリラックスする、と言われますが、
なぜ、夜になっても交感神経活動が活発になってしまうのでしょうか。

交感神経活動が高まると、
血圧が上昇し、心拍も呼吸も速くなります。

これは、危機的な状況を乗り切るために、
つくられるモードです。

本来は、一時的に身体機能を高めて
素早く動くためのモードなのですが、からだを動かしているわけではないのに、
仕事で緊張したり、
先行きが見えない状況で不安になったりしても、
同じように交感神経活動が高まります。

実際にからだを動かした場合は、
高まった心拍数や呼吸数は、
その反動で低下します。
運動で交感神経が高まったときには、
夜に眠くなった、寝つきやすくなった、という経験があると思います。

しかし、
からだを動かしていないのに交感神経が高まった場合は、
この反動による心拍数や呼吸数の低下が起こりにくいです。
精神的な緊張や不安で夜になっても興奮してしまうのは、このためです。


これを解決する方法として、
昼間にからだを動かしましょう、と提案されることがよくあります。
先ほどのように、実際にからだを動かして反動で心拍数を下げることを
狙うわけです。

ところが、
ジムに行くなどしっかり運動をすると
かえって寝つけなくなってしまった、ということも起こります。

普段運動習慣がなく、
からだを動かしたことで心拍数や呼吸数を高めるという経験が少ない人が、
急に運動をすると、心拍数や呼吸数は下がりにくいです。

運動で寝つきをよくしよう、と思ったら、
低強度の運動を高頻度(運動をする日数を増やす)行うようにしてみましょう。
低強度とは、スクワット10回程度の軽い運動です。

運動で一時的に眠れるようになればいいですが、
もう少し根本的な解決策も知っておきましょう。

交感神経活動は、通常は、
腹側迷走神経系という副交感神経によって抑制されています。
この腹側迷走神経系は、安全や安心が保障された場面で働きます。

「自分はなぜこんな仕事をしているんだろう」
「この先どうなってしまうんだろう」
などと、社会における自分の位置づけが感じられなくなってしまったり、
先行きの見通しが描けなくなったりすると、
腹側迷走神経系の働きは低下し、
危機状態を乗り切るための交感神経系の働きが前面に出ます。

つまり、
自分の仕事が誰かの役に立っている場面を見たり、
少し先の自分の姿を思い描いたりすることができると、
交感神経系の過剰な活動は抑えることができるわけです。
人との交流や、相手に共感したり、笑い合ったり、
またはそれが直接得られなかったとしても、
小説や映画、漫画などを通して、自分の立場に置き換えて疑似体験することでも
交感神経の余計な活動を抑制することができます。

社会とのつながりを感じられる出来事を用意することが、
安心しておやすみになるためのコツなのです。

菅原洋平 菅原洋平

作業療法士。ユークロニア株式会社代表。アクティブスリープ指導士養成講座主宰。国際医療福祉大学卒。国立病院機構にて脳のリハビリテーションに従事したのち、現在は、ベスリクリニック(東京都千代田区)で薬に頼らない睡眠外来を担当する傍ら、生体リズムや脳の仕組みを活用した企業研修を全国で行う。その活動は、テレビや雑誌などでも注目を集める。主な著書に、13万部を超えるベストセラー『あなたの人生を変える睡眠の法則』、10万部突破の『すぐやる!行動力を高める科学的な方法』など多数。

イラスト/菅原洋平
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