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●睡眠の法則
毎日を充実させる睡眠の法則113
『睡眠を変えるなら、生活習慣の順番を変える』
『「入浴で睡眠の質が上がる」と聞いて、
就寝前に入浴することを習慣にしたところ、
それ以降、途中で目覚めやすくなってしまっていた。』
このように、
睡眠の不満足の原因が自分の生活習慣だったことに
気づかなかった、ということがよくあります。
「入浴で睡眠の質が上がる」
という話の背景は、深部体温リズムと関係しています。
深部体温リズムは起床11時間後に最高になり、
その時間から徐々に低下していきます。
その途中で入浴によって体温が上げられると、
からだは放熱し深部体温が急低下、
最初の眠りが深くなります。
ただし、この話は
起床11時間後の深部体温が、
運動によって上昇していてはじめて成立します。
起床11時間後の体温を上昇させていないと、
入浴後の体温の低下はそれほど起こらなくなってしまいます。
また、深部体温リズムが強化されていないのに
就寝前に入浴をすると、
入浴によって体温が上がった状態で睡眠が始まるので、
前半の睡眠が浅くなったり、
途中で目覚めやすくなったりすることがあります。
「快眠のためにはコレ」という情報を見聞きして試すときは、
必ず、その背景にある生体リズムに照らし合わせましょう。
そして、その行動をしているから「正解」と考えるのではなく、
実際によく眠れているか、目覚めがスッキリしているかを
観察しましょう。
観察をしてみて、
生活習慣を見直してみようと思ったときは、
新しいことは試さずに、
行動の順番を変えるのがお勧めです。
脳は、新しい行動をすると大量のエネルギーを消費します。
それを避けるために、
前日までと同じ行動を選択します。
この省エネ戦略で出来上がるのが、
生活習慣です。
省エネ戦略はそのままに、
生活行動の順番を変えると、
体温の上昇や心拍数の低下など、
睡眠に必要な要素のタイミングを変えることができます。
食事と入浴の順番を入れ替えたり、
眠る前に見ていた動画を、食後に見るようにしたり。
順番を変えて、
就寝前に眠くなり、
寝つきがよくなったら、
その順番が今の自分に最適な生活習慣ということです。
季節や生活様式によって、
最適な順番は変化します。
睡眠に満足できず、日中にぼんやりして元気がなくなってしまったときは、
行動の順番を変えてみましょう。
菅原洋平
作業療法士。ユークロニア株式会社代表。アクティブスリープ指導士養成講座主宰。国際医療福祉大学卒。国立病院機構にて脳のリハビリテーションに従事したのち、現在は、ベスリクリニック(東京都千代田区)で薬に頼らない睡眠外来を担当する傍ら、生体リズムや脳の仕組みを活用した企業研修を全国で行う。その活動は、テレビや雑誌などでも注目を集める。主な著書に、13万部を超えるベストセラー『あなたの人生を変える睡眠の法則』、10万部突破の『すぐやる!行動力を高める科学的な方法』など多数。
著書:あなたの人生を変える睡眠の法則2.0
イラスト/菅原洋平
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