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●睡眠の法則
毎日を充実させる睡眠の法則43
忙しいと感じるのは睡眠不足のせい!?
脳は勝手にやることを増やしてしまう
忙しい。やることが山積みだ・・・。
と感じることがあったら、
それは睡眠不足のサインかもしれません。
睡眠が不足すると、脳は勝手に複数のことを同時に行う
マルチタスクを作り上げてしまいます。
私たちの脳が複数の仕事をうまくこなすには、
ワーキングメモリという能力が必要です。
ワーキングメモリは、単純な記憶力とは違い、
情報を一旦脳内に貯めて、他の情報と組み合わせて加工し、
必要な場面になったら、その情報を思い出して使うという働きです。
このワーキングメモリは、脳内の前頭前野背外側部(DLPFC)と
前部帯状回(ACC)という部位が主に担っています。
DLPFCとACCの働きは、
プレーヤーとマネージャーのような関係です。
目の前の資料をつくっているときにはDLPFCが働きます。
そこへ、メールが来たらACCが
「そのメールを見るのに使うエネルギーは〇%。
今は必要ないから無視しよう」という感じで査定し、
DLPFCが目の前の課題に集中できるように情報を選別します。
ACCとDLPFCが緊密に連携できていると、
仕事中に余計な情報が入ってきても、
それに惑わされることなく、目の前のことを
確実に終わらせることができます。
睡眠不足だと何にでも首をつっこみたくなる
ところが、睡眠不足になると、
ACCとDLPFCの連携が不十分になります。
すると、作業に集中している途中でも、
メールがきたり話しかけられるなど、
別の刺激が入ってくるとそれが選別できず、
手をつけたり、その作業について考え始めてしまうようになります。
目についた物に手をつけては、また別のことに手をつける、
という行動をとるので、複数の作業を同時に進めている
状況になってしまいます。
さらに、このマルチタスクをこなす状況がつくられると、
脳は次々と刺激を求めるようになります。
忙しくて疲れているはずなのに、
帰宅してから片付けを始めてしまったり、
気になっていることをネットで調べようと思って、
ネットサーフィンが始まって、気づいたら深夜になっていた、
という経験はありませんか?
この睡眠不足とマルチタスクのサイクルにはまってしまうと、
脳がとても疲れてしまいます。
今やらなくても良いことに手をつけたり、
やるべきこととは違うことをやり始めようとしたときは、
睡眠不足かも!?と気づいてください。
今日は睡眠に時間を使ってみよう!と思えれば、
悪循環を断ち切ることができます。
菅原洋平
作業療法士。ユークロニア株式会社代表。アクティブスリープ指導士養成講座主宰。国際医療福祉大学卒。国立病院機構にて脳のリハビリテーションに従事したのち、現在は、ベスリクリニック(東京都千代田区)で薬に頼らない睡眠外来を担当する傍ら、生体リズムや脳の仕組みを活用した企業研修を全国で行う。その活動は、テレビや雑誌などでも注目を集める。主な著書に、13万部を超えるベストセラー『あなたの人生を変える睡眠の法則』、10万部突破の『すぐやる!行動力を高める科学的な方法』など多数。
イラスト/菅原洋平
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