-
●睡眠の法則
毎日を充実させる睡眠の法則64
リモートワークでの睡眠の作り方
リモートワークで睡眠のリズムが崩れたら
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、
リモートワークをスタートした、という人も多いと思います。
そんな中、リモートワークがスタートして数ヶ月が経過し、
睡眠のリズムが乱れてきた、という相談が増えています。
その多くは「朝起きられなくなった」ということです。
そこで、朝起きるリズムを維持するために、
試していただきたいことがあります。
目覚めたらとりあえず座ってみる
アラームで目覚めることはできても、
出勤しなくてもよいということもあって、
二度寝をしてしまいがちです。
二度寝をすると、次に目覚めたときに頭がボーっとしてしまい、
さらに三度寝、四度寝と、ずるずる起きる時間が遅れてしまいます。
そこで、目覚めたら頭を起こして、
座って二度寝をしてみましょう。
![vol.64_リモート](../files/vol64_remote.jpg)
脳の目覚めと睡眠は、
重力がかかる方向の影響を受けます。
横になって頭が地面に対して水平になると、
深い睡眠の脳波が出現しやすくなります。
深い睡眠の脳波は、本来は、
夜の寝始めの時間帯に集中するはずですが、
起きているはずの時間に横になって、
深い睡眠の脳波が出現すると、
夜の睡眠の質が低下してしまいます。
ベッドに座って頭が地面に対して垂直になると、
たとえ眠っていても、
深い睡眠の脳波が出現しません。
座ったままの二度寝では、
大抵30分程度で目が覚めます。
脳の起床準備を無駄にしない
脳は、起床する3時間前から、
頭を起こして活動する準備をしています。
いつもの起床時間の3時間前から、
血圧を上げるコルチゾールの分泌が増え始めて、
起床1時間前になると急激に増えます。
これは、目覚めて頭を起こしたときに、
重力によって血流が地面の方向に下がり、
脳に届く血流が減ってしまうのを防ぐための準備です。
コルチゾールがピークになったところで目が覚めるのですが、
ここで再び横になってしまうと、
ピークになったコルチゾールは減ってしまいます。
すると、起床のタイミングが分からなくなるので、
コルチゾールは中途半端に増えたり減ったりを繰り返し、
最終的に頭を挙げたときに、
少し遅れて急いで分泌が増えます。
脳に届く血流が急に増えると頭痛がしたり、
脳に届けられる血流が優先され過ぎると、
内臓の血流が減って気持ち悪くなってしまいます。
脳がせっかく睡眠の後半から起床準備をしているので、
これを無駄にしないように、
コルチゾールがピークになった時点で、
頭を挙げてみましょう。
座って二度寝をすると、
横になった場合に比べて、
起きた後で動き出しやすいことを実感できると思います。
脳とからだにかかる負担を減らすつもりで、
目覚めたらとりあえず座ってみてください。
![菅原洋平](../files/sugawara_prof.jpg)
作業療法士。ユークロニア株式会社代表。アクティブスリープ指導士養成講座主宰。国際医療福祉大学卒。国立病院機構にて脳のリハビリテーションに従事したのち、現在は、ベスリクリニック(東京都千代田区)で薬に頼らない睡眠外来を担当する傍ら、生体リズムや脳の仕組みを活用した企業研修を全国で行う。その活動は、テレビや雑誌などでも注目を集める。主な著書に、13万部を超えるベストセラー『あなたの人生を変える睡眠の法則』、10万部突破の『すぐやる!行動力を高める科学的な方法』など多数。
イラスト/菅原洋平
※この記事の内容について、株式会社ワコールは監修を行っておりません。
※この記事に含まれる情報の利用は、お客様の判断と責任において行なってください。