-
●睡眠の法則
毎日を充実させる睡眠の法則144
更年期の睡眠の仕組みと対策
年齢を重ねると、
睡眠には変化が出てきます。
男女ともに、
55歳を境に大きく睡眠が変化して、
深い睡眠が減り、全体の睡眠量も短くなっていく
傾向があります。
男性よりも女性の方が早い段階で変化が訪れるので、
それまではまったく睡眠に困っていなかった人ほど、
その変化に気持ちが動揺しやすく、
パートナーにも理解してもらいにくいことがあります。
今回は、女性の年齢による睡眠の変化の仕組みと
その対策をお話しします。
女性は、
閉経に移行する時期から
女性ホルモンであるエストロゲンの一種のエストラジオールの
血中濃度が低下します。
このエストラジオールの低下に伴って、
のぼせやほてりなどの
血管運動神経症状が起こり、
就寝時、寝汗をかきやすくなり、
寝つきの悪さや熟眠感のなさにつながると考えられています。
また、
閉経移行時期になると、
脳を覚醒させるオレキシンという物質を生み出す
神経が過剰活動することが指摘されていて、
寝つけないことに拍車をかけているとも考えられています。
そこで、
エストラジオールとオレキシンそれぞれの
対策を試してみて下さい。
睡眠中ののぼせによる寝汗対策として、
耳から上の脳の温度を下げてみましょう。
乾いたタオルか、
2-3回霧吹きをして湿らせたタオルを冷凍庫で凍らせて、
冷凍タオルをつくってみましょう。
そのタオルを、
枕の上の方に敷き、
そのまま眠ります。
耳から上がちょうど大脳の位置にあたり、
脳のまわりに張り巡らされている血管の温度を
下げることができると、
血管運動神経症状が抑えられて、
眠りやすくなることがあります。
脳を目覚めさせるオレキシンは、
本来は就寝前に減少するリズムがあります。
オレキシンが減っていくはずの時間帯に、
スマホで動画を見たり、
テレビを見たりし、
脳を覚醒させると、
オレキシン神経の過剰活動を助長することにつながります。
そこで、
スマホを玄関に置くことをお勧めしています。
スマホから物理的な距離をおき、
どうしても使う用事があるならば玄関で使うようにすると、
意味もなくスマホを使ってしまうのを
防ぐことができます。
年齢に合わせて変化していく
睡眠の仕組みを知ることができれば、
うまく対策できたときに、
脳と体の変化を楽しめると思います。
変化に合わせてしなやかに
快適な時間を増やしてみましょう。
菅原洋平
作業療法士。ユークロニア株式会社代表。アクティブスリープ指導士養成講座主宰。国際医療福祉大学卒。国立病院機構にて脳のリハビリテーションに従事したのち、現在は、ベスリクリニック(東京都千代田区)で薬に頼らない睡眠外来を担当する傍ら、生体リズムや脳の仕組みを活用した企業研修を全国で行う。その活動は、テレビや雑誌などでも注目を集める。主な著書に、13万部を超えるベストセラー『あなたの人生を変える睡眠の法則』、10万部突破の『すぐやる!行動力を高める科学的な方法』など多数。
著書:あなたの人生を変える睡眠の法則2.0
イラスト/菅原洋平
※この記事の内容について、株式会社ワコールは監修を行っておりません。
※この記事に含まれる情報の利用は、お客様の判断と責任において行なってください。