ときめき × 未来【2011】 ワコール・京都精華大学 産学連携プロジェクト

メッセージ

井上 斌策
京都精華大学 デザイン学部
プロダクトデザイン学科長•教授
井上 斌策

  豊かな未来創造にむけてデザインに何が求められているのか次代を担うデザインを学ぶ学生たちが人びとや時代の意識を的確に捉え、社会にイノベーションをもたらし共感を得る新鮮な発信力を有し、自らも常に「ときめき」をもって行動できるクリエーターを育むことに努力してまいりました。ただ、環境やグローバルな価値変化の中、より的確に未来対応できる新たな理念構築のもと、ここ数年プロダクトデザイン学科は産官学への取り組みや国際交流の強化に積極的に取り組みはじめています。こうした中でワコール様との出会いが持てました事は大変な幸せでした。

  "Next generationʼ s inner wear" というワクワクするプロジェクトの 「ときめき × 未来」 はまさしく私たちが目指す思いです。成果発表に至りましたのも、ワークショップに本学までご出向頂き数多くのご指導アドバイス等を頂きましたワコール 総合企画室広報・宣伝部の各氏、ウンナナクールの各氏のお陰です。ご批評と共に学生たちの試行錯誤と努力成果に新鮮な「ときめき」を感じて頂けましたら幸いです。

米本
昌史
京都精華大学 デザイン学部
プロダクトデザイン専任講師
米本 昌史

  前年の秋口から、ワコール総合企画室の杉本さんと月一回のミーティングを重ね、テーマ設定からスケジュールまで幾度と修正しながら、スタートした産学連携です。私自身にとっても思い入れ深いプロジェクトです。

  今回のプロジェクトの最大の特徴は全14週のうちのほぼ半分、隔週にわたって、ワコール・ウンナナクールのみなさまに大学までお越しいただいたことです。インナーウェアについての理解と探求、制作へのアドバイスなど、結果とても密度の濃いプロジェクトになったのは、時間と人材を惜しみなく注ぎ込んでくれた証であり、学生共々、全員が一丸となって本気でひた走ったプロジェクトだったと感じています。それは"次世代"というキーワードを抱えながらも、現在、2作品が商品化としての検討に入っていることが、物語っていると自負しています。このプロジェクトにおけるワコール・ウンナナクールのみなさまの情熱にとても感謝しております。

堀之内 朝広
株式会社ウンナナクール 代表取締役
堀之内 朝広

  大学生の皆さんはこれまで下着についてあれこれ真剣に考える機会はなかったのではないでしょうか?

  下着市場は年々縮小していると言われています。背景として低価格品の氾濫や、興味、関心度の低さが挙げられると思います。下着には「あまりお金をかけたくない」し「楽しむ感覚などない」人が増えているのではと危惧しています。このような傾向が続く中で今回の「次世代のインナーウェア」を考えるコラボがスタートしました。学生の皆さんが果たしてどれだけの興味関心を持っているのか?しかも参加者の大部分が男子学生という中で活動は実を結ぶのかという当初の杞憂は、最終プレゼンの場で見事に吹き飛びました。

  柔軟な発想、着想のポイントは男子学生、女子学生関係なくすばらしかったと思います。4ヶ月に渡り若い皆さんに下着について真剣に考えてもらう機会が持てたことに加え、活動を通じて弊社のメンバーにも多くの気づきを与えてくださったことを、関係者の皆様に心より感謝いたします。

小川 直子
株式会社ウンナナクール 取締役 販売部長
小川 直子

  待ちに待ったプレゼンテーションの日。まず、どのプレゼンも切り口が面白かった。「どんな下着を作りたいか」ではなく、「こうなりたい。それに下着というものがどう役立てるか」そんな発想。家族のコミュニケーションを大切にしたい、収納を美しくしたい、少しでも早く走りたい、人がもつ本来の美しさをもっと美しくしたい、折という技術を活かしたい、などなど。

  みなさんのプレゼンを聞いてた私は、そんなことこれっぽっちも思いつかないことが悔しくて、そしてとても感動しました。

  今回は下着屋のウンナナクールが、「作品」ではなく「新発想商品」という目線で受賞者を選びましたが「作品」や、「売れそうな商品」であれば、また受賞者は違っていたと思います。

  今後も対象が何になろうとも、みなさんの自由な発想、切り口を大切に、メーカーにいるプロたちをぎゃふんといわせるようなものづくりを続けてください。私たちも負けないように頑張ります!

木村 蘭平
株式会社ウンナナクール 商品部長
木村 蘭平

  今回ウンナナクールからは私と企画チーフの2名が隔週で講義に参加しました。当初はどのようなプロジェクトになるのか、最終作品ができるところまで到達するのかと不安もありました。しかし、そんな不安は回を重ねるごとにすばらしい未来への予感に変わっていきました。

  まず何より感じたことは学生の熱心さです。自分の考え、やりたいことをしっかりと主張し、期待レベルに到達してないときは反省し、次回までに仕上げていく、その真摯な姿に大変感心しました。また、先生の熱い思いがプロジェクトをより高次元の目標へと高めていきました。私たちも負けずにビジネスの現場の風をぶつけようと毎回が真剣勝負でした。通常の業務を行っている日よりも、講義の日のほうが疲労が大きかったくらいです。

  最終発表された作品は非常にレベルが高く、ずっと過程を見てきたにも関わらず新鮮で、感動を覚えました。まだまだ下着で新しいチャレンジができるとことを学生の皆さんに教えていただきました。今は感謝の気持ちでいっぱいです。

仲西 久恵
株式会社ウンナナクール 商品部
プランナー
仲西 久恵

  学生のみんなが下着をデザインする。自分もデザイン課の学生だった事もあり、デザイン重視の奇抜な提案になるんだろうな。と思っていました。しかし、最終提案されたデザインはすぐにでも商品化出来そうなものから、今までに無いすばらしいアイデアばかりでした。

  「次世代のインナーウエア」という難しい課題に対し、みなさん悩みながら、そして苦労しながら作品を作り上げていました。途中のアイデアチェックでは、一緒になって改良点や縫製を考え「どうしたら実現可能か?」をアドバイスさせて頂きました。

  「どんな人に」「これを着けてどうなってほしいか」を常に考えて欲しいと伝えさせて頂くと、最終の提案はパッケージまで、お客様を意識したすばらしいプレゼンテーションでした。

  今回は、学生のみなさんにとって企業に触れるとても良い機会となったと思います。そして、私にとっても刺激を受ける楽しいプロジェクトでした。

正垣 敏男
株式会社ワコール 総合企画室
広報•宣伝部 宣伝企画課長
正垣 敏男

  手探りで始めたプロジェクトでしたが、当初の予想を超える成果を出していただいたと思います。学生の皆さんにとっても貴重な経験になったと思います。さらに、企業側にとっても、既成概念に捉われない発想を見せていただき得るものが大きかったといえます。

  そしてPRという観点からは、京都の活性化や話題づくりにもつなげることができ、コミュニケーションの新しいあり方を試す場にもなりました。

  「地域における大学+企業」という、この新しい試みをさらに発展させていくために、今後も新しい取り組みができることを期待しています。

杉本 豪之
株式会社ワコール 総合企画室
広報•宣伝部 宣伝企画課
杉本 豪之

  我々広報・宣伝部としては、初めて産学連携企画ということで、 最初はどうのような内容にしていこうか、どうしたらヤル気になってもらえるのか... というところからスタートをいたしました。

  他の授業との並行してのことで大変だったと思いますが、皆さんには、本当に真面目に取り組んでもらい、真剣な眼差しでそれぞれの知恵を絞り、リサーチからプロダクトまで 努力をされていた姿がすごく印象に残っております。「新規性」とは何なのか。 未来の社会情勢を予測したインナーウェアの開発という側面から、 各回のディスカッションやプレゼンを重ねていくうちに、我々も考え深いものがありました。

  斬新なアイデアを生み出すことの難しさや、そのモノの「価値」を生み出す為に、今あるモノとどう差別化をするのか。 また、そのモノの「メッセージ性」と、顧客の「満足度」を繋げるために、そのモノのニーズをどう満たしていくのか。顧客は何を期待して購入をしたのか、これを知り、これに応えていくことが必須であり、世に送り出すときにはこんな視点でモノを創ってみてはいかがでしょうか。 これからも素晴らしい作品展開を期待しております。