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●睡眠の法則
毎日を充実させる睡眠の法則41
眠る前に周りの音がうるさく感じるのはなぜ?
いざ眠ろうとすると周りがうるさく感じる
眠る準備を整えて、いざ眠ろうとベッドに入ると、
隣の部屋の物音や近所の犬の鳴き声、時計の秒針の音がうるさく感じて
「眠れない!」ということはありませんか?
実は、眠る前にうるさく感じることにも意味があります。
眠くなってきたときの脳波は、
アルファ波という波が出ています。
アルファ波はリラックスしているときに出る、
という話を聞いたことがあるかもしれません。
しっかり集中しているときよりも、ゆっくりした脳波です。
このアルファ波が増えてくると、
聴覚が敏感になることが明らかになっています。
これが、眠る前に周囲の音をうるさく感じる原因です。
では、なぜアルファ波になると聴覚が敏感になるのか、
というと、私たちにもともと備わった、
生命を守る機能だと考えられています。
動物にとって眠ることは、
かなり無防備な状態になるということです。
眠る前には、天敵に襲われないように、
周囲の安全を確保する必要があります。
いよいよ眠る、という段階では、
聴覚を敏感にして、あやしい物音がしないか
最終確認しているのです。
このことから、周囲の音がうるさく感じたら、
脳は順調に眠りに入ろうとしている、とも言えます。
「うるさいなー」と思ったら、
「よし、これで眠れるぞ」という、
ポジティブなサインだと考えてみましょう。
朝、目覚まし時計の音が不快に感じるのはなぜ?
睡眠と音の関係で、もう1つよく経験することがあります。
それは、目覚まし時計の音を不快に感じることです。
これにも、脳の仕組みが関係しています。
一晩の睡眠のうち、25%くらいを占めるレム睡眠は、
睡眠の後半から起き掛けに集中して出ます。
レム睡眠には、普段聞きなれない音が聞こえたら、
素早く脳を覚醒させるという役割があります。
例えば、眠り始めて1時間程度で地震があっても、
深く眠っていて気づかなかった、
ということがあると思います。
ノンレム睡眠中には、周囲の音に対する反応は、
低くなっているので気づきません。
一方で、明け方に地震があると
すぐ目覚めるということが多いのですが、
これがレム睡眠による危機管理システムです。
目覚まし時計の音を不快に感じるのは、
レム睡眠によって脳が危機状態を察知した、
ということです。
脳に備わったシステムで起きることができているわけですが、
もちろん、目覚めは不快でない方がよいので、
起きる時間を3回唱えて眠る自己覚醒法
(⑭「夜中に目覚めても時計を見ない」)を使って、
脳にかかる負担を減らしていきましょう。
菅原洋平
作業療法士。ユークロニア株式会社代表。アクティブスリープ指導士養成講座主宰。国際医療福祉大学卒。国立病院機構にて脳のリハビリテーションに従事したのち、現在は、ベスリクリニック(東京都千代田区)で薬に頼らない睡眠外来を担当する傍ら、生体リズムや脳の仕組みを活用した企業研修を全国で行う。その活動は、テレビや雑誌などでも注目を集める。主な著書に、13万部を超えるベストセラー『あなたの人生を変える睡眠の法則』、10万部突破の『すぐやる!行動力を高める科学的な方法』など多数。
イラスト/菅原洋平
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