vol.18-5 ミュージシャン坂本美雨さん

何気ない日を美しく

坂本美雨さんをゲストにお招きしたインタビュー、最終回です。



第一回 「上質なおうちスタイル」

第二回 「今のからだを愛すること」

第三回 「1年の終わりに思うこと」

第四回 「上質な眠り」






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--------------------美雨さんが思う“上質さ”とは?



最近よく考えているのは、働いた人やその仕事に、適したお金をお支払いしたいということ。全ての人に適切な報酬が届くような世の中になるといいなぁと願うばかり。それにはまず“自分が何にお金を使うか”ということをきちんと考えなければいけないんですよね。野菜を買うにしても、洋服を買うにしても、対象が何であれお金を支払うのであれば、誰も搾取をされていない方法を丁寧に選びたいと思っています。


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“上質さ”とは、そのものが持っている物語や歴史、ストーリーに敬意を払うということだと思うんです。敬意を払うということは、それがお金であったり大切に着ることであったりするのかなぁと。そういうことがいかに大事なことか大人になるとより一層気付き、そこから力をもらったりもしています。“上質さ”というものへの考え方や見方が深まったことで、物を買うという行為に対しても多角度から考えるようになりました。



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--------------------どんな人に美しさを感じますか?



人が生きてきた年輪や哀愁みたいなものにぐっと色気を感じますね。人が生きてきた生々しさみたいなものに惹かれるように。色々なことを考えていたり、葛藤したりすることでにじみ出てくるものがあると思うんです。美しさとは、若い頃に思っていたような顔やからだなどの見た目どうこうではないんだと大人になって感じています。色気も同じで、胸が大きいとかそういう分かりやすいイメージではなく、脳みそをきちんと使っているからこそにじみ出る色気があると思います。生きることにきちんと向き合っている人は、美しい。私は若い頃、自分の意見を強く出したり、どろっとした部分に向き合うことが不得意でした。けれど歳を重ねるにつれ、きちんと向き合ってぶつかるという作業、その中で言ってもらった言葉、こんな自分がいたのかという発見、そういうことが積み重なってきたことによって考え方や感じ方が変わってきたんだと思います。



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最近、「許された」と感じる経験が多いんです。
先日の舞台「星の王子さま ーサン=テグジュペリからの手紙ー」も新しいことに挑戦するような気持ちで挑んだのですが、自分が元々持っているものの中から様々な引き出しを探したり、引き出された部分ももちろんありつつも、今の自分をそのまま必要としてもらえたような役どころだったんです。私が培ってきた声というものを必要としてもらえるということは、存在そのものを受け止めてもらえるということと同意義。音楽的には専門的な教育を受けたりしてきたわけではないですし、確信みたいなものはないまま歌って生きてきましたが、今回「今の自分そのままでいいんだよ」と受け止めてもらえたことで、ちゃんと私は生きてきたんじゃないかと許されたような気持ちになりました。生きるということ、歌うということに、これからも生々しくきちんと向き合っていきたいなぁと今改めて思っています。




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今回の企画では、美雨さんにご指名頂いた、美雨さんと親交の深い方々にご参加いただきました!


ライター:柿本真希さん
フォトグラファー:前康輔さん
ヘアメイク:高城裕子さん
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WACOAL DIA

[タンクトップ:CBB・103]
[bra:BBB・555]





坂本美雨さん
ミュージシャン。
5月1日生まれ。音楽に囲まれNYで育つ。1997年「Ryuichi Sakamoto featuring Sister M」名義でデビュー。以降、本名で活動を開始。音楽活動に加え、執筆活動、ナレーション、演劇など表現の幅を広げ、ラジオではTOKYO FMを始め全国ネットの「ディアフレンズ」のパーソナリティを2011年より担当。村上春樹さんのラジオ番組「村上RADIO」でもDJを務める。おおはた雄一さんとのユニット「おお雨(おおはた雄一+坂本美雨)」待望のファーストアルバム「よろこびあうことは」が2020年6月11日にリリースされた。
動物愛護活動に長年携わり、著書「ネコの吸い方」や愛猫“サバ美”が話題となるなど、"ネコの人"としても知られる。
2015年、出産。猫と娘との暮らしも日々綴っている。

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