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●すいみんコラム
生活環境のスペシャリストに聞く! 全6回睡眠スペシャルインタビュー④
第4回 着替えが入眠へのスイッチ
■ 寝間着は「これから眠りの時間に入るぞ」という気持ちの切り替えのアイテムでもあるかと思います。どういうタイミングで着替えたら良いのでしょうか。
第3回でお話した「心地よい眠り」を得たいというために寝間着を着るのだとすれば、OFFへの切り替えをどうするかということで、それこそぬるいお風呂にはいって副交感神経型にしてさっぱりしたところで着替えるというのがいいのかもしれないです。
でも人の生活っていろいろですし、ひょっとしたらそれがベストだとは言わないほうがカッコいいかもしれませんね。夜遅くまで起きている人も多いですし、アメリカなどだと朝シャワーとういう人が多くて、夜は長いTシャツなどでお喋りなどしながらそのまま寝てしまうスタイル。じゃあそれがダメ!ともいえないでしょう。
部屋着でだらだら過ごしてそのまま寝ちゃうというのも気持ちいいですよ(笑) 私はしませんけどね(笑)
実際私たちも、健康優良児のようにさぁお風呂、さぁ着替えて寝ましょう!という生活はしてないじゃないですか。絶対にここで寝間着に着替えましょうという生活はしていないですから。
でも、昼間の生活から夜眠りに至るまでの間に何らかの切り替えのきっかけをもたらすのが着替えることかもしれませんね。これから眠りのモードに入っていくために着替えるということでもいいんじゃないでしょうかね。絶対にこうでなくちゃというものではないでしょうが、寝間着に着替えることで、眠りモードに入っていくという。
昼間と着るものを替えたほうがいいという理由は、たとえば昔、あるスポーツウェアメーカーから聞かれたのが、「スウェットパンツのウェストゴムの強さはどれくらいがいいか?」ということだったんです。というのも、スウェットをランニングに着る人もいればルームウェアや寝間着にする人もいます。でもウェストゴムは、運動のときは強めでないと落ちてしまうし、寝るときは緩めがいい。昼間の生活と夜寝るときのモードは違うんだというところから考えると、昼間着ているものでそのまま快適な眠りに移れるかといえば、基本的にはそうは思えないですよね。
たとえば女性だと朝起きてブラやガードルをつけて「よしやってやろうじゃないの!」というしゃきっとした気持ちになれるでしょう。イヤリングを着けたりね。逆に家に帰ると真っ先にイヤリングを外したりするでしょう。こんな小さいものでも、体を締めたりしているのって私たちはくつろがないですよね。そう考えると、昼間の締めた生活と夜のくつろいだ生活とでは、着るものも違って当然だろうと思いますよね。
だからスウェットを着るなら、夜用にはウェストのぐずぐずになったようなものでいいでしょうし、昼とは性質のまったく違うものに着換えるのがいいと思いますね。
■では、いつ着替えればいいかは、その人たちのライフスタイルの中で決めればいいということですか?
そうですね。お家に帰ってすぐ昼間の生活から解放されたいと言う人もいるだろうし、どこか自分にとっていいタイミングでONとOFFの切り替えができればいいわけで、「いつこのタイミングで着替えましょう」と優等生みたいなことをいうとかえって嘘っぽいですよね。昼間着たまま寝ちゃうということはあまりよくないんじゃないかということは最低限お勧めできることだけれど、着古したTシャツだろうと何でもいいと思います。
もうひとつ言うと、寝ているときと起きているときとではカラダへの重力のかかり方がちがって、寝ると体型も変わります。胸だって横へ広がるでしょう。寝ているときは起きているとき以上に運動量や姿勢の変化も多いので、パジャマも昼間の服とは違って袖の着け方や傾斜などもみな違います。単に皮膚への心地よさだけでなく、動きやすいということも大切なんです。
あと布の落ち感も大事で、立っているときとは布にかかる重力方向が違います。浴衣がいい例で、立っているときと違う方向に布が落ちるから寝乱れてしまうんです。パジャマの語源もピジャマというインドやペルシャあたりのゆったりしたズボンから来ているように、ゆったりしているということはやはり大切な要素ですね。