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●睡眠の法則
毎日を充実させる睡眠の法則69
眠るのが惜しいときは睡眠をパターンで管理する
眠いのに寝たくない・・・
夜になって、あくびが出ているのに、
「もうこんな時間?」
「眠るのはもったいない」
という感じがして眠りたくない・・・。
そんな気分になることはありませんか?
この気分の正体は、ノルアドレナリン、
という神経伝達物質です。
ノルアドレナリンは、
脳を覚醒する働きを担っています。
不安や恐怖、焦りの感情を引き起こし、
危機管理としての注意力を高めることで
脳を覚醒させています。
このノルアドレナリンには、
就寝30分前に分泌が減ってくる生体リズムがあります。
よく「就寝30分前からテレビやスマホを見ない」ということが、
睡眠に重要だとして紹介されることがあるのは、
このノルアドレナリンが減ってきているのに、
刺激をするのはやめましょう、という意図があります。
ノルアドレナリンが減ってくるはずの時間帯に、
スマホで動画を観るなどして減少を妨げると、
ノルアドレナリンは減らずに残り、
脳は危機管理状態になります。
すると「このまま眠ったら世の中の情報に遅れてしまうのではないか」
「もっと大事な情報があるのに逃してしまうのではないか」など、
そんな感情がつくられます。
これが慢性化してくると、
就寝が遅れる日の割合が増えていき、
それが連続1週間以上になると、
夜に感じられていた眠気も感じなくなってきます。
自覚的には「今日はまだ(覚醒が)もつな」
という感じになるのです。
生理的な眠気は、1週間で慣れてしまって感じられなくなりますが、
再び同じ時間に眠気を感じられるように、
生体リズムを戻すのには1カ月半かかります。
生体リズムを戻すことが大変なので、
最低限のリズムを維持しながら、
夜の楽しみを両立してみましょう。
夜の就寝をパターンで管理する
例えば、0時前に就寝する行動パターンをAとして、
夜更かしをして2時に眠るパターンをBとします。
コンディションを整えたいときにはAを選び、
翌日に重要なことがないときはBを選ぶ。
このように「このタイミングで眠るかどうしようか」と、
葛藤することを避けられれば、
中途半端にノルアドレナリンを分泌させずにすみます。
ビジネスパーソンは、就寝のパターンを3つつくることができれば、
忙しい中でも睡眠をうまく確保することができます。
A:0時前就寝(眠くなったタイミングで眠る)
B:0時就寝
C:好きなときに就寝
こんな感じでパターンができたら、
Aが週4日くらいになるように
1週間のリズムを配置すると、
生理的な眠気のリズムは侵さずに、
「眠らなけらばならない」という義務感からも解放されます。
菅原洋平
作業療法士。ユークロニア株式会社代表。アクティブスリープ指導士養成講座主宰。国際医療福祉大学卒。国立病院機構にて脳のリハビリテーションに従事したのち、現在は、ベスリクリニック(東京都千代田区)で薬に頼らない睡眠外来を担当する傍ら、生体リズムや脳の仕組みを活用した企業研修を全国で行う。その活動は、テレビや雑誌などでも注目を集める。主な著書に、13万部を超えるベストセラー『あなたの人生を変える睡眠の法則』、10万部突破の『すぐやる!行動力を高める科学的な方法』など多数。
イラスト/菅原洋平
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