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●睡眠の法則
毎日を充実させる睡眠の法則74
自分裁量でできる活動を用意する
休日を使って、効果的に休むためには、自分裁量で完結できる作業を用意することが大切です。
例えば、健康管理のためにランニングを取り入れたとして、
「ランニングをするべきだ」とか、
「○○さんは〇km走ってるらしいから真似してみる」
という感じで、他人からの評価を気にしてしまうと、
その活動から得られる身体感覚に、
意識が向けられなくなってしまいます。
運動やモノづくり、楽器の演奏など、
何らかの活動をしたとき、
その活動によって得られた感覚が脳に届けられると、
自律神経を調整する腹側迷走神経系が働きます。
腹側迷走神経系は、危機状態を乗り切るために働く、
交感神経系の活動を抑制します。
交感神経系は、心拍や呼吸が速く、
高い代謝がつくられ、消耗が激しいので、
長期間は継続することができません。
危機回避のためにつくられる一時的な状態で、
危機が去ったら、また抑制されます。
ところが、仕事の場面で交感神経系が使われ、
危機状態が去った休日にも、
他人の評価を気にしてしまうと、
結局、交感神経活動が低下しなくなってしまいます。
交感神経活動が低下しないと、
夜になっても眠気を感じにくかったり、
眠れても朝目覚めたときに疲れがとれなくなってしまいます。
それに対して、自己裁量で完結できる活動をしているときは、
腹側迷走神経系によって、交感神経系がしっかりと抑制され、
落ち着いた状態で、高いパフォーマンスを発揮することができます。
効果的な休養には「自分だけの世界」を
もつことが大切なのです。
先ほどのように、休日にランニングをする場合は、
「しなければならない」「他人に負けないように」
と他者を意識するのではなく、
からだの動きや地面の反発、重力を感じて、
リアルな感覚を脳に届けることを意識してみましょう。
自分で選択し、自分の好きなように行動できる。
こんな活動を確保しましょう。
また、自己裁量で完結する作業をしているときは、
物事が流れるようにスムーズに進む、
フロー状態を体験しやすいです。
時間があっという間に感じられたり、
集中できた充実感を得ることができます。
菅原洋平
作業療法士。ユークロニア株式会社代表。アクティブスリープ指導士養成講座主宰。国際医療福祉大学卒。国立病院機構にて脳のリハビリテーションに従事したのち、現在は、ベスリクリニック(東京都千代田区)で薬に頼らない睡眠外来を担当する傍ら、生体リズムや脳の仕組みを活用した企業研修を全国で行う。その活動は、テレビや雑誌などでも注目を集める。主な著書に、13万部を超えるベストセラー『あなたの人生を変える睡眠の法則』、10万部突破の『すぐやる!行動力を高める科学的な方法』など多数。
イラスト/菅原洋平
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