-
●睡眠の法則
毎日を充実させる睡眠の法則8
耳から上の頭を冷やして眠る
眠れないときは大脳の温度が高い
眠れないときは、考えごとをすると思います。
仕事のことを考えたり、ぐるぐる悩んだり、
とにかく不愉快な時間です。
そんなときは、「悩みに負けない強い気持ちをもたなければ」
などとは考えないでください。
眠れないときは、大脳の温度が高いのです。
大脳の温度が高いまま就寝すれば、当然寝つけなくなります。
睡眠は、「心理現象」ではなく「生理現象」です。
悩みの解決ではなく、脳の温度を下げて生理的に解決しましょう。
なぜ、眠る前はぐるぐる悩んでしまうのか
脳は、起きている時間が長いほど、その働きが鈍っていきます。
夜の脳は、エネルギーを使い果たし疲労しているので、
一つのことに焦点をあてて考え続ける力は残っていません。
すると引き起こされるのが、連想です。
考えは定まらずに次々と移り変わり、
ネガティブな連想にはまり込んでしまうのです。
これを断ち切るために、大脳を冷やしてみましょう。
脳は、周囲に筋肉や脂肪分が少なく、外気温に直接影響を受けます。
脳の温度を下げるには、冷たいものをあてて直接冷やせばよいのです。
耳から上の頭を冷やす
凍らせても柔らかい保冷剤や、あらかじめ凍らせておいたタオルを用意し、
眠るときに、枕の上半分に敷いてみましょう。
霧吹きで2・3回軽く湿らせたタオルを凍らせると、
より冷たさを実感できます。
![頭を冷やす](../files/vol.8_cooldown.jpg)
頭が冷えると、考え事はできずに知らないうちに眠っています。
注意すべきことは、耳から下の首の部分は冷やさないことです。
首には、呼吸中枢などの生命維持機能があるので、
この部位が冷えると「生命の危機状態」として、
脳が覚醒して目が覚めてしまいます。
寝つけないから耳から上の頭を冷やす、ということでもよいのですが、
その場限りの対応ではなく、もう一歩深めて、
眠るために脳の温度を管理していく、という発想をもつことが大切です。
普段から、就寝時に耳から上の頭を冷やすようにしていると、
脳には、就寝時間になると勝手に温度が下がり、
眠くなってくるリズムができていきます。
また、眠る前にテレビやスマホなど、画面を見る習慣がある人は、
ぜひ頭を冷やすことを試してみてください。
脳は、画面を見ると温度が上がります。
脳の温度が上がると、深部体温も上がります。
深部体温を上げて眠ってしまうと、深く眠れなくなってしまいます。
眠り始めの脳の温度を効果的に下げて、深い睡眠をつくってみましょう。
![菅原洋平](../files/sugawara_prof.jpg)
作業療法士。ユークロニア株式会社代表。アクティブスリープ指導士養成講座主宰。国際医療福祉大学卒。国立病院機構にて脳のリハビリテーションに従事したのち、現在は、ベスリクリニック(東京都千代田区)で薬に頼らない睡眠外来を担当する傍ら、生体リズムや脳の仕組みを活用した企業研修を全国で行う。その活動は、テレビや雑誌などでも注目を集める。主な著書に、13万部を超えるベストセラー『あなたの人生を変える睡眠の法則』、10万部突破の『すぐやる!行動力を高める科学的な方法』など多数。
イラスト/菅原洋平
※この記事の内容について、株式会社ワコールは監修を行っておりません。
※この記事に含まれる情報の利用は、お客様の判断と責任において行なってください。