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睡眠の法則

  • 毎日を充実させる睡眠の法則90

    ●睡眠の法則

    毎日を充実させる睡眠の法則90

競合の原理

脳を健康に保つ感覚とは


デジタルデバイスに触れる時間が長い現代の生活では、
眠る前に、考え事がぐるぐるしたり、
眠る前の方が、かえって頭がさえてしまう、
ということもあるかもしれません。

考えがぐるぐるする事にさいなまれるのを防ぐには、
脳の基本的な仕組みである「競合の原理」を
使いこなしてみましょう。

脳は、
耳の辺りを境に、
前と後ろに分かれています。

前の部分を"前頭葉(ぜんとうよう)"、
後ろの部分を"頭頂葉(とうちょうよう)"といいます。

"頭頂葉"には、
私たちが、見たり聞いたり触ったりした
感覚データが届けられて、
リアルな世界を体験します。

そのデータが、
過去の記憶と照合されながら"前頭葉"に送られると、
その体験に「価値」がつけられ、
好き嫌い、快不快といった感情が添加されます。

"頭頂葉"では、
まぎれもない現実世界を体験しているのですが、
"前頭葉"に送られた時点で、
自分の記憶によって飾りつけさせた仮想現実になります。

この現実と仮想現実のふたつは、
競合関係にあります。

つまり、一方が強まると、
もう一方は弱まる関係です。

例えば、
人事異動など、急に大きな出来事を告げられたときに、
一気にいろんな考えが頭を巡る経験があると思います。
そんなときは、仕事をしていても、
どんな作業をしていたのか
あまり覚えていなかったのではないでしょうか。

これは、
"前頭葉"の仮想現実が強まり過ぎて、
"頭頂葉"の現実が抑制された状態です。

反対に、
畑仕事のような様々な刺激を感じることをしていると、
考え事をすることもなく、
頭が空っぽになってスッキリした、という経験もあるかもしれません。

これは、
"頭頂葉"の現実が、
"前頭葉"の仮想現実を抑制した状態です。

さて、
リアルな感覚体験が少ない現代の生活スタイルでは、
放っておくと"前頭葉"の仮想現実が強くなり、
考えがぐるぐるする事が起こりやすくなります。

脳を休めて、夜に安心して眠るためには、
日中に脳にリアルな感覚を"頭頂葉"に届けて、
仮想現実を抑制することが大切なのです。

感覚データを脳に送るには、
その行為を能動的にしていることがとても大切です。

例えば、
画面を見ているときは、
つくられた映像を「見せられている」受動視覚ですが、
観葉植物の葉っぱを観察しているときは、
自ら目を凝らす能動視覚です。

vol90_競合の原理
音楽を聴くときには、
ベース音や1つのパート音だけを
注意深く聞き分けてみると、
能動聴覚が使えます。

料理のときに魚をさばくような あえて手が汚れる作業をしたり、
肌ざわりのよい素材の物に積極的に触れたりすれば、
能動触覚が得られます。

能動感覚は、
脳の現実を強めることができます。

休日には、
デジタルデトックスをして、
目を凝らし、耳をすまし、
手ざわりを楽しむ活動で
脳に豊かな感覚データを届けてみましょう。

菅原洋平 菅原洋平

作業療法士。ユークロニア株式会社代表。アクティブスリープ指導士養成講座主宰。国際医療福祉大学卒。国立病院機構にて脳のリハビリテーションに従事したのち、現在は、ベスリクリニック(東京都千代田区)で薬に頼らない睡眠外来を担当する傍ら、生体リズムや脳の仕組みを活用した企業研修を全国で行う。その活動は、テレビや雑誌などでも注目を集める。主な著書に、13万部を超えるベストセラー『あなたの人生を変える睡眠の法則』、10万部突破の『すぐやる!行動力を高める科学的な方法』など多数。

イラスト/菅原洋平
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