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●睡眠の法則
毎日を充実させる睡眠の法則122
かゆみと眠りの関係を知ると
眠る前の食欲を抑えられる?
夜遅くなると、
頭や眉、鼻、口、首などがむずむずして、
なんとなく触っていたり、
ぽりぽりかいていたりしませんか?
かゆみを引き起こす「ヒスタミン」。
実は「ヒスタミン」は、
1日の中で2回、
急に分泌量が増える時間帯があります。
起きた後と、眠る前です。
最近の研究では、「ヒスタミン」はかゆみの原因だけでなく
睡眠や食事をとる行動と関係していることが
明らかになっています。
「ヒスタミン」の仕組みを知り、
心地よい生活のヒントを探ってみましょう。
脳の中の結節乳頭核と呼ばれる部位には、
約64,000ものヒスタミン産生ニューロンがあります。
そこから、脳のほぼすべての領域に投射していて、
広範囲に影響を与えています。
① 「ヒスタミン」と睡眠の関係
「ヒスタミン」には脳を目覚めさせる覚醒作用があります。
もしかしたら、
ヒスタミンを抑制する抗ヒスタミン剤を飲んだときに、
その副作用で、
頭がボーっとしたり、
眠気を感じることがあったりしたかもしれません。
それは、
脳全体を目覚めさせていたヒスタミンの働きが
阻害されたことによる眠気だった、というわけです。
② 「ヒスタミン」と食事をとる行動の関係
マウスを使った研究では、
絶食をすると、食事を探し回るように活動量が増大しました。
ところが、
ヒスタミンを産生する細胞を破壊したマウスでは、
絶食をしたにも関わらず、
活動量が増大しませんでした。
眠る前に、空腹感を感じ妙に目が冴えてしまい、
何か食べられるものがないかと
お菓子を置いてある棚や冷蔵庫をあさる、ということがあったら、
その覚醒と行動は、
「ヒスタミン」によってつくられているのです。
眠る前に、つい食べてしまって体重が増えてしまった・・・。
これは、「ヒスタミン」のせいだったのか。
となると、
それを避ける方法が見えてきます。
脳は、
覚醒させる神経と睡眠を誘う神経が常にせめぎ合うように
働いています。
眠る前に脳を覚醒する役割の「ヒスタミン」が増えるのは、
睡眠を誘う神経に対抗しているからであり、
つまり、
ヒスタミンが増加してきたサインであるかゆみを感じたタイミングが
=眠りにつくタイミングであるといえます。
このタイミングでベッドに横になってしまえば、
その後くる「食べ物探し」を避けることができます。
このサインを放置して起きていると、
ヒスタミンの増加が続いて活動量が増えて、
「食べ物探し」が始まってしまいます。
体がむずがゆくなるのを観察してみると、
いつもの就寝時間より早いタイミングで出ているかもしれません。
そのタイミングで意図して就寝してみると、
寝不足も解消してスッキリ起きられるはずです。
もちろん、
眠る前食べずに済むので、
罪悪感もありません。
菅原洋平
作業療法士。ユークロニア株式会社代表。アクティブスリープ指導士養成講座主宰。国際医療福祉大学卒。国立病院機構にて脳のリハビリテーションに従事したのち、現在は、ベスリクリニック(東京都千代田区)で薬に頼らない睡眠外来を担当する傍ら、生体リズムや脳の仕組みを活用した企業研修を全国で行う。その活動は、テレビや雑誌などでも注目を集める。主な著書に、13万部を超えるベストセラー『あなたの人生を変える睡眠の法則』、10万部突破の『すぐやる!行動力を高める科学的な方法』など多数。
著書:あなたの人生を変える睡眠の法則2.0
イラスト/菅原洋平
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