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●睡眠の法則
毎日を充実させる睡眠の法則139
悪い夢にも役割がある?
目覚めたときに、
眠っていた間見ていた夢の内容を覚えていますか?
多くの場合、
鮮明な夢を見ている感覚があっても、
目覚めてしばらく時間が経過すると、
夢の内容は忘れてしまいます。

夢の内容を覚えている場合は、
目覚めた後に、
脳の中で夢の内容を何度も再生することで
改めて記憶されたものだと考えられています。
基本的には、
夢の内容は忘れるようになっている。
それは、なぜでしょうか?
私たちが覚えていると自覚する夢は、
大抵の場合、レム睡眠中に見ています。
レム(REM)とは、rapid eyes movementの略で、
睡眠中に急速に眼球が動く現象を指しています。
眼球は、夢で見ているものに合わせて動いています。
そして、レム睡眠中には、
危機を察知して心拍数や血圧を高める扁桃体が活動するので、
レム睡眠中の夢は、恐怖や不安、または快楽などの感情体験が伴います。
しかし、脳の視床下部に存在する、MCH神経が睡眠中に活動すると、
夢の記憶が消されることが研究で明らかになっています。
このレム睡眠中の夢の消去に関係しているのです。
レム睡眠中脳の中では、
不要な記憶を消去する作業が行われていて、
この作業によって、
不安や憶測によってゆがめられた記憶が消去されて
ストレスが緩和しているのだ、という研究もあります。
これらの研究から考えると、
私たちが、
見た夢を忘れてしまうのは、
レム睡眠中にMCH神経が
不都合なことを記憶しないように消しているから
かもしれません。
レム睡眠は、
一晩の睡眠の約25%程度の割合を占めていて、
そのほとんどが目覚める時間帯に集中します。
そのため、
起き掛けに悪い夢を見て不快になることがあります。
「悪い夢を見たな・・・」と
気分が沈みがちですが、
これは、記憶が消されてストレスが緩和したのだ、
と考えられるので、
必ずしも悪いことではなさそうです。

作業療法士。ユークロニア株式会社代表。アクティブスリープ指導士養成講座主宰。国際医療福祉大学卒。国立病院機構にて脳のリハビリテーションに従事したのち、現在は、ベスリクリニック(東京都千代田区)で薬に頼らない睡眠外来を担当する傍ら、生体リズムや脳の仕組みを活用した企業研修を全国で行う。その活動は、テレビや雑誌などでも注目を集める。主な著書に、13万部を超えるベストセラー『あなたの人生を変える睡眠の法則』、10万部突破の『すぐやる!行動力を高める科学的な方法』など多数。
著書:あなたの人生を変える睡眠の法則2.0
イラスト/菅原洋平
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