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●睡眠の法則
毎日を充実させる睡眠の法則148
夢を見る日と見ない日の違いは?
目覚めたときに、
鮮明に夢を覚えているときもあれば、
夢を見なかったと感じるときもあります。

夢を見る、見ないは、
何が違うのでしょうか?
脳の働きを調べた研究から、
明らかになっていることがあります。
まずは、「夢を見る」についてです。
一晩の睡眠の75%を占める『ノンレム睡眠』に見る夢は、
睡眠の前半と後半で異なります。
睡眠の前半、
つまり眠り始めて3時間までは、
「考えごとのような夢」を見ます。
その時間帯に目覚めたとき
夢というよりは、寝ながら考えた、という感覚に近くなります。
それが、後半 起きる時間が近くなると、
現実にはあり得ない奇妙な内容になっていきます。
全睡眠の25%を占める「レム睡眠」では、
どの時間帯でも、一貫して奇妙な内容の夢を見ます。
また、夢の報告では
普段目覚める時間帯に向かうほど
報告する量が多くなります。
レム睡眠は、
目覚める前に多く出現するので、
私たちが普段目覚めたときは、
奇妙な夢の話をたくさん報告できるわけです。
つぎに「夢を見ない」についてです。
「夢を見た」と目覚める時とは
脳の働きが異なります。
ノンレム睡眠時、以下の時間には夢の報告ができませんでした。
〇深く眠っていることを示す徐波(1~3Hz)
〇N2というやや浅い睡眠中に紡錘波(12~15Hz)
徐波睡眠は記憶の固定を、
紡錘波は記憶の転送を担っていて、
これらは学習に深くかかわると考えられています。
よって、
脳が学習作業をしているとき=夢が中断される
と考えることができます。
レム睡眠時は、以下の時間以外は夢の報告ができませんでした。
〇思考する前頭葉の活動が低下し視覚映像を扱う後頭葉の活動が上昇
これは、
レム睡眠中の夢は、映像中心で、
秩序や理屈がみられない内容にあるからだと考えられます。
このように、
夢を見る、見ないにも理由があるようです。
一般に、
夢を見ずに起きると「よく眠った」という満足感がありますが、
それは、
『睡眠中の学習作業が頻繁に行われた』ということになるのかもしれません。
たくさん学んだ日には、しっかり眠るなど
新しい能力を習得して目覚められるように、
睡眠も学習行動の一部に位置付けてはいかがでしょうか。

作業療法士。ユークロニア株式会社代表。アクティブスリープ指導士養成講座主宰。国際医療福祉大学卒。国立病院機構にて脳のリハビリテーションに従事したのち、現在は、ベスリクリニック(東京都千代田区)で薬に頼らない睡眠外来を担当する傍ら、生体リズムや脳の仕組みを活用した企業研修を全国で行う。その活動は、テレビや雑誌などでも注目を集める。主な著書に、13万部を超えるベストセラー『あなたの人生を変える睡眠の法則』、10万部突破の『すぐやる!行動力を高める科学的な方法』など多数。
著書:あなたの人生を変える睡眠の法則2.0
イラスト/菅原洋平
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