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●睡眠の法則
毎日を充実させる睡眠の法則149
夜、暗いのが苦手なら
睡眠を改善する方法は、
やればよさそうだと分かっていても、
実行するのが難しいことがありますよね。
睡眠改善の方法を提案したとき、
「実行した人の割合」と、
「改善を実感する割合」の
両方が最も多いのが、
『夜、暗くする』ことです。

就寝3時間前を目安に、
天井の四隅がぼんやり見える程度まで
照度を落とす。
そうすると、
メラトニンの分泌が増え
就寝前に眠気を感じやすく、
また、
睡眠中もメラトニンによる抗酸化作用によって
疲れがとれやすくなります。
ただ、
「夜、暗くするのが嫌いなので部屋を明るくしています」
という方も一定数おられます。
夜の部屋を明るくすると、
睡眠の質が低下してしまう。
でも、暗くすることはできない。
こんな場合は、どうすれば良いでしょうか?
暗いのが「嫌い」「苦手」という場合は、
「怖い」という気持ちがあるかもしれません。
この「怖い」は、
ノルアドレナリンという物質がつくっています。
ノルアドレナリンは、
脳を覚醒させる神経伝達物質です。
知らなかったこと、
つまり新奇情報に素早く反応し、
脳を覚醒させて警戒します。
実は、ノルアドレナリンは、
就寝30分前から徐々に減少していく
リズムがあります。
本来は、このリズムによって、
脳の覚醒が低下していき、
眠る準備ができます。
ところが、
スマホやテレビを見続けて新奇情報に触れていると、
ノルアドレナリンが減少しません。
ここで
照明を消すと、
「暗いのが怖い」と感じるのです。
この怖さは、
就寝前に猛烈な眠気をつくれば消えます。
人間の睡眠は、
トラブルに対処できるように、
複数のリズムでつくられています。
メラトニンやノルアドレナリンのリズムを変えるには、
別のリズムである
深部体温のリズムを強化すれば良いのです。
起床11時間後に、
スクワット10回程度の運動を
週4日以上実施すると、
2週間程度で、
就寝前にあくびが出るほど眠くなる日が出ます。
猛烈に眠くなれば、
ノルアドレナリンの覚醒作用は打ち消されて眠ってしまいます。
就寝前に眠くなるリズムをつくると、
ノルアドレナリンのリズムも同調して、
不安はなくなります。
そうすれば、
照明を暗くすることができ、
睡眠の質も上がります。
睡眠改善は、
自分が実行しやすいことから始めていけば、
やりにくかった方法も取り入れやすくなります。

作業療法士。ユークロニア株式会社代表。アクティブスリープ指導士養成講座主宰。国際医療福祉大学卒。国立病院機構にて脳のリハビリテーションに従事したのち、現在は、ベスリクリニック(東京都千代田区)で薬に頼らない睡眠外来を担当する傍ら、生体リズムや脳の仕組みを活用した企業研修を全国で行う。その活動は、テレビや雑誌などでも注目を集める。主な著書に、13万部を超えるベストセラー『あなたの人生を変える睡眠の法則』、10万部突破の『すぐやる!行動力を高める科学的な方法』など多数。
著書:あなたの人生を変える睡眠の法則2.0
イラスト/菅原洋平
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