2026.08.10

生理前に不調を感じやすい理由を養生で考える

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#養生 #東洋医学 #生理 #セルフケア #セルフマネジメント

月経前に起こる心身の変化

生理前になると、身体が重だるく感じたり、

気分が沈んだり、

ちょっとしたことでイライラしてしまったり。

そんな心や身体の変化を感じたことはありませんか?

月経前症候群(PMS)は、

月経のある女性の2040%にみられるとされており、

決して特別なことではありません。

こうした変化の背景には、排卵後の「黄体期」に起こる

女性ホルモンの揺らぎがあります。

エストロゲンとプロゲステロンのバランスが変化すると、

気分に関わるセロトニンやGABAといった脳内物質の働きにも

影響が出ると考えられています。

また、ストレスへの反応も月経周期によって変化します。

普段なら気にならない一言が引っかかったり、

なんとなく落ち込みやすくなったりすることもあるかもしれません。

東洋医学では、このような月経前の心身の揺らぎを

「気・血・水の巡りの乱れ」として捉えてきました。

わかりやすく言えば、同じ身体でも月経周期に合わせて、

エネルギーや血液、水分の流れ方が少しずつ変化しているということです。

大切なのは、この変化を「身体の異常」と決めつけないことです。

生理前のだるさや感情の波は、身体が変化に反応しているサインとも考えられます。

つい「また調子が悪い」と自分を責めてしまうこともあるかもしれません。

でも、まずは「今はそういう時期なんだな」と受け止めてみること。

そのやさしいまなざしが、生理前の期間を穏やかに過ごすための第一歩になるでしょう。

巡りと気分の関係

「巡り」と聞くと、少しイメージしづらいかもしれません。

けれども東洋医学で大切にされてきたこの考え方は、

現代の身体のしくみとも重なる部分があります。

特に関係が深いのが、自律神経です。

月経前の黄体期には、

リラックスに関わる副交感神経の働きが弱まりやすいとされています。

たとえるなら、身体のブレーキが少し効きにくくなり、

アクセルである交感神経が優位になりやすい状態です。

そのため、眠りが浅くなる、肩や首が張る、

気持ちが落ち着きにくくなるといった変化が現れることがあります。

みなさんも、

生理前になると気づけば肩に力が入っている、

なんてことはありませんか?

また、PMSがある方では、

ストレスを受けたあとに身体が落ち着くまで

時間がかかりやすいことも報告されています。

月経を「つらいもの」「わずらわしいもの」と強く意識するほど、

心身の反応がさらに大きくなることもあります。

それだけ、心と身体は深くつながっているのです。

東洋医学でいう「巡り」は、血液の流れだけを指す言葉ではありません。

気持ちや自律神経、ホルモン、呼吸など、心身全体の流れを含めた考え方です。

だからこそ、生理前の不調を整えようとするときは、

何かを頑張って足そうとするよりも、

まず負担を少し減らしてみることが大切です。

予定を詰め込みすぎていないか。

無理に頑張り続けていないか。

そんなふうに自分の状態を振り返ってみるのもよいでしょう。

身体の声に耳を傾ける時間を持つことが、

巡りを整えるきっかけになるかもしれません。

生理前を穏やかに過ごす養生

では、生理前を少しでも心地よく過ごすために、

どのような養生を取り入れられるのでしょうか。

大切なのは、完璧を目指さないことです。

できるときに、できることから。

そんな気持ちで続けてみませんか。

まずおすすめしたいのは、ぬるめのお風呂にゆっくり浸かることです。

38〜40度ほどのお湯に15分程度浸かると、

身体がじんわり温まり、気持ちも緩みやすくなります。

発酵風呂や酵素風呂も、

身体を温めて巡りを整える養生として取り入れやすい方法のひとつです。

「湯船に浸かる余裕がないな」という日もありますよね。

そんな日は、足湯だけでも試してみるのもよいでしょう。

次に、無理のない運動もおすすめです。

ヨガを続けることで心拍変動が整い、

PMSの症状が和らいだという報告があります。

また、日々の身体活動や食事の工夫も、

生理前の不調や月経痛の軽減につながるとされています。

とはいえ、特別なことを始める必要はありません。

歯磨きをしながら深呼吸をする。

通勤や買い物のときに少し長めに歩いてみる。

寝る前に軽くストレッチをする。

そんな数分の積み重ねでも十分です。

「今日は少し身体を動かせそうかな?」

そんな問いかけを自分に向けながら、

その日の体調に合わせて取り入れてみてください。

ツボ押しも、東洋医学ならではの身近な養生です。

親指と人差し指の付け根にある合谷(ごうこく)や、

手首の内側にある内関(ないかん)は、

気分の高ぶりやお腹の張りに用いられてきました。

強く押しすぎず、気持ちよいと感じる程度に、

ゆっくり刺激することがポイントです。

深呼吸をしながら行うと、よりリラックスしやすいかもしれません。

そして何より大切なのは、「頑張らない」という姿勢です。

月経前は、身体が「少し休ませて」と

サインを送っている時期とも考えられます。

いつも通りにできない日があっても大丈夫です。

完璧な養生を目指さなくても構いません。

揺らぐ自分を受け止めながら、

自分に合う方法で少しずつ巡りを整えていく。

その積み重ねが、生理前を穏やかに過ごすヒントになってくれるでしょう。

伊藤 和憲(いとう かずのり)

鍼灸師 / 明治国際医療大学 鍼灸学部長・教授
鍼灸学医学博士・日本養生普及協会会長・日本疼痛学会理事。明治国際医療大学鍼灸臨床部長を務める。
慢性疼痛に対する鍼灸治療、東洋医学的な健康観である養生学の第一人者であり、
『今日からはじめる養生学』(集英社インターナショナル)など著書多数。
東洋医学に基づき、現代女性のための心身のセルフケア指導も行うなど活動は多岐にわたる。
*YojoCheck / Yojoコツ / 1日の過ごし方 / 二十四節気の過ごし方 を監修