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冷えやすい生活習慣
「冷え」というと、寒い季節だけの悩みだと思っていませんか。
実は、冷えは一年を通して感じることのある不調のサインです。なんとなく手足が冷たい、温まりにくい、そんな感覚が続くことはありませんか。
東洋医学では、冷えは病名ではなく「未病」と考えます。
未病とは、まだ病気ではないけれど、身体が発している小さな不調のサインのことです。放っておくと不調につながる可能性があるため、早めに気づいて整えていくことが大切だとされています。
冷えやすい方のお話を伺っていると、いくつか共通する生活習慣が見えてきます。
朝は慌ただしく家を出て、日中は座りっぱなし。夜はシャワーだけで済ませ、寝る直前までスマートフォンやパソコンを見ている。そんな毎日を送っている方も多いのではないでしょうか。
私はよく、こうした状態を「アクセルを踏み続けている状態」にたとえます。
緊張や活動をつかさどる交感神経がアクセル、休息をつかさどる副交感神経がブレーキです。アクセルばかり使い、ブレーキをかける時間がないと、身体は緊張した状態が続きます。
すると末梢の血管が細くなり、内臓を優先して守ろうとします。その結果、手足への巡りが後回しになり、指先や足先が冷えやすくなることがあるのです。
また、身体を動かす機会が少ないと、熱を生み出す筋肉が十分に働きません。筋肉は身体の熱をつくる大切な存在です。長時間同じ姿勢で過ごしていると、気づけば身体が冷えやすい状態になっている、なんてこともあります。
冷えは体質だけで決まるものではありません。毎日の暮らしの積み重ねが、少しずつ影響している場合もあります。
ただし、ここで大切なのは自分を責めないことです。忙しい時期には、誰でもアクセルを踏み続けてしまうものです。
まずは「最近、ちゃんとブレーキをかけられているかな?」と振り返ってみませんか。その小さな気づきが、冷えと向き合う第一歩になるかもしれません。
食事と体温の関係
私たちの身体は、食べたものをエネルギーとして使い、熱を生み出しています。食事は、身体というエンジンを動かすための燃料のようなものです。
だからこそ、食べる内容だけでなく、食べるタイミングも大切になります。
冷えやすい方の中には、朝食を抜いたり、昼食を簡単に済ませたりして、夜にまとめて食べる習慣がある方も少なくありません。心当たりはありませんか。
朝は、一日の活動を始めるための大切な時間帯です。何も食べずに過ごしていると、身体が十分に目覚めないまま一日をスタートしてしまうことがあります。
反対に、夜遅くにたくさん食べると、休息の時間にも身体は消化活動を続けなければなりません。そのため、翌朝の目覚めが重く感じられることもあります。
また、冷たい飲み物をこまめに飲む習慣も、身体の内側を冷やす一因になる場合があります。
東洋医学には「身土不二(しんどふじ)」という考え方があります。身体と土地は切り離せないという意味で、その土地で育ち、旬を迎えたものをいただくことが身体に合っていると考えられています。
たとえば冬に旬を迎える根菜類や、生姜、ねぎなどの食材が身体を温めるとされているのも、この考え方に基づいています。
とはいえ、特別な食材を探す必要はありません。養生は、何かをたくさん足すことだけではないからです。
冷たいものを少し減らしてみる。温かい汁物を一品添えてみる。そんな小さな工夫でも十分です。身体は少しずつ応えてくれるかもしれません。
そして、もうひとつ意識したいのが「腹八分目」です。食べ過ぎは消化器への負担となり、巡りにも影響することがあります。
まずは朝、白湯を一杯ゆっくり飲むところから始めてみるのもよいでしょう。喉からお腹へ温かさが広がる感覚に意識を向けてみる。そんな何気ない時間が、自分の身体をいたわるきっかけになるかもしれません。
見直せるポイント
ここまで、冷えと暮らしの関係についてお話ししてきました。
では、今日から何を取り入れてみるとよいのでしょうか。
私がおすすめしたいのは、一日の中に「ブレーキを踏む時間」を少しだけつくることです。
たとえば入浴です。38〜40度くらいのぬるめのお湯に、就寝の1〜2時間前を目安にゆっくり浸かってみませんか。入浴後もじんわり温かさが続くくらいの温度が、心地よく感じられるでしょう。
仕事や家事の合間には、深呼吸を取り入れてみるのもおすすめです。鼻から3秒吸い、口から7秒かけて吐く。吐く息を長めにすることで、自然と力が抜けていく感覚が得られるかもしれません。
また、手を握ったときに人差し指の付け根あたりにある「合谷(ごうこく)」というツボを、心地よい強さで押してみるのもひとつです。
通勤や買い物の途中なら、ゆっくり歩きと早歩きを交互に繰り返す「インターバル歩行」も取り入れやすいでしょう。無理なく身体を動かすことで、熱を生み出す筋肉が少しずつ働きやすくなります。
ただ、どれも完璧に続けようとしなくて大丈夫です。
養生は、すぐに結果を求めるものではありません。できない日があっても気にしなくて大丈夫です。その日の体調や気分に合わせながら、自分に合う方法を選んでみてください。
大切なのは、人と比べることではなく、自分が心地よいと感じられることです。
今日の自分にできそうなことを、ひとつだけ。そんな気軽な気持ちで続けていくことが、冷えにくい身体づくりにつながっていくかもしれません。