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季節変化と体調
「春になると気持ちが明るくなる」「冬はなんとなく気分が沈みやすい」。
そんなふうに感じたことはありませんか?
実は、季節の変化、特に日照時間や気温の変化は、
脳内のホルモンバランスや自律神経のリズムに影響すると考えられています。
私たちの心と身体は、思っている以上に自然のリズムとつながっているのです。
その代表的な例として知られているのが、季節性感情障害(SAD)です。
秋から冬にかけて日照時間が短くなると、気分が落ち込みやすくなることがあります。
温帯地域の成人の1〜3%にみられるとされ、女性のほうが多いという報告もあります。
季節の変化に対して、女性の心身はより繊細に反応することがあるのかもしれません。
秋から冬にかけて日照時間が短くなると、
気分を整えるセロトニンが働きにくくなる一方で、睡眠や覚醒に関わる
メラトニンの分泌時間は長くなると考えられています。
その結果、体内時計のリズムが乱れやすくなり、
気分の落ち込みや強い眠気、食欲の変化、集中しにくさなどにつながることがあります。
また、冬は日光を浴びる時間が少なくなり、皮膚でつくられるビタミンDも低下しやすくなります。
ビタミンDは、気分や意欲に関わる脳内物質の働きとも関係しているため、
その不足が心身の揺らぎに影響する可能性も指摘されています。
東洋医学では、「冬は身体が内向きに力を蓄える季節」と考えられてきました。
冬になると活動量が落ちたり、ゆっくり過ごしたくなったりすることもあるでしょう。
そんな変化を無理に否定するのではなく、季節の流れの一つとして受け止めてみるのも養生の考え方です。
気温差と揺らぎ
季節の変わり目になると、
「なぜか体調を崩しやすい」「いつもより疲れやすい」と感じることはありませんか?
その背景には、急な気温差による身体への負担が関係している可能性があります。
寒さを感じると、身体は体温を守ろうとして交感神経を活発に働かせます。
研究では、強い寒冷刺激によって交感神経に関わる物質が増加し、
代謝に関わるホルモンにも変化が起こることがわかっています。
身体はたくさんのエネルギーを使いながら、体温を一定に保とうとしているのです。
つまり、寒い季節や急な寒暖差は、身体が常にアクセルを踏んでいるような状態になりやすいともいえます。
その状態が長く続くと、ブレーキ役である副交感神経が十分に働きにくくなり、
疲れが抜けにくくなったり、巡りが滞りやすくなったりすることがあります。
さらに女性は、エストロゲンの変化によってストレスへの反応が月経周期ごとに変化します。
そのため、寒暖差による負担とホルモンの揺らぎが重なる時期には、
いつも以上に不調を感じることもあるでしょう。
なんとなく身体が重い、気分が安定しない。
そんな日があっても、不思議なことではありません。
東洋医学で昔から伝えられてきた「冷えを避ける」「薄着をしない」という養生の知恵には、
こうした身体のしくみにも通じる部分があります。
気温差の大きい時期は、一枚羽織るものを持ち歩いたり、
足元やお腹まわりを冷やさないよう意識したり。
できることから取り入れてみませんか。
季節ごとの養生ポイント
季節の変化に合わせて暮らしを整えることは、東洋医学が大切にしてきた養生の基本です。
完璧を目指す必要はありません。
その時々の体調に合わせながら、心地よい範囲で取り入れてみてください。
春(2〜4月)
春は、冬のあいだに蓄えていた力を少しずつ外へ向けていく季節です。
一方で、身体は冬から春へ切り替わる途中にあるため、自律神経も揺らぎやすくなります。
新生活や環境の変化が重なる方も多いのではないでしょうか。
そんな時期は、朝の光を浴びながら短い散歩をしてみるのがおすすめです。
体内時計である概日リズムを整える助けになります。
また、菜の花、春菊、ふきなどのほろ苦い旬の食材は、
東洋医学では「肝の気を整える」食材として大切にされてきました。
旬の味覚を楽しみながら、春のリズムに身体をなじませてみるのもよいでしょう。
夏(5〜7月)
夏は日照時間が長く、気分を整えるセロトニンが働きやすい季節です。
その一方で、暑さや湿度によって睡眠の質が低下しやすく、気づけば疲れがたまっていることもあります。
夜になっても身体が休まらない、なんてことはありませんか?
朝はしっかり外の光を浴び、夜は寝室を暗くして眠りやすい環境を整えてみましょう。
また、起きる時間や食事の時間をなるべく一定にすることも、生活リズムを整える助けになります。
夏こそ、無理を重ねず休息を意識することが大切です。
秋(8〜10月)
秋は気温が下がり始め、日照時間も少しずつ短くなっていく季節です。
そのため、気分を整えるセロトニンの働きも弱まりやすくなります。
なんとなく気持ちが内向きになることもあるかもしれません。
そんな時期は、昼間に外へ出る時間を意識してつくってみましょう。
晴れた日には10〜20分ほど日光を浴びることもおすすめです。
また、白ごま、梨、蓮根などの白い食材は、東洋医学で「肺の気を補う」秋の食養生として親しまれてきました。
食卓から季節を感じることも、やさしいセルフケアの一つです。
冬(11〜1月)
冬は一年の中でも日照時間が短くなる季節です。
セロトニンが低下しやすく、眠りに関わるメラトニンの影響も長く続きやすくなります。
心も身体も、いつもよりゆっくりしたペースを求めているのかもしれません。
朝は早めにカーテンを開け、明るい場所で朝食をとることを意識してみましょう。
また、38〜40度ほどのぬるめのお風呂にゆっくり浸かることや、
温かいスープを取り入れることもおすすめです。
黒豆や黒ごまなど、「腎の気を養う」とされる食材も、冬の養生として取り入れやすいでしょう。
四季の変化は、「乗り越えなければいけないもの」ではありません。
むしろ、今の自分の状態を教えてくれる自然からのサインのようなものです。
何かを無理に足そうとするのではなく、季節に合わせて少しずつ負担を減らしていく。
そんな積み重ねが、ホルモンバランスや自律神経を整えることにつながるかもしれません。
ご自身に合う方法で、季節のリズムに寄り添いながら過ごしてみませんか。