2026.09.09

忙しさが揺らぎを大きくする理由

  • Others

#養生 #自律神経 #東洋医学 #ホルモンバランス #セルフケア

交感神経優位の状態

忙しい日が続くと、いつもなら気にならないことにイライラしたり、

急に涙もろくなったりすることはありませんか?

夜になっても気持ちが落ち着かず、眠りが浅くなることもあるかもしれません。

こうした変化は、気持ちの問題だけではなく、

自律神経のバランスが乱れているサインの一つと考えられます。

自律神経には、活動や緊張を担う交感神経と、休息や回復を担う副交感神経があります。

忙しさや緊張が続くと、身体はずっとアクセルを踏み続けているような状態になりやすくなります。

すると、肩や首のこり、浅い呼吸、胃腸の不調、落ち着かなさなど、さまざまなサインが現れることがあります。

「気づけばずっと力が入っている」

そんな状態になっていないでしょうか。

東洋医学では、過度な忙しさは「気」を消耗し、巡りを滞らせる原因になると考えます。

頑張ることそのものが悪いわけではありません。

ただ、アクセルを踏み続ける時間が長くなるほど、身体は回復する余裕を失いやすくなります。

だからこそ、忙しいときほど意識して休息をはさむことが大切です。

ほんの数分でも深呼吸をしたり、席を立って身体を伸ばしたりすることで、心身が少しゆるむこともあります。

休息不足の影響

忙しい日々のなかでは、つい睡眠や食事、入浴の時間を後回しにしてしまうことがあります。

「今日だけだから」と思っていても、それが続くと身体の回復が追いつかなくなることがあります。

朝からだるい。

寝たはずなのに疲れが残っている。

集中しづらい。

甘いものや刺激の強いものが無性にほしくなる。

そんな変化に心当たりはありませんか?

それは、身体が休息を求めているサインかもしれません。

睡眠中には、心身の修復だけでなく、記憶の整理や免疫機能、ホルモンバランスの調整などが行われています。

十分に休めない状態が続くと、身体は充電が不十分なまま次の日を迎えることになります。

同じ仕事や家事をこなしていても、しっかり休めた日とそうでない日では、感じる負担の大きさは変わってきます。

「忙しいから休めない」と感じることもあるでしょう。

けれど、休まない状態が長く続くほど、忙しさに対応する力は少しずつ低下してしまいます。

養生では、休息も大切な行動の一つです。

何もしない時間をつくることも、自分を整えるためのケアと考えてみませんか。

生活リズムを整える

忙しさで心身の揺らぎが大きくなっているときこそ、

生活リズムをできるだけ一定に保つことが助けになります。

起きる時間や食事の時間、寝る前の過ごし方が整うと、身体は一日の流れをつかみやすくなります。

完璧にできなくても大丈夫です。

まずは朝の光を浴びることから始めてみませんか。

カーテンを開ける。

少しだけ外に出る。

朝食をとる。

そんな小さな習慣でも、体内時計を整える助けになります。

夜はスマートフォンを見る時間を少し早めに切り上げて、

ぬるめのお風呂に浸かったり、軽いストレッチをしたりするのもよいでしょう。

身体に「そろそろ休む時間ですよ」とやさしく伝えるイメージです。

また、生活リズムを整えることは、毎日を完璧に管理することではありません。

忙しい日でも、深呼吸をする。

温かい飲み物を一杯飲む。

数分だけ歩いてみる。

そんな小さな習慣を一つ残すだけでも十分です。

「今日はこれだけはできた」

そう思えることがあると、忙しさのなかでも自分のペースを保ちやすくなります。

無理なく続けられるリズムを見つけること。

それが、忙しさに振り回されにくい心と身体を育てる第一歩になるかもしれません。

伊藤 和憲(いとう かずのり)

鍼灸師 / 明治国際医療大学 鍼灸学部長・教授
鍼灸学医学博士・日本養生普及協会会長・日本疼痛学会理事。明治国際医療大学鍼灸臨床部長を務める。
慢性疼痛に対する鍼灸治療、東洋医学的な健康観である養生学の第一人者であり、
『今日からはじめる養生学』(集英社インターナショナル)など著書多数。
東洋医学に基づき、現代女性のための心身のセルフケア指導も行うなど活動は多岐にわたる。
*YojoCheck / Yojoコツ / 1日の過ごし方 / 二十四節気の過ごし方 を監修