#養生 #自律神経 #東洋医学 #温活 #セルフケア
過度な温活の落とし穴
「温活」という言葉が広まり、身体を温める方法を目にする機会も増えました。
腹巻き、白湯、生姜、湯たんぽ、岩盤浴、毎晩の入浴。身体によいと聞くと、つい試してみたくなることはありませんか。
気づけば「やったほうがいいこと」が増えて、温活そのものが少し負担になっていた。
そんな方もいらっしゃるかもしれません。
温活が続きにくいときは、もしかすると「足しすぎ」が関係していることもあります。
養生では、外から何かを付け足すことだけではなく、身体の内側の「巡り」を整えることも大切にします。
いわば、足し算だけではなく「引き算」の視点です。
どれだけ温かいものを取り入れていても、締めつけの強い衣類を着ていたり、長い時間座ったままだったりすると、巡りに影響することがあります。
ふくらはぎは、歩くことで血液を押し上げるポンプの役割を担っています。
身体の中で熱がつくられても、その熱がすみずみまで届きにくい状態になっていることもあるのです。
たとえるなら、エンジンを温めることだけに一生懸命になって、通り道のことを忘れているようなものかもしれません。
さらに、「毎日必ず続けなければ」と頑張りすぎると、その気持ち自体が緊張につながることもあります。
緊張や活動をつかさどる交感神経は、身体のアクセルのような存在です。
身体を温めているのに、気持ちはずっと力が入ったまま。
これでは、せっかくのセルフケアも心地よく感じにくいかもしれません。
最近、温活のために「やること」を増やしすぎてはいませんか。
まずは何かを増やすより、締めつけや頑張りを少しゆるめてみる。
そんなところから見直してみませんか。
続けられない心理
もうひとつ、お伝えしたいことがあります。
温活が続かないと、「自分は意志が弱いから」と、つい自分を責めてしまうことはありませんか。
でも、体調も気分も生活のリズムも、毎日同じではありません。
女性のからだも、日々さまざまにゆらぎます。
忙しい日もあれば、疲れている日もあります。
なんとなく気持ちが乗らない日があるのも自然なことです。
いつも同じようにセルフケアができなくても、それだけで意志が弱いとは言えません。
今日は湯船に浸かる気力がない。
そんな日は、早めに休むことを選ぶのも養生のひとつです。
東洋医学の養生では、完璧にこなすことよりも、自分の身体の状態を見ながら整えていくことを大切にします。
「身体によいと言われているから」ではなく、「今日はこれが心地よさそうだから」。
そんなふうに選んでみるのもよいでしょう。
SNSなどで誰かの習慣を見ていると、つい自分と比べたくなることもあります。
けれど、心地よいと感じる方法やペースは人それぞれです。
養生が「やらなければならないこと」になると、気づけば身体をいたわる時間が、新しい義務になってしまうこともあります。
できる日もあれば、できない日もある。
そのゆらぎごと受け止めてみる。
「今日は何なら心地よくできそうかな?」と、自分の身体に聞いてみませんか。
無理なく選べることが、結果として温活と長くつき合う土台になるかもしれません。
ゆるい温活習慣
では、どのくらいの「ゆるさ」なら、日々の暮らしに取り入れやすいのでしょうか。
医療が病気そのものに対処する非日常の技術だとすれば、養生は日常の文化です。
特別な時間をたくさん確保するよりも、すでにある日常の中に、小さなケアをそっと重ねてみる。
そのくらいから始めてみるのもよいでしょう。
たとえば朝。
歯を磨くついでに、鏡で舌の色や状態を眺めてみる。
東洋医学では、舌の状態も身体をみる手がかりのひとつとして扱います。
ただし、自分だけで体調を決めつけるのではなく、「今日はいつもと少し違うかな」と身体に目を向けるきっかけにするくらいで十分です。
通勤の途中なら、ゆっくり歩きと早歩きを交互にするインターバル歩行を、無理のない範囲で取り入れてみるのもひとつです。
デスクワーク中は、一時間に一度を目安に立ち上がってみる。
座ったままなら、かかとを上げ下げして、「第二の心臓」と呼ばれるふくらはぎを動かしてみるのもよいでしょう。
息が浅いなと気づいたら、鼻から3秒吸い、口から7秒ほどかけてゆっくり吐いてみる。
吐く息を長めにすると、身体のブレーキにあたる副交感神経が働きやすくなるとされています。
夜は、その日の体調に合わせて、38〜40度くらいのぬるめのお湯にゆったり浸かってみる。
長く入ることよりも、「心地よい」と感じることを大切にしてみてください。
どれも、日常の「ついで」に取り入れやすいことばかりです。
全部をやる必要はありません。
今日は深呼吸だけ。
明日は少し歩いてみる。
そんな日があってもよいのです。
できるときに、できることを。
温活は、ただ身体を温めるための作業ではありません。
自分の身体の声に耳を澄ませ、その日の自分が心地よいと感じる方を選んでいくことも、大切な養生です。
頑張らなくても続けられる、自分なりの「ゆるさ」はどのくらいでしょうか。
自分に合うペースを探しながら、小さなケアを重ねていく。
それが、温活を無理なく続けるヒントになるかもしれません。