#養生 #自律神経 #東洋医学 #冷え #セルフケア
やりすぎ温活の例
冷えを感じると、「なんとかしなければ」と思うことはありませんか。
身体のために、できることを取り入れたくなるのは自然なことです。
けれど、その熱心さが知らないうちに頑張りすぎにつながっていることもあります。
たとえば、真夏でも厚手の腹巻きを手放せず、汗をかいたまま過ごしている。
「汗をかくほど温まる気がする」と、熱いお湯に長く浸かって、のぼせてしまう。
冷やしたくないからと水分まで控えたり、生姜を意識するあまり、たくさん摂って胃が重くなったりすることもあるかもしれません。
良いと聞いた方法をいくつも取り入れて、気づけば朝も夜も冷え対策の「やること」に追われている。
そんなことはありませんか。
どれも、ご自身の身体を思って始めたことです。
だからこそ、続けることでかえって疲れていないか、ときどき振り返ってみることも大切です。
車にたとえるなら、寒いからとアクセルを踏み込み続けているような状態でしょうか。
熱はつくられていても、アクセルを踏み続ければ、身体が休まる時間を持ちにくくなります。
熱すぎるお湯や過度な発汗は、身体のアクセルにあたる交感神経を刺激することがあります。
温めているのに、なんとなく身体に力が入ったまま、ということもあるかもしれません。
冷え対策で大切にしたいのは、「どれだけ温めたか」よりも、今の自分にとってちょうどよいかどうかです。
頑張って温める前に、「これは今の私に心地よいかな?」と身体に聞いてみませんか。
バランスの重要性
ここで大切になるのが、バランスという視点です。
東洋医学が目指すのは、身体をただ「熱くすること」ではありません。
熱と巡りが過不足なく行き渡り、身体全体が整っている状態を大切にします。
冷えを感じると、つい全身をしっかり温めたくなるかもしれません。
けれど、温め方にも人それぞれ心地よいバランスがあります。
東洋医学には、頭は涼しく、足元は温かくという「頭寒足熱」の考え方があります。
全身を一様に熱くするのではなく、自分の身体が心地よいと感じられる温度の配分に目を向けてみるのもよいでしょう。
そして、もうひとつ忘れたくないのが心のバランスです。
「今日もやらなければ」「続けなければ」と、冷え対策がいつのまにか義務になっていませんか。
身体をいたわるために始めたことでも、義務感が強くなると、それ自体が負担になってしまうことがあります。
判断の基準は、意外とシンプルです。
「気持ちいい」と感じられているかどうか。
じんわり温かく、ほっと力が抜けるなら、今の自分にはその温め方が合っているのかもしれません。
反対に、汗が止まらない、温めたあとにかえって疲れる、続けることが負担に感じる。
そんなときは、少しやり方をゆるめてみるサインと考えてもよいでしょう。
誰かにとって心地よい方法が、自分にも同じように合うとは限りません。
まずは、ご自身の感覚をひとつのものさしにしてみてください。
養生的な温め方
では、養生の視点では、身体をどのように温めていくのでしょうか。
ここでも大切にしたいのは、足し算だけでなく「引き算」の考え方です。
外から熱をたくさん加えることだけではなく、身体が本来つくっている熱が滞りなく巡りやすい環境を整えていく。
そんな視点で考えてみると、温活が少し楽になるかもしれません。
医療が病気そのものに対処する非日常の技術だとすれば、養生は日常の暮らしを整えていく文化です。
特別なことを増やすより、いつもの一日の中でできることを探してみるのもよいでしょう。
たとえばお風呂なら、38〜40度くらいのぬるめのお湯に、就寝の1〜2時間前を目安にゆったり浸かってみる。
熱さを我慢するのではなく、じんわり温まって力が抜けるくらいを目安にしてみてください。
副交感神経という身体のブレーキが働きやすくなるとされています。
締めつけの強い衣類が気になる日は、少しゆるめてみる。
日中、座る時間が長いと気づいたら、一時間に一度を目安に立ち上がってみるのもよいでしょう。
座ったままなら、かかとを上げ下げして、「第二の心臓」と呼ばれるふくらはぎを動かしてみる。
息が浅くなっているなと感じたら、鼻から3秒吸い、口から7秒ほどかけてゆっくり吐いてみる。
飲み物も、今の自分が心地よいと感じる温度を選んでみてください。
全部を取り入れる必要はありません。
今日できそうなことを、ひとつだけでも十分です。
そして何より、疲れている日は休むこと。それも養生のひとつです。
できる日もあれば、できない日もあります。
女性の身体や気分にはゆらぎがあって当然です。
調子に合わせて、自分に合う方法を選んでみてください。
冷えを感じたとき、それを無理に追い払おうとせず、「少し立ち止まってみようかな」と身体に目を向けてみる。
そんな頑張りすぎない姿勢が、自分らしく冷えと付き合っていくヒントになるかもしれません。