お子様の「自分が好き」という気持ちを育てる 母娘のコミュニケーションを見直そう

「自分が好き」「私は価値のある人間だ」というような気持ちを自己肯定感と呼んでいます。
自己肯定感が高いと、大人になっても自分の生き方や仕事に対して前向きに取り組む気持ちが持てます。

10歳キラキラ白書2018年版」では、
今の女の子の「自己肯定感の高さ」を調査する質問を行いました。
そこで出た結果の分析と、女の子たちの自己肯定感を育てていくために大切なことを
発達心理学者の小野寺敦子先生(目白大学教授)におうかがいしました。

1. 3,000名を越える女の子の回答から出た年齢別「自己肯定感」

自己肯定感を測る項目の回答を得点化し、合計の平均値を算出し、自己肯定感の推移を調査。

自己肯定感の平均値 年齢が上がるにつれて下降していく ※ワコール調べ
 小野寺敦子先生
(目白大学人間学部心理カウンセリング学科教授)

10歳は他の年齢群と比較して最も自己肯定感が高い結果となりました。その後年齢があがるにつれて、下降していきます。自分の良い点と悪い点について自覚するようになるのが、ちょうど10歳位からです。そこで「悪い所を直さなくてはいけない」という気持ちが強くなり、自己肯定感は低くなっていきます。

では、どうすれば自己肯定感はさがらないのか?今回のアンケートから、自己肯定感の高い女の子の特徴を分析してみました。

  1. 母親に下着やからだのことについて相談する。
  2. ファッションへの関心が高い。
  3. 人との関わりに積極的。
  4. 母親に対して「もっと一緒に過ごしたい」と感じる。

自己肯定感と母親とのコミュニケーションは密接に関連しています。

しかし、働いているお母様は仕事をしていることによって、子どもと接する時間が短いことに負い目を感じる必要はありません。母親の就業状況による子どもの自己肯定感には、ほぼ違いはでませんでした。お子様と接する時間の長短ではなく、コミュニケーションの質が重要なのです。

2. まずは、「10歳の女の子」を理解する

恋や化粧、ファッションについての質問を得点化し、合計の平均値を算出し、おませさん度をチェック。

おませさん得点の平均値 ※ワコール調べ

化粧、恋愛やファッションへの関心が最も高まり、少し背伸びをする時期が10歳頃です。身体的には第二次性徴期を迎え、心理的には親より友だちを優先したり、異性を意識し始めたりと親からの自立が進みます。しかし、まだココロは不安定で反抗的な態度をとったかと思えば、母親に甘えてきたりします。

女の子の自己主張にとまどうことがあるかもしれませんが、生意気な所がでてきたら成長しているということです。自分の意見を言うことは、これからのグローバル化にとってもすごく重要ですからね。

少し背伸びをし始めた娘さんの心理を理解してあげてください。

自己主張が強くなってきたときに、しっかりと聞いてあげてください。化粧やファッションに興味を持ち始めた時に「ママは好きじゃない」と否定するのではなく、「それのどこが好きなの?」と一緒に楽しもうという「心の余裕」を持つことが大切です。

3. 質の良いコミュニケーションをとるためのポイント

お子様に寄り添うだけでなく、お母様の意識もとても大切です。しっかりとお子様を見ることができているかまず、チェックしてみましょう。

  1. 1. 紙の左側に、お子様の悪いと思う所・気になる所を書いてください。
  2. 2. 書いた右側に、お子様の良いと思う所を書いてください。左側に書いた内容をポジティブ変換(違う視点で見た時に良くみえる点を探す)してください。

悪い点には、良い点もあり、心理学ではその表と裏を大切にしています。
性格を「外向」と「内向」二つに分けた時、どちらが良い性格だと思いますか?外向的な性格であれば、人付き合いが上手で友だちが多く、一見良いように見えますが、言い方を変えれば八方美人ということになります。内向的な性格は、友だちが少ないけれど親友がいて、困った時に助け合える友だちがいる。それぞれ良い面と悪い面があります。
お母様の経験から、こどもにはこういう性格になってほしいと期待してしまうかもしれませんが、お子様にはそれぞれの気質があります。お子様が持つ良い点をしっかり理解して、ほめてあげてください。

子育てにおいてほめることは大事です。
「勉強頑張ってるね。すごいね。」ではなく、どこを頑張ったのか「30点から60点になったね。」など具体的に伝えてあげます。点数をのばすためにがんばった姿を見ていること、前の点数を覚えていることを言葉にしてください。

ママにしかできない具体的な褒め方が必要です。

このようなお子様とのコミュニケーションだけでなく、お母様が日々どのように生活するかも、お子様の成長に大きく関わります。

お母様もポジティブに、元気に過ごしてください。

「自己肯定感」「おませさん度」共に高い数値がでた10歳。
その好奇心で、自ら考え行動する機会が増えます。お母様にとって、成長を感じ嬉しい反面、心配事が増えるかもしれません。「なぜそういう考え方や行動に至ったのか」をしっかり聞いて一緒に考え、話す中で、母娘似ている所や異なる所を発見し、コミュニケーションを楽しんでください。

この記事は、2018年3月に開催した「女の子とママのための学ブラデートin京都」イベントの、女性の保護者向けワークショップの講演内容から作成しています。当日は、保護者13名・女の子14名が参加しました。

ワークショップレポートはコチラ:
【イベントレポート】"成長期の女の子の心とからだを学ぶ「女の子とママのための学ブラ(まなぶら)デート」開催"(関西ウォーカー)