父親の家事参加は、娘との関係を深めるチャンス!

今年4年目を迎えた『10歳キラキラ白書』。
これまでの白書では"母と娘"のコミュニケーションに焦点を当ててきましたが、
10歳キラキラ白書2019年度版」では、
"10歳女子が描く、結婚観・仕事観と、それに及ぼす父親の影響"についての意識調査を実施し、
初めて"父と娘"に注目しました。

10歳の女の子は環境や心身の面で大きな変化を迎え、将来についても思いをめぐらすころです。
お子さまがキラキラする未来に向かって歩むために、親ができることはどのようなことでしょうか。
「10歳キラキラ白書2019年版」の調査で、日々の家庭の様子や父親の家事参加が、
女の子の将来に対する考えに影響しているという結果も見えてきました。
その傾向を知り、子どもだけではなく、
親である自分自身や一緒に子育てをする人との環境作りの参考にしていただければと思います。

*本調査は5歳から18歳まで約4,000人にウエブアンケートを実施。
以下の数字はその中から10歳(339人)にターゲットを絞って分析した結果です。

将来働き続けたい
10歳女子は、約4割!

将来について聞いてみると、「仕事は一生続けたい(37.9%)」が「仕事をして、結婚したら仕事はやめたい(23.6%)」より多い結果となりました。「結婚したら専業主婦」と思う女の子は少なくなっているようで、「仕事はせずに、すぐ結婚したい」はたったの2%でした。

働き続けたいと思う女の子が一番多い結果となったのは、アンケートに回答した女の子のお母さんの7割以上が、働いていることが影響していると考えられます。家庭内に「仕事も家庭のこともシェアしましょう」という平等意識があり、働くお母さんの姿を見ていると、娘も「働きたい」という願望を持つようになるのでしょう。つまり、母親が働く姿を子どもに見せることが、子どもの「非伝統的性役割観(※)」に影響を与えているといえます。

※「非伝統的性役割観」とは?

「性役割」とは、その性別に社会的に期待されている役割のことを指します。
"伝統的性役割観"は、「性役割」の考え方のひとつで、例えば「女性は結婚したら仕事をやめるもの」、「家事・育児は女性がやるもの」といったものになります。一方、 "非伝統的性役割"はその逆で、例えば「女性は結婚しても働き続けるもの」という考え方になります。

父親の家事参加は
父娘の関係を
良好にする!

「女性だから」「男性だから」というよりも、「男性がどういうふうに家庭に関与していくのか」が大事だと考え、今回の調査では娘と父親との関係にフォーカスしました。

父娘の会話量や一緒に外出することを足し上げた数値を、コミュニケーション量として分析したところ、10歳の頃が最も多い結果となりました。10歳以降のコミュニケーション量はどんどん下がっていき、16歳が一番低くなっています。心理学的な分析においても、年齢が上がることに比例して数値が下がるという研究結果があり、学術結果と今回のアンケート結果が見事にあっていることに驚きました。

10歳前後の女の子は、生理や胸の膨らみ等第二次性徴を迎えます。心も成長し、友だちの関わりを深め、親とは少し距離を置き始めます。そのため、父娘の距離はどうしても離れがちです。
そうした中でも、親子の良好な関係をキープしていく方法を考えてみてください。年齢にあわせて話題を変えて話しかける等、父親は娘に関心をもっていると伝えることが大事です。

また、コミュニケーション量の多い父親は、家事参加度が高いとの結果も出ています。裏を返せば、家事参加をすることで娘とのコミュニケーションが深まるということです。娘との距離を感じたら、積極的に家事に参加するといいかもしれませんね。

心理学において、かつて父親は「忘れ去られた貢献者」と言われていました。「お父さんがいなくても、お母さんが子育てをすればいいんじゃないか」という考え方があったのです。
けれども、近年は父親自身も子育てをしていきたいという意識的・社会的な変化もあり、保育園の送迎をする父親も増えています。
男性が家事をする姿を子どもに見せれば、その子どもは「男性も家事をするもの」と、思うようになり、「非伝統的性役割観」が育まれます。父親は、娘の異性観・仕事観・結婚観に重要な役割を持っており、今回の結果でも男性の役割が大事だということがわかりました。

「母親が働いている」ことと、「父親の家事参加」が非伝統的性役割観を育くむとしましたが、「家事」はあくまでも一例です。何ごとも「男女が平等にかかわっている」ということを示すことが、これからの時代は大切になるでしょう。

また子どもは日々の生活の中での両親の姿、夫婦仲をよく見ています。両親の仲が良ければ「自分もこんな夫婦になりたいな」「父親みたいな人と結婚したい」と思うようになります。特に「ママのために家事をしているパパ」は、娘にいい印象を与えます。

家庭の中で
男女それぞれが
よい面を
発揮していくことが大事

10歳女子の「ジェンダー意識」についても調査を実施しました。
「ジェンダー意識」とは、「女の子はていねいな言葉遣いをしたほうがいい」など、文化的・社会的要因で影響を受けている「女の子らしさ」というものです。

今回の調査では、下記3項目を足し上げて「女の子らしさ得点」としました。
・「女子は男子よりも、丁寧な言葉遣いのほうがよいと思う」
・「女子は男子よりも料理が上手にできた方がよいと思う」
・「男子は男らしく、女子は女らしくするのがよいと思う」

この「女の子らしさ得点」を他の年齢の女子と比較したところ、10歳女子には2つの特徴がありました。
1つは、子ども時代の遊び方です。ままごとやお人形遊びをしていた子は「女の子らしさ得点」が高く、またこの得点が高かった10歳女子は、「お化粧をする」「恋をしている」の両方の得点を合わせた「おませさん度」も高いことがわかりました。

もう1つ、「女の子らしくしなさい」と、両親や友だちなどから言われることです。周囲の人からのひと言が、生き方やキャリア形成に影響を与えているようです。

一方で、10歳女子の「好きな色」は黒が1位。かつてのような、女の子はピンク、男の子はブルーというという考え方ではなく、黒や白などモノトーンが人気です。この結果は意外でしたが、そういう目で、歩いているお子さんの服装などを見ると、なるほどと思います。

今の時代において、性別問わず「自分らしく」生きることが大事です。子どもがそうなるには、親自身が「男性だから」「女性だから」という概念にとらわれず、男性・女性がそれぞれよい面を発揮して子育てをし、自らイキイキと生活することです。その姿を、家庭の中で自然に、子どもに見せることができれば、子どもにも非伝統的性役割観が育ち、「自分らしく」生きていけるようになるでしょう。

女の子が充実した生活を
送っていくために
  • 女の子自身が「女の子らしく」よりも「自分らしく」生活できるように見守ってあげましょう
  • 親自身が「男性だから」「女性だから」という概念にとらわれないようにしましょう
  • 親自身がイキイキ生活をし、子どもがその姿を見られる環境を作りましょう
  • キャリアも大事、家庭も大事だという意識を、男女とわず持ちましょう
これらのことを、私たち大人が
心がけることが大切です。

ー 発表会を終えて ー

日ごろの家庭での親の姿、夫婦のやりとりが、いかに子どもの考えや生き方に影響しているか、如実に表れる結果となりました。
「家事参加度の高い父親は娘とのコミュニケーションが多い」という結果には、"気づき"のあった方も多かったのではないでしょうか。

親自身も「男性だから」「女性だから」という伝統的性役割観について、今を見つめ直す機会も大切だと感じました。また、親自身がイキイキと過ごすために、家事や子育ては、家族みんなで協力していきたいですね。私たちスタッフも頑張りたいと思います。
(ガールズ親なび編集部)

発表会のレポート:
「10歳キラキラ白書 2019」レポート ―父親の行動が娘の結婚観、キャリア観に影響!(MAMAPICKS)

目白大学人間学部心理カウンセリング学科の小野寺敦子教授についてのプロフィールはコチラ

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