伊勢丹はどう進化したか?

東横線と副都心線の相互直通運転がスタートし、横浜から川越・所沢方面までがつながった3月16日。所沢に住む友人は「元町・中華街へ直通75分で行けるようになって、すごーい人出!」と初日の様子を伝えてくれました。交通が人の流れを変える現象は面白いですね。渋谷で乗り換え不要になることは、新宿や池袋の百貨店にとってもチャンス。新宿三丁目に直結している伊勢丹は、東横線沿線にも今後チラシを配布する予定だとか。
伊勢丹新宿店は3月6日、本館の「リモデル」が完了し、グランドオープンしました。「世界最高のファッションミュージアム」をテーマに約100億円を投じたといいますから力が入っていますよね。2階から4階に「パーク」というプロモーションスペースを設けるなど、伊勢丹らしい編集センスで盛り上げていました。まさに、常設展と企画展の両方を楽しめるミュージアムのようなフロア構成です。
リニューアルではなく、構造を変える意味の「リモデル」という表現もポイントのよう。とくに「マ・ランジェリー」のある3階は、百貨店とは思えないキラキラ感に一瞬たじろぎますが、森田恭通さんがデザインに関わっていると聞き納得しました。もともと今回のリモデルは、昨年夏の「マ・ランジェリー」が皮切り。約120ブランドを展開し、8名のボディコンシェルジュがガイドする、ランジェリーミュージアムになったのです。
注目株のひとつが、日本での扱いがスタートしたばかりの「Huit8(ユイット)」。フランス語で8の意味ですが、ロゴマークの8は無限大の記号であり、無限の可能性を秘めたバストの形でもあります。1968年フランスで創業し、今やヨーロッパを中心に世界40か国で販売される人気ランジェリーに成長。洗練されたイマドキ感があり、インポートとしては比較的リーズナブルな価格も魅力のブランドです。
ボディもブローもふんわりエッジィ。

「Huit8(ユイット)」の機能的な特長は、エアーパッドを使ったブラが多いことでしょう。ブラのパッドにはスポンジ、ジェル、ビーズ、エアーなどがありますが、スポンジ以外はまだまだ少数派。ところが調べてみるとエアーパッドの歴史は古く、1955年のワコールの製品カタログには「つけてから好みの大きさにふくらませる」タイプのエアーパッドが掲載されていたとのこと。ブラの歴史はワコールとともにあり、ですね。
私はエアーパッド未経験なので、この夏、軽いつけ心地でボリュームを出せる「Huit8(ユイット)」のブラでボディをリモデルしてみたいなとひそかに思っています。先日、秋冬のコレクションも見ましたが、リバーレースとエンブレースを組み合わせたり、ストライプの幅の構成でスタイルアップして見せるなど、かなりの上級お洒落ぶり。デザインはエッジィ、中身はふんわりというイメージで、これからの展開が楽しみです。

ブロンド、トープ、チェスナッツ、エスプレッソの4色。
内蔵シャープナーでエッジをキープでき、自在にぼかせるハードなブラシも心強い。
ボディをリモデルしたらメイクも、とつい考えてしまいますが、いちばん顔の印象を変えるメイクって何だと思いますか。「完璧主義者」を自認し、伊勢丹新宿店ではレディースラインとコスメの扱いも始まったトム・フォード様は、VOGUE JAPAN 4月号のインタビューでこう言っています。「眉毛を丸く描くか、シャープに描くかで、顔の形すら違って見える。僕はアイブロウメイクには、整形手術くらいのパワーがあると思っている」。
私は3階でキラキラの「パーク」や「マ・ランジェリー」を回遊後、迷うことなく1階の「トム フォード ビューティ」に行ってみましたよ。コスメというよりオブジェと呼びたい色や香りが官能をくすぐります。期待のブロースカルプターは絶妙な硬さと発色の4色から選べ、エッジィに描いてふんわりぼかす作業が楽しみになる1本。バッグの中にぱらっと入っているだけで絵になり、気持ちまでリモデルしてくれそうな予感です。